もしかして金属アレルギー!? | 高輪クリニックドクターズのブログ

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ジルコニアインプラント専門医、金属アレルギー専門医、
歯科再生医療専門医、かみ合わせ専門医、ゲノムドクター専門医
矯正歯科・歯列矯正歯科の医院の院長先生や医師たちが書き連ねるドクターズブログです。


症例③木津由紀さん
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歳・女性


 もうおひとり原因不明とされていくつもの病院を巡ったのちに、当院で病
気の原因が判明して症状が完全に消失した方をご紹介します。

 木津由紀さん(仮名)は、6年前から手のひらと足裏に突然水疱が生じて、
その後かさぶたになり治ったかと思えば1ヶ月後に湿疹ができる状態を繰り
返していました。


 さらに5年前から湿疹は全身におよぶようになり、かゆみで肌をさわるこ


ともできなくなって、睡眠もままならなくなりました。
 手のひらの湿疹は悪化するとハシをつかむこともできず、精神的にも落ち
込み次第にうつ状態になります。

 皮膚科でアレルギー検査をしても、スギ花粉とハウスダストに軽く反応す
るのみ。木津さんの症状は原因不明とされたまま、ステロイドと軟膏が処方
されます。


 アレルギーでよく処方されるビチオンというビタミン剤を内服して、一時
的に症状が好転したことはありましたが、長い目で経過をたどると症状は悪
化する一方だったのです。


 2012年6月に来院されて当院で検査した結果、木津さんの症状の原因は8
年前に埋入したチタンインプラントと、過去に受診した歯科医院で充填された水
銀や銅とわかりました。


左掌■木津さんの症状の変化

2013年6月:水疱が生じてはかさぶ
たになり、ふたたび湿疹になることを
繰り返していたころ。


左掌

2014年6月:チタンインプラント除
去後、ジルコニアインプラントに置換
して3ヶ月経過時。手のひらの湿疹は
ほぼ消失。


 また検査の結果、彼女の腸内環境は悪玉菌優位となっていました。

 腸内で発生するからだをさびつかせる活性酸素が、症状の悪化につながってい
ることが判明したため、腸内環境を改善する各種治療も採用しました。


 治療は点滴でのキレーション治療(金属除去の排毒処置)と、漢方での.血(老
廃物の混ざった血液)を取りのぞく治療をただちに開始しました。


 同時にチタンインプラントをのぞく、口腔内のすべての歯科金属を除去しまし
た。

 すると除去後3ヶ月で症状は半減し、睡眠も深くなり昼の活動量も増えたので

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す。さらに本人の希望によりチタンインプラントを除去して、ジルコニアインプ
ラントに置換しました。
 置換後3ヶ月で最終のインプラント上部構造を入れましたが、そのころには手
足を含めて全身の湿疹は %消失して、木津さんはまるで別人のように明るくな

り笑顔も取り戻しました。


 ご本人も「信じられないほど頭がすっきりしました。記憶力、集中力は以前の
倍くらいあがっているような気がします」と冗談も出るほどになったのです。


 木津さんは健康への意識も高まり、当院での治療を開始してから1年ほど経過
したころ「ハウスダストフリー」の健康住宅に引っ越して、ご自身と家族の健康
のために住環境も整えることができました。


 今では湿疹は完全に消失して、その後はいっさい再発はありません。

全身に影響をおよぼす歯科金属アレルギー

 インフルエンザにかかって完治したお子さんが、その3週間後に急性散在性脳
脊髄炎で死亡したケースがあります。


 インフルエンザのウイルスは体内から消えたものの、ウイルスと闘うためにつ


くられたT細胞という免疫細胞が活性化され、脳に炎症物質が集まったことが原
因とみられています。
 歯科金属アレルギーも、インフルエンザ完治後の時間差のある炎症と同様の遅
延型アレルギーであり、脳や脊髄に多大な影響をおよぼすおそれのあることが推
測されています。


 歯科金属アレルギーによって記憶力の低下、思考能力の低下、認知症、うつ、
多動症、自閉症、アスペルガー症候群などが引きおこされているとする仮説もあ
り、「脳アレルギー」と称されています。

