映画『パシフィックリム』はウルトラマンAか? (一部、ネタバレありです) | 作家・土居豊の批評 その他の文章

映画『パシフィックリム』はウルトラマンAか? (一部、ネタバレありです)

映画『パシフィックリム』はウルトラマンAか?
(一部、ネタバレありです)


公式には、日本の特撮やアニメへのオマージュではない、とのことですが、この映画は、やはり特撮、ロボットアニメの元ネタを連想させる場面が満載だといえます。
「エヴァンゲリオン」まがいのエントリープラグ(注:エヴァの操縦者が中に入る操縦席部分。操縦者の神経をメカに直結する液体が満たされる)が、なぜかわざわざ「パイルダーオン」(注:アニメ『マジンガーZ』で、コクピット部分にあたる小型ヘリのようなメカ。巨大ロボットと合体して操縦する。)するのには、感心しました。
ロボットの中で、人が戦う真似して操縦するのは、「ジャンボーグA」が最初かな?
異次元からの侵略は、「ウルトラマンA」のヤプールと超獣が元ネタでしょうか。
そもそも、この映画のロボットは、単に二人で操縦するというだけでなく、ドリフトという神経接続で二人の意識が相互に合体するようなイメージで作られているが、「二人で一つの変身」というのも、「ウルトラマンA」が最初かも?
全体として、大いに楽しめたのは確かです。
(以下、ネタバレもありますので、まだご覧になっていない方はご注意ください)

























年季の入った特撮ファンとして、少しだけ苦言を呈しますと、怪獣の造型が、ワンパターンすぎると思います。なにしろ異世界からの侵略者なので、「どうしてこんな無茶な形状の巨大生物が動けるんだ?」みたいな驚きも、ありだと思いました。
また、息子が父の代わりに死んでいくパターンは、日本ではまずないと思うので、かなり違和感がありました。お国柄の違いでしょうか。
あと、映画そのものとしては、菊地凛子の日本語セリフは不自然に感じます。あれなら英語セリフで統一した方がよかったと思います。特に、「アイシテマス」は、ちょっと…。
芦田愛菜ちゃんは、盛大な泣きっぷりでハリウッドデビューを飾ったというところでしょうか。
博士が怪獣とドリフトしたら、怪獣の方にも人間の情報が伝わるはず、という話が、続編の布石かな?などと想像すると、楽しくなります。
最後に、おそらく誰かがこの点については感想を書いていると思いますが、ロシアのマシン名が「チェルノ」だったり、初期のマシンでの放射能被ばくや、マシンのメルトダウンがストーリーの鍵になるなど、全体として原子力へのメッセージが目立つように感じます。これは、もしかして福島原発事故へのエールのつもりでしょうか?

※映画『パシフィック・リム』
http://wwws.warnerbros.co.jp/pacificrim/