私がこれまでに学んできた一つである、ストレングス&コンディショニングにおける理論と実践に関する知識を集約した資格「NSCA-CSCS」に関して、その概要を公式HPと教材から紹介します。
「ストレングス&コンディショニングコーチ資格 NSCA-CSCS 概要」
「Certified Strength & Conditioning Specialist:CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)」は、傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行する知識と技能を有する人材を認定する資格です。
指導対象は主にアスリート、スポーツチームです。筋力トレーニングや他の体力要素の指導だけでなく、施設を運営、管理することも重要な職務となります。また、栄養、ドーピング、生活習慣に関する指導など、教育者的側面も併せ持っています。
ストレングスコーチ、アスレティックトレーナー、パーソナルトレーナー、医師、フィットネスインストラクター、研究者などがCSCSの資格を取得しています。2012年度では、全世界で25,000名以上、日本では1,100名以上のCSCS認定者が活躍しています。
「学習用教材:ストレングストレーニング&コンディショニング 第3版」
・書籍ページ数:全701ページ / 全22章
・取得可能な資格:NSCA認定 ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
・取得可能条件:(1)4年制大学の卒業者または卒業見込みの者、高度専門士
(2)該当する団体のCPR&AED認定
・認定試験概要:(1)基礎科学(全90問)
・エクササイズサイエンス:71% / 57問
・栄養学:29% / 23問
・ノンスコアード問題:10問
(2)実践 / 応用(全120問)
・エクササイズテクニック:36% / 39問
・プログラムデザイン:36% / 40問
・組織と運営:10% / 11問
・テストと評価:18% / 20問
・ノンスコアード問題 10問
・発行元 NSCAジャパン HP:http://www.nsca-japan.or.jp/index.html
第1部 運動科学の概念と適用
●第1章 筋系、神経系、心臓血管系、呼吸器系の構造と機能
「学習目標」
・1:筋の全体構造から微細構造までを知る。
・2:筋収縮の「滑走説」を説明する。
・3:筋繊維のタイプごとの形態的・機能的特徴とスポーツ競技との関連を開設する。
・4:心臓血管系と呼吸器系の解剖学的、整理学的な特性について説明する。
●第2章 運動とトレーニングの生体エネルギー論
「学習目標」
・1:運動とトレーニングに関連する生体エネルギー論、代謝の基本用語を理解する。
・2:筋活動におけるアデノシン三リン酸(ATP)の役割を検討する。
・3:ヒトの骨格筋でATPを供給する基本的なエネルギー機構と、
さまざまな運動での各機構のATP供給能について説明する。
・4:各エネルギー機構で使われるエネルギー基質を知り、
運動のタイプに応じた基質の消費と補給のパターンを検討する。
・5:ヒトの生体エネルギー論や代謝を理解し、トレーニングの代謝特性を考慮した
トレーニングプログラムを作成する。
●第3章 レジスタンスエクササイズに対する内分泌系の応答
「学習目標」
・1:ホルモンとは何か、それらがどのように相互作用するのか、
標的組織にどのような影響を与えるのかなど、内分泌学の基本理念を理解する。
・2:同化ホルモンの生理学的役割について説明する。
・3:レジスタンスエクササイズに対するホルモン応答を説明する。
・4:ヒトの内分泌応答を理解した上でトレーニングプログラムを作成する。
●第4章 レジスタンスエクササイズのバイオメカニクス
「学習目標」
・1:身体の主要な骨と筋を確認する。
・2:筋骨格系のてこの種類を理解する。
・3:並進運動と回転運動における仕事とパワーの算出をする。
・4:筋力とパワーに関連する諸要素について説明する。
