照射 | 書法家 武田双鳳の「そうほう録」

書法家 武田双鳳の「そうほう録」

「書で人生を豊かにする」をテーマに、日々のオモシロさを探求する書法家・武田双鳳の日記

おはようございます。
琵琶湖西岸で法律と書道の私塾 を開いています。


法律はリクツっぽくて堅苦しい、それに対して、書道はアーティスティックで自由なものだ……などといったように、一般的に、両者は全く別次元のものして捉えらているのでしょう。


しかし、法と書を同時に教え学んでいると、別次元どころか、しばしば「やることは一緒なんだなぁ」と感じさせられます。


例えば、法の世界で要求される「抽象論と具体論のスムーズな行き来」。これは書の世界においても重要な思考法(上達法)です。


当書道教室では≪いろんな文字から美の共通項を括りだす→それを自分が書く文字に当てはめていく≫というトレーニングをしたります。それは、当法律教室で行っている≪いろんな事件を通じてルールをつくる→それを別の似たような事件に当てはめて解決していく≫とやっていることは同じです。


また、先日、小学生に「色」の書き方を教えている最中、憲法の世界の「間接適用説」と似たような考え方が書の世界にもあることに気づきました。


『てっし録(^▽^)』~法的思考で時代を動かそう!-照射



間接適用説とは、憲法の人権規定が民法というフィルターを通じて「間接」的に私的トラブルにも適用されるというものです。ドイツでは、間接適用のことを「照射効」と呼びます(「基本権(人権)という陽光に照らして私法規定を解釈せよ」という考え方、有斐閣憲法判例百選Ⅰ(第5版)‐12解説参照)。


この「照射効」の考え方は、書の世界でも使うことがあります。例えば、「色」という漢字。一画目と二画目の左払いの方向を変えた方が、より文字が美しく見えます。では、どんな方向に払うべきか。「色」の右斜め上あたりの余白に想像上の太陽を置き、そこからの陽光の角度に従って書けば、程よい方向に払えるようです。


法も書もその対象は「人間」であり、その目的は「幸福」です(憲法13条参照)。似ているところが多いのは当然のことかもしれません。


晴れ書道教室「ふたばの海」