勇者はなぜ、逃げ切れなかったのか | たからしげるブログ

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 まもなく3月11日がくると、いまなお復興途上にある東日本大震災の発生からまる5年を迎える。

 その間に、わが国だけではなく、世界各地で地震、津波、火山噴火、竜巻、台風、ハリケーンほかさまざまな自然災害が発生して、それに巻き込まれて人生を狂わせた人の数は計り知れないといっていいだろう。

 大自然の脅威を前にすれば、人間一人ひとりの力など、凶暴な怪獣ににらまれた赤子同然といってもいい。

 そんな赤子は、どうしたら凶暴な怪獣の攻撃から身を守ることができるのか?

 自然災害の発生を未然に察知してかわす術を、日本列島で暮らしたわれわれの祖先の知恵から学ぼうという趣旨で、このたび児童向きに書き下ろされて発売となったのが、田所真著『勇者はなぜ、逃げ切れなかったのか』(くもん出版、1400円+税)だ。

 副題は=歴史から考えよう「災害を生きぬく未来」=とあって、たのもしい。

 じつをいうと田所さんには2012年、市原市埋蔵文化財調査センターの所長をされていたころに、くもん出版から出した拙著『まぼろしの上総国府を探して』の監修と取材協力をお願いし、うけていただいた。

 知り合ったのは、それよりさらに16年ほど前の、ぼくが市原市を含む房総5市を管轄する新聞社の通信部員をしていたころだ。

 日本考古学協会と国史学会の会員で、考古学者である田所さんは、考古学が人々の生活にいかに役立つかを、身をもって証明し、実践してきた数ある研究者のひとりだ。

 このほど世に出た本書は、『まぼろしの上総国府を探して』で素晴らしい本づくりの手腕を発揮し、田所さんとぼくの結びつきを一層強固にしてくれた、くもん出版編集部の谷延尚さんの熱い息がかかっている。

 未来社会の減災と防災を担う、ひとりでも多くの子どもたちに読んでもらいたい。