映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」 | 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

これまた過激なタイトル、『劇団、本谷有希子』2000年初演戯曲の小説版映画化なのだけど、題名に負けない中身もちゃんとある~家族の秘密とエゴイスト~

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
北陸の石川県の能登の山の中の道の上、ダンプカーの両輪に無残にも轢き殺されて道路に残る真っ赤なタイヤのあと、残された家族による葬式から物語は始まる。そんな葬式の最中に山奥には似合わない派手なファッションで女優志望の和合澄伽(佐藤江梨子)が東京から帰ってきたと思ったら、一気に家族の秘密が爆発する。兄の宍道(永瀬正敏)、兄嫁の待子(永作博美)、妹の清深(佐津川愛美)、それぞれに個性豊かな面々の秘めた思いの織り成すドラマが面白い。
家庭内暴力、血縁はないが近親相姦、裏切り、売買春、詐欺~家庭内にこれほどまでに凄惨な事故や事件が訪れるかというぐらいに不幸が押し寄せてくるけど、あっけらかんと強くたくましく生き抜く澄伽が突き抜けてて楽しい、駅のロッカーに産み落とされた過去を背負い、結婚後30歳を過ぎても処女のままという待子像もけなげで、清深のオタク振りもなかなかのものです。それにしても澄伽は妹にくっついていったのが気になったけど、これからも逞しく生きていくんだろうか、これはなかなかに面白い映画です。
(wowow)  腑抜けども、悲しみの愛を見せろ