厨房設計/上海中華レストラン/スケッチから学ぶ施設計画のチェックポイント | 厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を学ぶ/竹谷経営塾。ティファーズコンサルティング

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厨房設計/飲食店開業繁盛づくりを目指す人へのアドバイスをするブログ、飲食店コンサルタント「ティファーズコンサルティングの竹谷稔宏。その他厨房会社設計部門など飲食店の心臓部である飲食店の厨房設計について解りやすく解説する講座です。

厨房設計/上海中華レストラン/スケッチから学ぶ施設計画のチェックポイント



ゾーニング計画の重要ポイント

この店のゾーニング計画は、入口に向かって右側にキッチンとバックヤード(事務所、更衣室)トイレを隣接するように配置し、左側にベンチシート席、4人席など一人客用としてキッチンを囲むようにカウンター席を配置していることだ。

中華料理の客席形態としては、円卓で食事を囲むテーブルや客席が多いものの、あくまでも予約客ではなく一般客を主軸にする場合には、種々の客層に合わせた客席構成にしておくことが理想的であろう。

キッチンをセミオープンにしていることも、キッチンの臨場感や本場中国人の料理人が料理を担当しているという料理への期待や好奇心を喚起する演出をしていることだ。

勿論キッチンのバックヤードである洗浄エリアやドリンクパントリーは、客席側から見えないように区画し、あくまでもキッチンの調理のライブ感を訴求することに焦点を絞っていることだ。



各部施設計画のチェックポイント

パース図-1

この店の内装デザインやイメージは、企画コンセプトを忠実に表現できるように、入口に近くに麺ボイラーを配置し、常に料理人が客席側を向いているように配置計画していることだ。

キッチンは客席と一体化したデザインイメージとして調理の臨場感やざわめきを一つの演出材としている。麺ボイラーのコーナーのみ耐熱ガラスで区画しているものの、その他のカウンター席は、キッチンと客席が一体化する計画にしていることだろう。

全体のイメージとしては、こてこての中華料理店のイメージではなく、基調としては黒とぺパーミントグリーンを全体のイメージづくりの柱に据えていることであり、比較的落ち着いた雰囲気のイメージづくりを計画していることだ。

この基調は中国の寺院の装飾に仕様釣れている色であり、あえて赤やオレンジなどの品の悪い派手な色は避けていることだ。




パース図-2

麺ボイラーの施設計画の詳細イメージである。本場の中華料理店の場合には、麺料理は少なくメニューにない店も多いが、日本の場合には、麺料理、ラーメン好きの需要やニーズを避けることができないため、分かりやすい中華料理としてのイメージとして麺ボイラーを一つの演出コーナーとして配置計画していることだ。

ランチメニューには、メイン、ご飯、スープ、デザートなど一つの定食スタイルで提供することが店側のサービスとしても効率的であるため、ラーメンと野菜炒めなど炒め料理の定食が注文の柱になるだろう。

麺ボイラーの横には、麺箱を置くスペースとその隣にはシンク、ワークテーブルを兼ねた冷蔵コールドを配置し、料理の盛り付けの中心がワークテーブルになるように配置計画していることだ。

調理の流れとしては、中華レンジで調理された料理は一時的にワークテーブルで皿に盛り付けキッチンの奥へディッシュアップされるという仕組みである。




パース図-3

中華レンジの施設計画の詳細イメージである。中華レンジの厨房設備としては中華料理を主軸にする店はさほど変わるものではなく、中華釜、スープレンジ、麺ボイラーの構成が多く、配置計画によって麺ボイラーの配置が変化するあるいはスープレンジを配置しないなどそこで働く調理人の意向で機器配置が計画されることがほとんどであろう。

中華料理の仕組みとしては、火をコントロールすることによって料理を調理することが多く、基本は中華釜のカロリーや周辺設備(水、排水など)調味料ワゴン、下処理した具材を保冷しておくための冷蔵庫の位置など、料理提供の仕組みづくりによって変化するものの、基本体系は大きく変わるものではないことを理解しておくことだろう。

オープンキッチンの場合には、内装デザインの空間を同化させるために中華レンジの壁のタイルデザインなど空間を同化することも重要なポイントであることを忘れてはならない。




パース図-4

洗浄エリアの施設計画の詳細イメージである。洗浄エリアも食器類を洗浄するという行為や仕組みは大きくかわるものではないものの、業種・業態によって微妙に施設計画が変化してくることだ。

この店の場合には、比較的コの字型の理想的な洗浄エリアであり、洗浄エリアで働くスタッフが洗浄エリアで大きく動くことなく、機器ラインに沿って回転する動きが主体になることだ。

この店の場合には、客席を担当するスタッフが客の使用した皿類を下膳し、ソイルドテーブルに並べていく方式であり、クループ客などのテーブルの下膳はバスボックスに皿類を収納し、バスボックスのままソイルドテーブルに下膳してくることやダイレクトに皿類をお盆に載せるだけ載せて下膳する場合など時間帯の繁忙状況に合わせてオペレーションを変化させることが一般的であろう。

皿類を洗う工程としては、皿類に残った残菜類をダストシンクに捨て軽く汚れを洗い流し、洗浄ラックに皿類を投入し、洗浄を終えたラックから食器類を取り出し、一時的にクリーンテーブルのプレートシェルフに収納し、再び各ラインに食器を戻すことが洗浄エリアの仕事である。客席がさほど多くない場合には、常に配置せずにその他の業務を兼ねる場合も多いことを理解しておこう。

つまりいかなる業種・業態の飲食店のキッチン計画においても共通するポイントは、キッチンの細部内容やオペレーションとの関係性など具体的の理解を深めることが大切であり、常にゲストの期待感や好奇心を喚起する演出構成をどのように計画に反映できるかが、厨房計画の善し悪しを左右するポイントになることを忘れてはならない。