アレルギー体質の人は全国で5000万人ともいわれています。
 そのうちの約 80%が金属アレルギー、つまり遅延型アレルギーとのデータがあ
ります。


 原因が表面化せず、知らず知らずのうち症状を悪化させる遅延型アレルギーは、
検査では見つけづらいことから、別名「隠れアレルギー」ともいわれます。


 ピアスをつけると耳たぶが腫れたり、かゆみが出たりするピアス・アレルギー
のように、金属アレルギーはおもに原因となる金属が皮膚に接触することでおこ
りますが、そのほかにも汗によって金属がイオン化して溶ける、皮膚の常在菌と
金属がくっついてタンパク質をつくる、傷がアレルゲンの侵入経路となる……と
いった3つの要素も影響を与えているのです。


 ところが、これらの要素とは別の原因で発症する金属アレルギーがあります。
それが全身型の金属アレルギー、「歯科金属アレルギー」です。


 口腔内で発生するガルバニック電流が大きな要因となりますが、それに加えて
口腔内では汗のかわりを唾液が、タンパク質のかわりを歯垢などのバクテリアが
その役割を担います。


 アレルゲンは食べ物とともに、歯周病やまちがったブラッシングで傷ついた歯
ぐきから体内へ侵入。


 アレルゲンは全身を巡り、汗や皮脂とともに体外へ排泄されますが、

その際に皮膚に付着し、T細胞がそれに反応して湿疹などのアレルギーを引きおこすのです。


 先にふれたアマルガムは、アレルギーの原因となりやすい歯科用充填物です。 


体内に溶け出したアマルガムの成分のひとつである水銀を、からだが異物と判断し、過剰なアレルギー反応をおこすのです。 さらに溶け出した水銀体は、歯ぐきから体内へ入り、血流によって全身に運ばれるため、口の中だけでなく全身に「アレルギー症状」が出る場合があります。


 なかには治療から数十年が経過し、突然発症することもあります。


 口内炎、口唇炎、口角炎、舌炎、口(こう) 腔(せん) (たい) (ぺい) (へん) (くう) 扁平苔癬、味覚異常などの口腔内の症状はもちろんのこと、花粉症、アトピー、鼻炎、喘息などのアレルギー疾患、手足の皮膚がめくれて手のひらや足の裏に水泡状の発疹が表れる掌(しょう) 蹠(しょう) (ほう) (のう) (せき) 膿疱症の原因にもなります。


 多くの患者さんは自らの症状が「口の中の金属」に原因があるとは思いもよら
ず、さらに医師も気づかず、長年つらい症状に悩まされ続けているのです。

 ほかにも口腔内歯科金属のおよぼす害として、妊娠中の女性がアマルガムの詰
め物を入れていると、血中の水銀濃度が高くなって胎児に悪影響をおよぼす可能
性があります。


 イギリスやスウェーデンでは、すでに政府が妊婦にアマルガムを詰めないよう
警告を出しています。
 また、アメリカのコロラド州ではアマルガムの使用制限を法制化し、メイン州、
アリゾナ州でも歯科医はアマルガム使用についてのリスク情報を市民へ提供する
よう義務づけられています。
 カリフォルニア州ではアマルガムを口腔内に入れたことへの訴訟が複数おこさ

れ、米連邦議会では2006年までに使用禁止の法案が提出されました。

 このように欧米諸国ではアマルガムの使用制限が進んでいますが、それにひき
かえ日本の歯科医療と行政の対応は遅れているといわざるをえません。


 アマルガムは「安くて丈夫」という理由から、むし歯治療の保険適用素材とし
て1970年以降に広く普及しました。

 今では危険性への認識が浸透し、使う歯科医も少なくなってきましたが、現在

歳以上で歯に銀色の詰め物がある方は、アマルガムが使われていないかどうか

ぜひ一度、歯科でチェックすることをお勧めします

 歯科金属アレルギーは症状が一様ではないことから発見されにくく、「隠れ
アレルギー」といわれる所以はそこにあります


 このように原因不明、突発性、原発性云々と診断名をつけられ、効果のない薬
物で対症療法を受けていた多くの方々が、病気の原因がわかることで一気に快方

に向かうことがあります。


 口腔内と全身、腸内と全身、住環境と健康という近代医療では考えのおよばな
い「横つながりの発想」での治療が功を奏することを私たちは数多く経験してい
ます。

 西洋哲学的な縦割り感覚の医療に対して、東洋哲学的な横つながりの医療を私
たちは『和合医療』と命名しました。


 和合医療は「原因不明」とされた難病も、原因を明らかにすることで快癒する
大いなる可能性を有しているのです。


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