神奈川・大磯 伊藤博文が愛した会席料理店にて(松月) | 会長のホーロー記 高橋会長のオフィシャルブログ

神奈川・大磯 伊藤博文が愛した会席料理店にて(松月)

神奈川県・大磯町といえば、吉田茂元首相が晩年を過ごした地。

 

旧吉田邸跡は公開されていますが、もともとの建物は9年前に焼失。

 

現在再建築中で、来年の春には建物内部も一般公開される予定です。

 

敷地内にある、氏の銅像は、第二次世界大戦後の昭和27年に講和条約を締結(同氏が首席全権委員として調印)した地、アメリカのサンフランシスコの方角を向いているのだとか。

さらに遡ること、明治時代、ここ大磯は、湘南の温暖な気候から明治の元勲たちの別荘地として賑わっておりました。

 

西園寺公望大隈重信岩崎弥之助山縣有朋など、錚々たる顔ぶれ。

 

中でも、一番、この地を気に入っていたといわれているのが、初代総理大臣だった伊藤博文。

旧千円札の肖像の爺さんが伊藤翁です。

 

その伊藤博文が大磯の別荘(後に本宅となる)、滄浪閣(そうろうかく:現在の大磯プリンスホテル別館)滞在中に通った、といわれるのが駅前にある、会席料理・松月。

こちらの店は、滄浪閣の料理長だった初代が1903年(明治36)に創業した、業歴110年余の老舗。

 

伊藤翁は、この店の玉子焼きを大変好んだとか。

完全予約制ながら、昼は会席で3780円、夜は6480円~、と割とお手頃な値段で伝統の味を頂けます。

 

会長は夜の部に訪問。6480円、8640円、10800円のコースから、一番注文の多い、という8640円のコースにしました。

 

先付。

和風かにシュウマイ。

 

魚のすり身にズワイガニのほぐし身を合わせて蒸した一品。

優しい味だねぇ。

 

のっけから日本酒を注文しちゃいます 日本酒

 

八寸。

左上から時計回りに、イクラ、穴子寿司、白和え、揚げ物は、ギンナン、貝柱、シイタケ(貝柱の下)。

 

この向きで供されたんだけど、左側の見栄えが悪い…。

 

これだと、お分かり頂けるのではないでしょうか。

イクラは醤油ではなく醪(もろみ)漬けなので、旨みが利いてます。

 

穴子寿司は穴子本体が白焼き、かと思ったら下味が付いていて何も付けないで頂くと、これがまた、上品な味。

 

貝柱は最初コロッケかと思うくらいの身の厚さ。噛むほどに味が染出てきます。

 

日本酒が止まらない~(笑)。

 

白和えは、キノコ各種を短冊切りにして松の実を散らしてあります。

ゴマの風味豊かで、胡麻和えか!と思うくらい。

 

吸物。

マツタケ、タイ、クルマエビの土瓶蒸し。

 

お~っ!!今シーズン最初(そして土瓶蒸しとしては結果的に最後となってしまった)の松茸の土瓶蒸しぃ~~きのこ

 

例年、金沢で頂くことが殆どだけど、初めて関東エリアで頂きました。

蓋を開けると、間違いなく、それぞれの主役が乱舞。旬の香りが鼻をくすぐります。

 

まずは、十分染み出したエキスを頂きましょう。

ウ~ン、濃い音譜

 

これで、日本酒飲めちゃいます…。

 

刺身。

左側から時計回りに、クエ、メジマグロ、クエの皮。

 

湘南で水揚げされた魚だそう。

 

一瞬、クエの皮なんて…と思いましたが、実はこれが結構旨いことを思い出し、最初に頂きます。

 

玉子焼き(別注:648円)。

一切れが大きい玉子焼き。

 

いい色加減しています。

 

ひと口頂くと、やや甘いながらも、ダシとも相まって、酒のつまみにもご飯のおかずにもなる逸品。

 

全体的にふんわりとした仕上がりになっていて、口当たりもイイ。

これが、伊藤翁が好んだ味かぁ。

 

ダシの風味を生かすため、油にも気を遣っているそうで(油の種類・配合については不明)、東京の玉子焼きともちょっと違う味だけど、好みです。

 

焼物。

牡蠣の秋山焼。

 

一言でいえば、「カキの和風グラタン」。

 

チーズは使わず、卵の白身をベースにして下味を付けたものをオーブンで焼いてあります。

 

見た目よりフワッとしていて、グラタンよりあっさりしていて後味もいい。

 

食事。

穴子入り粟蒸し。

しょうが餡をかけた粟蒸しは、粟のほのな甘みと、しょうが餡の淡い塩味が生かされていて、〆にはもってこい。

 

やや物足りなかったけど、マツタケも食べたし、これで、デザ-トになるんだな、と思ったら番狂わせ。

 

止め肴。

甲箱ガニ酢。

 

ホールの担当のお姉さんが、恭しく持って来て、このカニの口上を話し始めます。

 

その説明が必ずしも正しくなく、かつ、質も量もイマイチだったので、観光特使の名刺を出して説明の誤りを訂正しようかと思ったけど、止めておきました。これがホントの「止め肴」。

 

季節感を出すために提供したのでしょうけど…。

 

一般の人だったらウケるかもしれませんが、会長と出会ってしまったのがウンの尽き。

 

なぜ、産地でもない神奈川で、甲箱ガニを提供したかというと、現在の主人(5代目?)は金沢の料亭つる幸で修業したからだとか…

金沢の居酒屋レベル以下の甲箱を最後に出され、気落ちして、デザートの自家製あんこの白玉汁粉の写真を撮るを忘れてしまいました(これまた上品な味でした)。

 

甲箱以外の料理は、なかなかの味加減。

 

素材の味を大事にしていることがわかるねぇ。

 

接客は、過去ボロクソに言われ、改善が進んだせいか、ちょっとした料亭並みの物腰の柔らかい丁寧さ。

 

酒の種類から料理の内容まで、質問にはちゃんと答えてくれます。

 

この味、好きだからまた来ちゃうかも…。

 

 

美味しかったです。

 

ご馳走様でした。

 

 

松 月

神奈川県中郡大磯町大磯871

電話 0463-61-0037

営業時間 11:30-15:00 17:00-21:00

定休日  月曜

どくしゃになってね!