”熊本・大分地震から1年。 由布院は活気を取り戻しているものの、まだ爪痕も残る。
今回は、地質学の観点から断層に注目し、専門的に考察しよう!”
おごめ~ん、大分のtakatch親方です(`・ω・´)ゞ
北陸・京滋旅行からそのまま由布院へ!(さんふらわあ降りて、由布院直行!)
大分地質学会の巡検会に参加いたしました♪その模様を、画像にて簡単にご紹介いたします!
大分の地質好きが集まり、学習や交流を深める大分地質学会。
私も3年前から入会。(ジオパーク&中学時代の恩師が学会の役員という縁で。)
地質など自然科学は素人で、学生時代も苦手教科だったのも事実。
ただ、おおいた豊後大野ジオパーク活動で地質に興味を抱き始め、せっかくなら学習しよう!とのことで入会です。
3年前の玖珠盆地巡検会が初参加で、その後は2016年総会&2017総会に参加したのみ…。幽霊会員状態でした。。。(苦笑)
(その間に行われた事業にも参加したくとも、いずれも先約が…。おまけに、昨年の姫島巡検会なんか、日程も行き先も大分学研究会と丸かぶりというね…w)
今回、幸いにも都合が空いていた&興味のあったフィールド・テーマでしたので、参加いたしました^^
今回の巡検テーマは、
「熊本・大分地震による由布院盆地の被害状況について」。
昨年4月14日と16日に、熊本・大分地震が発生。
由布院でも大きな被害が発生。
今年の総会でも、この地震や由布院盆地の被害状況の報告が行われました。
その報告をもとに、今回は現地調査。
地震から1年。今なお残る被害。
地質の専門家・ジオ好きが集まり、断層に注目しました。
▽あれから1年~熊本・大分地震の影響@大分地質学会~動画→https://youtu.be/SVrRJaSkAg8
▽Cf:動画(2020年4月追加)→https://youtu.be/GcZCEZTMb1s
<行程>
- 荒木地区~荒木断層と最大級の被害~
- 仲依地区~道路段差&石積崩壊~
- 由布岳・狭霧台~絶景と大被害~
- 湯坪地区~亀裂~
- 並柳地区~最大のずれ~
- 若杉地区~若杉断層~
日本で有名な観光地の一つである、由布院。
温泉、金鱗湖、おしゃれなお店などで有名ですね!
その由布院は、周囲を山に囲まれた盆地です。
由布院(湯布院町)については、大分学研究会例会(湯布院編)で詳しくご紹介しております。ご参考までに。
由布院地域で特に被害の大きかった6スポットを現地観察。
(1)荒木地区~荒木断層と最大級の被害~
市街地の南西部に位置します。東西に走る荒木断層があります。昨年の地震で、この断層が動いた形跡が随所で確認されました。
その影響でしょうか、由布院でも最も被害が大きかったと言われます。
今回、午前中に西地区・午後に東地区を訪問。弊記事では、まとめてご紹介!
まず、とある墓地にて。
こちらでは、墓地の倒れ方で、断層の向きが分かるそうです。
▽こちらは、東西を向いている墓地。現在は元通り修復されていますが…
▽地震直後は、倒壊。
▽一方、南北を向いているお墓はまったく被害なし。
このことから、今回の地震では、「東西の動き」が見られた(×「南北の動き」)というのが大きなポイント!!
この荒木地区の東西を走る断層は、「荒木断層」と呼ばれます。
この後、この東西の断層が他にも登場しますので、覚えてくださいねっ!
