映画『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』 | 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

映画『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』

原題:The Three Burials of Melquiades Estrada
映画史に燦然と輝く幾多の名作、この物語にはそんな映画達の遺伝子が息づいているのかもしれない・・約束と友情と人生の悲哀、頑なな男の辿る旅路・・・
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メルキアデス・エストラーダ(フリオ・セサール・セディージョ)はテキサスの牧場で働くメキシコ人、標的に当たらずともふざけたカンジで荒野に向かいライフルを発砲する、その時ちょうど国境警備員のマイク・ノートン(バリー・ペッパー)は車を離れて草むらでズボンを下ろしエロ本片手に一発決めようとしていたからたまらない、銃声が轟き慌てふためき驚いて、自分が狙われたと勘違いして反撃する、その反撃の銃弾の一発がメルキアデス・エストラーダの胸を捉え肺を貫通、出血多量であの世行きとなってしまう・・。
そこから3度の埋葬が繰り返されることになるが、この映画の主題は埋葬ではなくて2度目と3度目の間の旅にあるようだ。メルキアデスの親友のピート・パーキンズ(トミー・リー・ジョーンズ)は、かつて彼との約束を果たすため、思いがけず殺人犯となったマイクを拘束し、二人でメルキアデスの遺体を故郷のメキシコの村ヒメネスへと向かう・・。旅の途中で出会う盲目の老人がとても暖かく印象的だった、でも人生の悲哀だよね、とっても哀しくていたたまれない・・。
そして、苦労の末に辿りつたところに・・二つの丘の間にあるという、メルキアデスが語っていた美しいヒメネス・・それは現実には存在しなかった、頑固オヤジのようなピートもまるで狐につつまれかのように彷徨う・・が、圧巻はこの旅がもたらしたもの・・ピートが意識しようとしまいと、マイクに対して与えた贖罪・・きっとこの旅はマイクの魂を救う旅だったのだろう・・3度目の埋葬の後、馬に乗り1人立ち去るピートの後姿を見つめるマイク、まるでシェーンカンバックみたいな、感動の余韻を残す彼の表情がとても素晴らしい・・。(5/16wowow)

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