マーケティングの観点から見た大河ドラマ | Happy!を創る3つの法則 

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何かと物議を醸している大河ドラマ「平清盛」ですが、先々週の12話がついに大河ドラマとしては9年ぶりの低視聴率を記録したことが話題になりましたが、昨日放送の13話はさらに視聴率を下げていることが明らかになりました。



・ 画面が汚い


・ 朝廷のことを「王家」と称している


・ 主人公の言動がおバカ過ぎて、為政者のイメージでない…


などなど、



理由はいろいろあると思います。



しかし、それらは表面的なことに過ぎず、マーケティングを専門とするコンサルタントの視点で見てみると、背景にもっと根本的な問題が隠れているように感じます。



それは、「誰に観てもらおうと思って作ってるのかわからない」こと。


つまり、作品としての「ターゲティング」があいまいなのです。



・ コーンスターチを使った演出で平安時代の空気感にこだわった画面=ドラマにリアリティを求める人向け?


・ 「俺は海賊王になる!」というワンピース的展開=子供かオタクに観てもらおうとしてるのか?


・ 朝廷内のドロドロの男女関係=昼メロファンを狙ってる?


・ 自分のアイデンティティを探す中学生のような主人公=中高生の共感が得たいのか?



…よくわからない。本当に全くもってわかりません!



その上、主人公=平氏の場面、朝廷の場面、ライバル源氏の場面と、ことごとく雰囲気やディテールが異なるのです。。。


これでは、どの人物にも感情移入できない視聴者にとっては面白くないドラマでしょう。。。爆弾爆弾爆弾


なんだかなあ。。。



(ちなみに、私は個人的に源氏が好きなので、「荒くれ源氏物語」だと思って源氏のシーンにだけ注目して観ています。)



しかし、昨今のテレビを取り巻く環境を考えてみると、仕方ない部分もあるのかも知れません。



なぜなら、「テレビ」は非常に公共性の高いメディアであり、その中でも特にNHKには公共放送としての役割があります。


その中でも長い歴史を持つ大河ドラマは朝ドラと並んで「広く国民に支持される」必要があり、特定の視聴者層だけを意識した作りにはできないのでしょう。。。


しかし、今の日本社会は万人が同じものを支持する状況にはありません。


(まあ、「カーネーション」は評判よかったですが…。。。汗)


日本がどん底の経済状態から一気に世界第2位の経済大国へと駆け上がった高度経済成長時代においては、良いものをできるだけ安く買いたいというのが消費者のニーズでした。


だから、大量生産大量消費が主流となり、子供からお年寄りまでが同じものを使い、豊かさを享受することで満足感を得ていました。


そのような時代には、メーカーは老若男女誰もに合う商品を世に送り出せばよかった。


大企業で大量生産された製品が大手スーパーに並び、消費者はそれらを購入し、家族全員で使ったのです。


例えば、40~50年前、風呂場に家族の人数分シャンプーが置かれているなどという光景はほとんど見られなかったでしょう。


しかし、世の中が豊かになるにつれ、消費者のニーズは多様化してきました。


同じ家族でも、年齢、性別、嗜好などにより使う商品が違うなどということは当たり前です。


そのため、現代においては明確にターゲットを絞った商品が、その支持層に支えられヒットするという現象がみられるのです。


それはテレビ番組も同じこと。


どんな人にもウケようといろいろな要素を盛り込んだ結果、すべてが中途半端で誰にもウケない。。。


これこそが大河ドラマの低視聴率か、ひいては昨今のテレビ離れを引き起こしている一因と言えるでしょう。



これはあくまで個人的意見ではありますが…。



ちなみに、変にエンターテインメント化せず骨太な歴史物に徹すれば、老若男女を問わない「大河ファン」という層の心を捉えることができ、もう少し多くの支持が得られるのではないかという気がします。