映画『麦の穂をゆらす風』 | 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

映画『麦の穂をゆらす風』

原題:The Wind that Shakes the Barley
第1次世界大戦後のアイルランド独立戦争、英愛条約の締結後のアイルランド内戦と美しい自然を背景に、義勇兵としてIRAに参加した悲しい男の物語・・
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麦の穂をゆらす風というロマンチックな題名から受ける印象、そのとおりなのは起伏に富んだ緑豊かな大自然だけなのかもしれない。物語は過酷な運命に翻弄される兄弟を中心に展開する。
1920年、独立戦争時代のアイルランド、青年医師デミアン(キリアン・マーフィ)はロンドンでの就職が決まり故郷から列車に乗るため駅まで来るが、ここでまたしても目にする英国兵士の横暴振りに、戦争を嫌い平和主義者だった彼も遂に兄テディ(ポードリック・ディレーニー)のもとで義勇兵としてアイルランド独立のために戦うことを決意、そしてその目的は達成されたかに見えたが、北アイルランドが取り残されたこと、アイルランド自由国もまた英連邦に組み込まれたままであることに不満を持ち、完全独立を目指すグループによって内戦が勃発、兄弟は敵味方に分かれることになる。そして結末、デミアンは兄テディの手によって銃殺されることとなる・・愛するシネード(オーラ・フィッツジェラルド)を思いながらしたためられた遺書に涙を誘われる・・印象に残る美しい歌と共に麦の穂のように風に揺られて後戻りの出来なかった彼らの過酷な運命が、哀しくアイルランドの山野にこだまする・・。(wowow)