ギリシャの再選挙の結果は、緊縮財政派の勝利となりました。


しかし、国民の約半数は緊縮財政に反対しており、さらに、緊縮財政賛成派の9割は、EUとの協定を見直すべきだと考えており、まだ安心はできません。


もし、ギリシャで躓き、スペインに波及すると、それこそリーマンショック並みの世界大不況が発生する可能性が高くあります。


そのような世界情勢の中で、日本では、一部に日銀法の改正を考えている方々がおりますが、私は基本的に反対です。


彼らの法改正の考え方は、


一、政府と日銀が政策協定を結ぶ
一、日銀の政策目標に、物価安定に加え、雇用の安定も加える
一、日銀のオペレーションに外債購入を加える
一、日銀の国会説明を設定する
一、日銀総裁の罷免権を設定する


まず、そもそも日銀法を改正しなくてもできるものが多くあります。


例えば、政府と日銀が政策協定等のアコードを結ぶことは今のままでもできますし、オペレーションで外債を購入することもできます。


また、日銀の総裁や理事の国会に呼ばれる回数は世界一で一番多いと思います。


もちろん、雇用の安定と総裁罷免権は法改正が必要ですが、雇用の安定に関しては、日銀が現在の政策課題として無視しているとは思えません。


では、総裁罷免権はどうかと言えば、世界中を見渡して、政府が中央銀行の総裁を罷免したことなど近年あるでしょうか。


ただでさえ、日銀の理事は政争の具にされて空白が続いたり、総裁の空白もありました。


こんなことは、先進国としてあってはならないのです。


たしかに、日銀はとても官僚的、保守的な機関ですので(革新的な機関では、中央銀行として問題ですが)、もっと柔軟な発想や、世界へのアピールの仕方、ECBやFRBのような効果的な広報の仕方を考えるべきですし、また、金融緩和ももう少しバリエーションを増やしても良いと思いますが、日銀法改正をする必要はないと思います。


ある意味、政府の思いのままになる中央銀行となってしまったら、日本の財政規律への不信感から、国債市場では長期金利が急上昇し、日本国債を大量に保有する金融機関株は売られてしまいます。


そのため、改正するぞというプレッシャーを日銀にかけ続けることは大切かもしれませんが、本当に改正してしまってはいけません。


また、金融緩和に関しても、一時的な効果はありますが、中長期的には財政への負担を増やすだけです。


また、金融政策だけではすべてを解決することはできません。


やはり金融政策と財政政策の両輪が必要で、需給ギャップ解消のために民需の掘り起しを積極的に行うことが最重要課題です。


日銀批判は景気が悪い時の常ですが、日銀には、20年、30年先を考えた金融政策を取ってもらいたいと思います。