映画『ヴェラ・ドレイク』 | 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

映画『ヴェラ・ドレイク』

原題:Vera Drake
優しさゆえに犯した罪、それでも法が法であるために、そして哀しくも見せしめと言われ、彼女は2年6ヶ月の禁固刑を受け入れた・・それでも幸せな彼女・・
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1950年イギリスはロンドンの下町、決して裕福ではないが、家族とともに幸せな日々を暮らすヴェラ・ドレイク(イメルダ・スタウントン)、家政婦として働く彼女には家族にも打ち明けられない秘密があった。生んではいけない子供を身篭った娘や、子沢山でもうこれ以上養っていけないというのに身篭ってしまった人々の堕胎を、非合法で施していたのだった。あくまでも無報酬で困っている人たちを助けているだけなのだが、処置を受けて生死を彷徨った一人の娘が病院に駆け込み警察の知るところとなり逮捕されてしまう、やはり判決は厳しかった。
・・驚くのはあの堕胎の仕方だ、石鹸水に消毒液を混ぜて注入器で・・トイレに行けば全部流れて出てくるという。見所はイメルダ・スタウントンの演技、非合法なのは知っている、けれど優しくて世話好きの彼女が、逮捕されるという現実に直面し、まるで髪の毛が蛇の怪物に見据えられたように固まってしまう。それでも家族を気遣い、患者を気遣う彼女の優しさがにじみ出ている。彼女は刑に服し、彼女のいない家族がひとつのテーブルを囲んで座っている。誰も何も話さない。ただ静かに佇む・・。(9/20wowow)  ヴェラ・ドレイク