映画「殯(もがり)の森」 | 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

映画「殯(もがり)の森」

生きていることの意味、それはゴハンを食べること、オカズが美味しいということ、そして何かを感じること・・カンヌで審査員特別賞の河瀬直美監督作品・・
mogari_chirashi 殯(もがり)の森
ここは奈良県山間地、軽度の認知症を患う人たちのグループホームに新人介護福祉士の真千子(尾野真千子)がやってくる。彼女は事故で子供を亡くし夫とも別れてひとりやってきた身、仕事に不安を覚えながらも、お坊さんの有難いお話などをグループホームの人と一緒に聞いたり、みんなでお習字したりしながら徐々に打ち解けていく。なかでも、しげき(うだしげき)という初老の老人に、子供に帰ったような聞き分けの無いその白髪の老人に、自分の亡き子供の姿を重ね合わせたのだろうか、子供に対する償いの気持ちなどあったのだろうか、こころを開いて話せる間柄となる。そんなある日、ふたりは、しげきの妻の三十三回忌の墓参りに行くことになるが車が脱輪、森の中へと彷徨いだすしげき、後を追う真千子、何処までも続く森、夕立の後に広がる暗闇、裸の体で暖め合い朝を迎え、また歩き出し見つけた空き地、そこがしげきにとってのもがりの地だった。穴を掘りうずくまる彼、側の真千子の頬に流れる涙・・暗い映像のシーンが多いのと、言葉が全体的に聞き取りにくいのが残念なところだけど、気持ちは十分に伝わる。悲しみの中で心を閉ざしてきた2人が、子供に戻ったしげきが、辿り着いた感情の発露、・・静かな森にウグイスの鳴き声が響き渡る・・。(NHK-BS2)  殯(もがり)の森