映画「ヒトラーの贋札」 | 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

映画「ヒトラーの贋札」

原題:Die Falscher
原作は「THE DEVIL`S WORKSHOP(ヒトラーの贋札 悪魔の工房)」、悪魔のワークショップというのが、なんだか的を得ているようで、主人公も善人じゃない~

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実際にオーストリア・トプリッツ湖から大量のポンド紙幣が見つかったという。それが1959年のこと・・・第二次世界大戦中にそのワークショップで作られた贋札は1億3,200万ポンドというから凄まじい。それがナチス・ドイツの"ベルンハルト作戦"・・・ユダヤ人のサロモン・ソロヴィッチ(カール・マルコヴィクス)は闇で公文書偽造や紙幣贋造を生業としていたが、行きずりの女性と一夜を共にしているところをヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)に踏み込まれ逮捕、強制収容所送りとなるも、腕を買われ贋札工場チームに修整主任として加わることになる。一匹狼だった彼も、印刷技師のブルガー(アウグスト・ディール)や美校生のコーリャ(セバスチャン・アーツェンドウスキ)らとの仲間意識が芽生え、生と死、正義と保身の狭間で葛藤しながらも持ち前の技術を生かした目覚しい働きで贋札を完成させる。
ナチスによるホロコースト、まさしく死がすぐ隣にある。そんな周囲の状況の中で、ブルガーはナチスの陰謀に加担することが結果的に仲間や家族を苦しめることになると正義を貫き死をも厭わぬ姿勢をみせ、紙幣印刷を妨害する。後に彼がおそらく誇らしくこのワークショップの出来事を書き著すのだし立派なのだけど、観客としては葛藤しながらも物語の主人公ソロヴィッチのほうに感情移入するよね、彼の仕事を完成させようとする気概、仲間を思いいたわる優しさ、正義の味方から非難されようとも彼にこそ人間らしさをみる気がする。最後にまたモナコ・モンテカルロのギャンブルで思い切り良く大金を散財し、海辺にたたずむ彼の後姿がとても侘しい。
(wowow)  ヒトラーの贋札