・5:トレーニング機器の抵抗とパワーのパターンの違いを評価する。
・6:レジスタンストレーニング時の生涯の危険性を最小限に方法を示す。
・7:スポーツ競技の動作解析と動作を考慮した運動処方を行う・
●第5章 無酸素生トレーニングへのプログラムへの適応
「学習目標」
・1:筋力の発揮を最大する方法について検討する。
・2:神経の無酸素生トレーニングへの基本的な適応について検討する。
・3:無酸素生トレーニングに対する骨、筋、結合組織の応答について説明する。
・4:無酸素生トレーニングに対する内分泌系と心臓血管系の短期的な応答と
長期的な適応について説明する。
・5:無酸素生トレーニング中の筋力、筋持久力、パワー、柔軟性、
運動能力の増大の可能性について検討する。
・6:オーバートレーニングとディトレーニングの原因、兆候、症状、影響を理解する。
●第6章 有酸素性持久力トレーニングプログラムによる適応
「学習目標」
・1:無酸素性運動における心臓血管系、呼吸器系の短期的応答について説明する。
・2:心臓血管系、呼吸器系、神経系、筋、結合組織、内分泌系の生理学的特性に対する
長期的な有酸素性持久力トレーニングの影響について理解する。
・3:有酸素性持久力トレーニングのプログラムデザインと身体のすべての系の生理学的反応
の向上の関係を理解する。
・4:短期および長期の有酸素性運動への適応に影響する外部要因について説明する。
・5:オーバートレーニングとディトレーニングの原因、兆候、症状、影響を理解する。
●第7章 年齢差・性差とレジスタンスエクササイズ
「学習目標」
・1:子どものレジスタンスエクササイズの安全性と有効性に関する研究結果を評価する。
・2:筋繊維の性差を明らかにし、その差が女子選手に及ぼす影響について論じる。
・3:加齢が筋骨格系の健康に及ぼす影響や高齢者のトレーナビリティについて説明する。
・4:レジスタンスエクササイズに対する適応が個人によって大きくな異なる理由を説明する。
●第8章 競技への準備とパフォーマンスの心理学
「学習目標」
・1:心理状態、生理学的覚醒、身体パフォーマンスの関係について理解する。
・2:覚醒、不安、注意、理想的なパフォーマンス状態、モチベーション、
応用スポーツ科学などの心理学の分野に関連する用語を理解する。
・3:目標設定の原則に基づいてモチベーションを高めるプログラムをデザインする。
・4:心理学的、生理学的覚醒をコントロールするための方策について論じる。
●第9章 パフォーマンスを増強させる物質
「学習目標」
・1:アナボリックステロイドを含むパフォーマンス増強物質の危険性と効果に関して、
信頼できる情報を選手に提供する。
・2:パフォーマンスに有益として市販されている栄養補助食品(サプリメント)の
広告内容を評価する。
・3:パフォーマンスを増強させる栄養補助食品(例:βアラニン、クレアチン)の
研究の現状を解説する。
●第10章 健康とパフォーマンスにおける栄養学的要因
「学習目標」
・1:競技選手のタンパク質、炭水化物、脂肪の推奨摂取量を決定する方法を解説する。
・2:疾病を予防するための推奨摂取量と、パフォーマンス向上のための推奨摂取量とを
識別する。
・3:競技選手にとって適切な水分補給法を明らかにし、実践する。
・4:試合前後の食事の摂り方を説明し、体重の増量と減量のガイドラインについて選手に
助言できるようになる。
・5:摂食障害の徴候と症状を明らかにする。
・6:摂食障害の疑いのある選手に対し、適切に関わり、専門家に照会・委託する
システムを導入する重要性を理解する。
・7:肥満の有病率と原因を知る。
・8:肥満者の評価課程を助ける知識を身につける。
第2部 測定と評価
●第11章 テストの選択と実施の原則
「学習目標」
・1:テストを行う理由を明らかにする。
・2:テストに関する用語を理解し、選手や同僚とのコミュニケーションを良好にする。
・3:テストの妥当性と信頼性の評価法を示す。
・4:適切なテストを選択する方法を解説する。
・5:テストプロトコルを適切かつ安全に実施する方法を解説する。
●第12章 選択したテストの実施、スコアの記録、解釈