なお、熊本県で大きな被害のあった益城町も、この東西の断層が動いたそうです。
(Cf:1974の大分中部地震=「南北の動き(=由布院断層)」)
▽墓地近くにあった灯篭も崩壊。
これも実は東西を向いていたもの。
▽灯篭近くの門も、倒壊したまま。
この荒木断層、道の駅ゆふいんまで続いています。
▽道の駅ゆふいんのお手洗いにもヒビが入ったまま。
午後は東地区を見学。建物被害が多かったそうです。
▽塀が右へと傾いております!これも東西の動き。
▽とある駐車場。遠くに由布岳。いい風景だね~。
…って、足元を見よう。
▽こちらにも亀裂が走っています。
▽神社。燈籠をよく確認しよう。
▽中段だけ新調。
▽近くに鳥居の倒壊跡もあり。被害の大きさを伺えます。
▽また、境内入口には湧水もあり(1年半前に訪問あり)。
無事に湧水しているので、一安心♪
阿蘇では、地震後に水脈変化→水が湧かなくなった場所もあるそうです(参考記事)。
▽石積崩壊した家も多く。新しく石垣を築いております。
▽家にヒビもあり。
▽また、家が倒壊→更地となった場所も。
▽寺院では、鐘楼の柱が挫折したという被害も。
▽現在は再建。
▽その寺院の門にて。
広島カープの登場に思わず笑いました(笑)
復興も、長い道のりですがそのうち光が射すかもですね☆
(2)仲依地区~道路段差&石積崩壊~
次に、市街地南の仲依地区へ。
こちらも爪痕が残ります。
▽県道11号(やまなみハイウェイ)にも亀裂(クラック)。
段差10cmほどか。
▽路側帯には、「ミ型」と呼ばれる亀裂もあり。
これは、地面が左方向にずれて生じた亀裂が、まるでカタカナのミの字に見えることから名付けられたものです。
▽詳細は、巡検資料にて。
ついでに、そもそもなぜ道路に亀裂が入るのか。
揺れのおおもと:震源の真上:地表面に震央あり。
ただ、震源から横に震源断層があると、その断層を伝って横・斜め方向に揺れが伝わります。
それが地表に現れると地表地震断層=亀裂となり、今回の道路亀裂のように現れる仕組みです。
▽詳しくはこの図にて。
そして、石積被害が深刻です。
石積崩壊部分に要注目を!
▽未補修部分はシートがかぶせられたまま。
▽コンクリートブロックで補修もあれば…
▽応急処置的な補修も大多数。
▽近づくと、石積に隙間が!
これぞ、地震の影響。
さて、石積みを見て気付かれましたか??
…実は、全部の石積が崩壊したわけではございません。
崩壊したのは一部分。
…そう、東西の断層上にある石垣が崩壊したという分析です。
「石積崩壊=地盤のずれ」
ということも、この地で学びました。
(3)由布岳・狭霧台~絶景と大被害~
次は風光明媚な場所へ!
豊後富士:由布岳、由布院盆地を一望できる狭霧台展望所。
県道11号(やまなみハイウェイ)を歩きます!
▽由布岳。
その道中でも、地震の爪痕あり。
▽土砂崩壊
▽道路のクラック
▽現在は補修されましたが、地震直後には道路隆起もあり。
▽また、挟霧台展望所も大被害。復旧まで時間を要す模様。
▽大きな被害のあった場所を地図に落とす→線で結ぶと、断層が見えるそうです。
(4)湯坪地区~亀裂~
次は中心部へ!
金鱗湖や自衛隊が近くにある湯坪地区へ。
こちらでも断層の姿や被害状況を観察。
▽地震直後の湯坪の一角。
▽あれから1年。石積みは復旧も、家屋は全撤去。
▽この近くにある観光地看板に注目。根元に注目!
