浦賀和宏先生とお話することが出来た約8時間。 | 歩く雑誌・月刊中沢健のブログ

浦賀和宏先生とお話することが出来た約8時間。


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ゴジラの誕生日の話の次は、僕自身の誕生日について少し書きたいと思います。

小説が好きな人には、○○賞デビューの作家さんに好きな人が多いとか、このレーベルに小説を書いている人に好きな作家さんがたくさんいるとか、そういうことはよくあることだと思うのですが、

僕にとって一番たくさん好きな作家さんを輩出してくれた文学賞というと、メフィスト賞ということになるのだと思います。
メフィスト賞からは本当にずっと作品を愛読していくことになる大好きな作家さんがたくさん現れて、一時期は本当にメフィスト賞出身の作家さんの小説ばかりを読んでいた頃もあったものです。

そんなメフィスト賞デビューの作家さんの中でも、一番のお気に入りであった作家さんが、浦賀和宏先生でした。

そんな浦賀先生に、何と僕の29歳の誕生日に、台風直撃の中、吉祥寺でお会いすることが出来たのでした。
20代最後の歳は本当に最高のスタートを切ったなあと思います、ええ。

いろいろなご縁と偶然が重なって、浦賀先生と、浦賀先生の大学の同級生お二人で行っていた飲み会に僕も同席させていただくことになったんですけど、感激しましたねぇ。

浦賀さんは、著作にあとがきを書いたことも無いし、ブログやtwitterもやっていないから、どんな人なのかは全く分からなかったですし、これまで作品を読みながら「こんな凄い作品を書く人は一体、頭の中はどうなっているんだろう~??」と、いつもいつも妄想しておったのです。

そんな浦賀さんとついに対面を果たした僕は、もう本当に作品についていろいろ質問しちゃいました。
「あの登場人物にはどういう思いがあって生み出したのですか?」とか「作品の中ではあそこで物語が終わってしまっているけど、あの後どうなってしまうんですか?」とか、まぁ無粋な質問をいろいろしちゃったとは思います。

大体、作家が物語の中であえて描いていない部分というのは、そこは書かないでおいた方がいいと判断してやっているわけですからね。
自分だって、そんなことは百も承知なんですけど、それでも聞いてしまうのがファンってやつなんですよね・・・。

浦賀先生の作品以外にも、小説のこととか、ミステリのことについてとかいろいろ話せて良かったな。

自分が本気でリスペクトしている作家さんと小説について語ることで、自分がこれから作家としてどう生きていくか、何を語っていくべきか、何を語らないようにするべきか、いろんなことを決意できた気がします。

印象深かったのは僕が、浦賀さんの作品の中で「このエピソードはどういった意図で入れたのでしょうか?」と聞いてみたかったところがあって、それについて、「シリーズ物の作品を途中から読んだ読者でも入っていけるためのフォロー」として書いたものだと教えてくれたのですけど、そんな読者への気遣いをしっかり考えている一方で、僕が浦賀さんに「こんな作品を書いてみたらファンは喜ぶんじゃないですか?」と何となく提案させてもらったアイディアがあったのですが、それは実際、浦賀さんの作品の愛読者なら喜ぶこと間違い無しのアイディアであったとも思うのですが、浦賀さんはそれを分かったうえで、「でも、読者に媚を売るようなことはしたくないんだ」と語られたのです。

読者への気遣い(サービス)=読者に媚を売る・・・では無い。

そういうところがハッキリしているところが、非常に素敵だし、カッコイイなぁと思いました。

僕も「ここだけは意地でも守り抜く」という部分は持っているつもりなのですが、それ以外の部分だったら結構、媚を売るような姿勢も持っていたかもなぁと思って、ちょっと反省もしたり。

あと、ミステリ作家であり、日本推理作家協会にも所属されている浦賀さんとミステリについていろいろ話せたのは嬉しかったですね。
結局、僕が過去に書いてきたミステリの中で使っていたいくつかのトリックについても聞いてもらえて、感想も聞かせてもらえたし。

ミステリは僕にとっては、美しい構造を見せる物という要素も強く持っている小説だと思っているんですよ。
美しい物を創るのは何せ下手な自分なので難しいとは思うけど、自分にとって何冊目かの小説では、いつかミステリにも挑戦したいなぁと思いました。



どうしても、浦賀さんの話ばかりになってしまいますが(笑)、浦賀さんの同級生のお二人も楽しい人で、何か三人の会話を見ていると、浦賀さんの小説の中でたまに出てくる登場人物が居酒屋でわいわい楽しんでいるシーンを目の前で見ているような感じがして楽しかったです。

そうそう、これは僕もよくやることだし、すごい分かるんですけど、浦賀さんは自分の小説の登場人物の名前に、知り合いや友人の名前を使ったりすることがよくあるらしいんですよ。
そんなわけでこの日、ご一緒させてもらった浦賀さんのお友達も一人は、小説の中で殺されているし、一人は人を殺した後に殺した人を○○していた人と同じ名前だったんですよね。

そういうところも、面白い飲み会でした。

そんなわけで、まだ浦賀和宏先生の小説を読んだこと無いって人には、僕は強くお勧めしたいです。
まぁ好き嫌いが分かれる作風の作家さんであることは、ファンもよーく分かっているのですが、僕はあえて浦賀先生の作品の中でもあえて「松浦純菜シリーズ」をお勧めします!


浦賀和宏
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%A6%E8%B3%80%E5%92%8C%E5%AE%8F