「学習目標」
・1:選択した競技パフォーマンスの要素を測定する最適な方法を識別する。
・2:フィールドテストを適切に実施する方法を学ぶ。
・3:データの評価・分析と基準値との比較をする。
・4:適切な統計を理解する。
・5:競技に関連したプロフィールを作成するために選択したテストの結果をまとめる。
第3部 エクササイズのテクニック
●第13章 ウォームアップとストレッチング
「学習目標」
・1:運動前のウォームアップの構成要素と利点を示す。
・2:ウォームアップとしてのストレッチングを実施することの適合性を考察する。
・3:柔軟性に影響する要因を示す。
・4:こうゆう需要生神経促通法(PNF)の利点を生かした柔軟性エクササイズを説明する。
・5:筋活動の抑制に関わるメカニズムを説明する。
・6:適切な静的ストレッチングおよび動的ストレッチングの選択と適用の方法を解説する。
●第14章 レジスタンストレーニングと補助のテクニック
「学習目標」
・1:レジスタンストレーニング種目を実施するための一般的テクニックを理解する。
・2:呼吸法のガイドラインを提供する。
・3:ウェイトベルト装着の必要性を判断できるようにする。
・4:フリーウェイトエクササイズの補助の仕方を示す。
・5:正しいレジスタンストレーニングの方法と補助のテクニックを示す。
第4部 プログラムデザイン
- パートⅠ - 無酸素性運動の処方
●第15章 レジスタンストレーニング
「学習目標」
・1:レジスタンストレーニングのプログラムデザインを目的として、
各競技における身体的要求と特性の評価、各選手の評価を行う。
・2:タイプ、競技特異性、テクニックの経験、利用できる器具、
時間に基づいてエクササイズを選択する。
・3:トレーニング状況、競技シーズン、負荷、エクササイズの種類、同時に行っている
その他の運動を踏まえて、トレーニング頻度を決定する。
・4:エクササイズの種類に応じてトレーニングセッション内の順序を決める。
・5:最大挙上重量(1RM)の測定、挙上回数からの推定最大挙上量、RM負荷の決定を行う。
・6:トレーニング目標に応じて負荷や反復回数を設定する。
・7:エクササイズの負荷を増加させる時期、増加幅を知る。
・8:選手のトレーニング状況、トレーニング目標に応じてトレーニング量を設定する。
・9:トレーニング目標に基づいて、休息時間の長さを決定する。
●第16章 プライオメトリックトレーニング
「学習目標」
・1:プライオメトリックスの生理学を説明する。
・2:伸張-短縮サイクル(SSC)の各局面を明確にする。
・3:プライオメトリックトレーニングプログラムの構成要素を明確にする。
・4:安全で効果的なプライオメトリックトレーニングプログラムをデザインする。
・5:プライオメトリックエクササイズで使用する適切な用具を示す。
・6:下半身、上半身のプライオメトリックエクササイズを正しく実施する指導法を解説する。
●第17章 スピード、アジリティ、スピード持久力の向上
「学習目標」
・1:適切な動作原理を移動様式やテクニックに適用し、正しい実施方法を指導する。
・2:特異的な動作の習得に必要な能力や技術を分析する。
・3:スピード、アジリティ、スピード持久力向上の正しい手段と方法を学ぶ。
・4:競技パフォーマンス 向上を最大限に引き出す為のトレーニングプログラムを
デザインし、実施する。
- パートⅡ - 有酸素生運動の処方
●第18章 有酸素性持久力トレーニング
「学習目標」
・1:有酸素正持久力パフォーマンスに関係する要因について論じる。
・2:有酸素性持久力トレーニングの様式を選択する。
・3:トレーニング状況や競技シーズン、回復に必要な条件などに基づいて、
有酸素生持久力トレーニングの頻度を設定する。
・4:有酸素生持久力トレーニングの時間を決定するとともに、
トレーニング強度との関係を理解する。
・5:有酸素性持久力運動の強度を決定し、その強度をモニターするさまざまな方法を
理解する。
・6:さまざまなタイプの有酸素性持久力トレーニングプログラムについて述べる。
