前々から何となく考え続けてきて、今年きっかけをいただいて、
そもそも「日本酒」・・・特に「地酒」っていったいなんだろうって。


灘などの大手流通が地酒文化を歪めてしまった、とか。

戦後の米不足が、ある意味技術の粋とも言える三増酒を産み
その後の日本酒業界の怠惰が日本酒文化を歪めてしまった、とか。

各地で行われる鑑評会が、技術の大幅な向上と引き換えに
本来の地酒定義を含む、豊かな地方色を薄めてしまった、とか。

いろいろな原因がいろいろな事情で重なって、
それを日本人である業界も消費者もほったらかしにした結果、
日本酒の斜陽といわれる今のこの現状があるのだと思うのです。


日本酒は日本の誇るべき食文化であり、
ワインにも勝るとも劣らないポテンシャルを持っています。
(僕はワインも大好きですのでワインファンの方、
どうかどうか怒らないで読んでくださいね・・・!)
ワインと同じようにコース料理に合わせて
食前・食中・食後まで全て楽しむこともできます。
和食だけでなくイタリアン・フレンチ・中華など
様々な料理に合わせて楽しめる万能選手です。

しかし

日本人が自国の酒に対して誇りを持っていない、
そもそも日本酒を理解していないというこの現状。
本当に、ほんとーーーーーに、
もったいない(というか情けない)話だと思うのです。


僕の個人的な日本酒に対する想いをここに書いてみます。


1.日本酒の「基本」は純米酒であるべき
  アルコール添加に意味がないとまでは言わないが
  しかしちゃんと純米酒を造れぬ蔵元のアル添酒は認めたくない

【問題点】コスト高、そしてスッキリ味が好きな消費者の存在をどうする?


2.本来は地の米を地の水で地の蔵人が醸し、地の食材と味わうべき
  鑑評会用に兵庫県産山田錦を新潟で醸して本当に新潟の地酒?
  土地のお酒は土地の食べ物と合わせて飲んで真価を発揮する

【問題点】そうは言っても鑑評会金賞受賞は販売促進に効果絶大なのが実情


3.本来は地元消費者が望むその蔵ならではの酒を醸すべき
  鑑評会で金賞を取る為に「鑑評会仕様」の酒造り→それ故の弊害
  最近よく言われる「全国のお酒がみな同じ味」の傾向

【問題点】地元だけでは経営が成り立たず都会で売れる酒を造らざるを得ない


難しい問題が山積みでもあり(最たるものはやはりコスト/売上の問題)
言うは易しなのは重々承知の上です。

逆に言えば、再生を図り努力している蔵元さんはみなさんは
以上の点をポイントに,、改善を重ね努力しているように思います。
小さな蔵元さんであればあるほど、ここに再生の鍵があると思うのです。

嬉しいことにここ何年か、蔵元さんはもちろん、酒販店や飲食店でも
そんな熱い想いを持って本物を追求する人達が確実に増えています。
頑張って欲しい・・・・・心から応援しています。


この意見は、ある意味理想論である、ことは承知しています。
これは僕の日本酒に対する想いであって決して全てではありません。

仲間と集まってパーッって時は造りのよい本醸造で楽しく飲むもよし。
旅の民宿で山菜料理と一緒に頼んだ地元の名も無き安酒もまた旨し。
型にはまらずしかし筋は通すがウンチクばかりで凝り固まることなく
いつでも楽しく呑むことを忘れない酒呑みでありたいですね。