▽亀裂あり。
▽看板~先ほどの石積箇所の遠景。
実は、画面左手前~右奥にかけて、断層・亀裂あり。
断層沿いに被害発生ということを改めて実感。
また、自衛隊前も通ります。
この付近は、被害住宅が密集。(画像左中央、赤囲み部分)
▽亀裂が入ったままの建物もあり。
(5)並柳地区~最大のずれ~
標高が高くなり、山間の並柳地区へ。別荘地、高速道路が走っているこの地区では、由布院最大の地盤のずれを観測した地点。
大分自動車道で大きく土砂崩壊したのもこの並柳地区。ゆえに、4月16日の本震(後震)の震源=並柳から半径1km以内と推定する専門家も。
▽最大のずれを観測した家へ。画像手前&奥方向に、20cmの横ずれ発生!(Cf:熊本益城=2mの横ずれ)
▽塀なども大きくゆがんでいます。
建物には被害なしなのだとか。
ポイントは、盛り土。盛り土が揺れを吸収し建物を保護(水の上に浮かばせた船の状態)したためだとか。
盛り土について、話題となっている昨今の日本(笑)こうしたメリットがあることも学習。
▽近くには、大分自動車道も走ります。土砂災害工事は完了し、現在は橋梁補強工事へ。
少し山を下り、工事現場へ。切り土で露頭あり→断層の確認。
▽全体的に、赤い角礫石の層。その上に(中央上部)、黒ボク土の層が乗っています。(cf:黒ボク土について)次のスポットでも登場!
(6)若杉地区~若杉断層~
最後に、さらに南方向に進んだ若杉地区へ。こちらでは「若杉断層」と呼ばれる東西の断層を確認!
▽まずはループ道。現在は復旧されていますが…
▽地震直後は大きな亀裂あり。
ループを少し下り、工事現場へ。こちらでも若杉断層(赤い角礫岩の上に黒ボク土)を確認!
▽うむ、これぞ地質学会という感じの画(笑)(開始の表紙に採用頂ければ…w)
そして、とある民家へ移動。
▽石積崩壊&建物の右半分が隆起。接する道路は、左側への下り斜面(左側が低い)
…むむっ!?ここで何かに気づかれたあなた、素晴らしいです☆
「普通の重力なら、石積崩壊すると、左側へ石積みも建物も傾くはず。」
↓
「なら、重力以外の要因→そうか、地震・断層の影響だ!!」
↓
ご名答☆
では、別の角度から考察。
▽屋根。奥の部分が歪んでいる&高さが異なっています。その部分の真下で、石積崩壊。
▽このアングルでより一層おわかりいただけるでしょう!奥から2~3番目の窓が大きく歪んでいますね!
この歪みがある部分=断層あり(「石積崩壊=地盤のずれ」の法則)
また、近くの道路でも亀裂あり。
地震直後は、大きな隆起あり(車も通れないほど)→由布市がすぐに復旧。
アスファルト=変化に弱いそうです…。
…以上が、今回観察したスポットです。
▽今回紹介した断層はじめ、別府湾-日出生断層帯の図。中央部やや右下に若杉断層あり。
その他、巡検中に多くの列車とも遭遇☆
(JR久大本線が走ります!走っているのは断層だけじゃないのよ!(苦笑))
▽キハ200
▽特急ゆふ
▽ゆふいんの森号
▽ななつ星
そして、温泉へ
1万歩以上歩いたので(笑)、かわにし温泉でまったり♪(Cf:過去記事)
地震から1年。
今回、専門的な面から初めて現地学習。
「東西の断層」が今回の地震のキーワードですね!
荒木断層、若杉断層を初めて覚えましたっ!!
そして、どこを見れば断層の姿が分かるかも学習。
→石積崩壊箇所、道路の亀裂、地層の重なりですねっ!
自分たちの足元を知り、地震の傾向を捉えることが、今後の防災にもつながるのではと感じました。
豊後大野市では、各家庭に防災ハンドブックが配布されております。
それを読み、防災の基礎知識・地元の地形や経路を押さえる必要もございますね。
今回、学会の皆様やバス運転手には大変お世話になりました。ありがとうございましたm(__)m
以上です!最後までご覧いただき、ありがとうございました☆
「ジオパーク」動画集→https://www.youtube.com/playlist?list=PLCP8H0iqHBwDjq8TKCSNMwtBqz8Dq96FF