・7:競技シーズンに基づいたさまざまなトレーニングプログラムをデザインする。
・8:有酸素性持久力トレーニングのプログラムデザインに関係するクロストレーニング、
ディトレーニング、テーパリング、補強的なレジスタンストレーニングについて
解説する。
- パートⅢ - 運動処方の原理の適用
●第19章 ピリオダイゼーション
「学習目標」
・1:ストレングス&コンディショニングプログラムにおけるピリオダイゼーションの意義、
役割、適用の方法を理解する。
・2:伝統的なピリオダイゼーションモデルの4つの期を示す。
・3:伝統的なピリオダイゼーションモデルの準備期における3つの段階を示す。
・4:伝統的なピリオダイゼーションモデルの4つの時期区分と4つの競技シーズンとの
関連を明らかにする。
・5:プログラムデザインの変数を適用して、期分けされたトレーニングプログラムを
作成する。
●第20章 リハビリテーションとリコンディショニング
「学習目標」
・1:受傷した選手のリハビリテーションおよびリコンディショニングに関わる
スポーツ医学チームのメンバーとその役割を確認する。
・2:選手の傷害のタイプを認識する。
・3:組織の治療課程とその時間的経過を理解する。
・4:組織の治療の各段階における目標を理解する。
・5:リハビリテーションとリコンディショニングにおけるストレングス&
コンディショニング専門職の役割について説明する。
第5部 構成と運営
●第21章 施設の運営とリスクマネジメント
「学習目標」
・1:ストレングス&コンディショニング施設の立案と設計における4つの段階とその要素
を確認する。
・2:ストレングス&コンディショニング施設を利用する競技団体別のプログラムの必要性
を確認する。
・3:ストレングス&コンディショニング施設のスペース上の条件および設備に関するニーズを
評価するうえで重要な要素を確認する。
・4:ストレングス&コンディショニング施設を効率的に利用するためのスケジュールの
立て方について説明する。
・5:ストレングス&コンディショニング施設と機器のメンテナンス、清掃における
重要な要素を確認し、適切なメンテナンスと清掃スケジュールを考える。
・6:ストレングス&コンディショニング施設と機器のメンテナンスに必要な用具や消耗品を
確認する。
・7:ストレングス&コンディショニング施設内において訴訟の対象となり得る共通の
問題を確認する。
●第22章 施設運営の方針と手順のマニュアル作成
「学習目標」
・1:ストレングス&コンディショニングプログラムの目標と目的を明確にする。
・2:ストレングス&コンディショニングに携わる各役職の仕事上の責務を定義し、
各自の役割を明確に区分する。
・3:ストレングス&コンディショニングプログラムの目標と目的を達成するため、
施設の運営方針と活動を理解する。
・4:プログラムを安全かつ効果的に遂行するため、管理上の決定事項を理解する。
・5:上記を踏まえてストレングス&コンディショニング施設運営の方針と手順マニュアルを
作成する。
※NSCA指定教材
ストレングストレーニング&コンディショニング ― NSCA決定版 (第3版)/ブックハウス・エイチディ
白川尊則(SHIRAKAWA TAKAMITSU)
●愛知東邦大学人間学部健康科学科 非常勤講師
●星城大学経営学部 非常勤講師
●名古屋リゾート&スポーツ専門学校スポーツトレーナー科 非常勤講師
●体育学修士(スポーツバイオメカニクス)
●全米公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(NSCA-CSCS)
●全米公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
●健康・体力づくり事業財団認定 健康運動指導士
●日本幼児体育学会認定 中級 幼児体育指導員
●2015ユニバーシアード冬季競技大会スノーボード日本代表コーチ
●全日本スキー連盟公認 C級スノーボードコーチ
●全日本スキー連盟公認 スノーボード正指導員
●全日本学生スキー連盟競技本部 スノーボード部 専門委員会 委員