質問)平成27年2月6日提出

答弁)平成27年2月17日提出


岸田文雄外務大臣の北方領土発言等に関する質問主意書


本年1月20日、岸田外務大臣がベルギー・ブリュッセルの講演で、「ウクライナでおきていることも力による現状変更だが、北方領土問題も力による現状変更だ」と発言(以下、「岸田発言」とする。)したことに対して、ロシア外務省は21日、「第二次世界大戦前の現状を力によって破壊し、多くの国を占領したのは軍国主義日本だ。歴史をひっくり返そうとしている。」等の声明を発表している。また28日、ロシア外務省のモルグロフ外務次官は、国営通信のインタビューで「岸田発言」を強く批判しており、そして、「交渉に直接影響を与える同じような発言がされた場合、岸田外務大臣のモスクワ訪問をはじめ、今後の二国間の接触について慎重に考慮する」と述べ、日本側に警告したと報道がなされている。

右を踏まえ、質問する。


質問1

今回の「岸田発言」に対する安倍晋三内閣総理大臣の見解如何。

答弁

政府としては、岸田外務大臣は、平成27年1月20日、御指摘の講演において質疑に答えた際に、ロシア連邦との対話を重視している旨を強調しつつ、歴史的事実に基づいた認識を述べたものと認識しており、「ウクライナでおきていることと、北方領土問題を同一視」しているとの御指摘は当たらないと考える。


質問2

「岸田発言」は安倍内閣としての公式見解であるか。

答弁

政府としては、岸田外務大臣は、平成27年1月20日、御指摘の講演において質疑に答えた際に、ロシア連邦との対話を重視している旨を強調しつつ、歴史的事実に基づいた認識を述べたものと認識しており、「ウクライナでおきていることと、北方領土問題を同一視」しているとの御指摘は当たらないと考える。



質問3

「岸田発言」にある「ウクライナで起きていること」とは具体的にどのようなものを指しているのか、岸田大臣の説明を求める。

答弁

ウクライナでは、いわゆるクリミア「併合」を始めとするロシア連邦によるウクライナの主権及び領土の一体性の侵害や、分離派武装勢力によるウクライナ東部情勢の不安定化が継続していると承知している。


質問4

今日につながる北方領土問題が発生した経緯はどのようなものであったのか、岸田大臣の説明を求める。

答弁

北方領土問題は、先の大戦末期の昭和20年8月9日、ソヴィエト社会主義共和国連邦(以下「ソ連邦」という。)が、当時まだ有効であった大日本帝国及「ソヴィエト」社会主義共和国連邦間中立条約(昭和16年条約第6号)に違反して対日参戦し、今日に至るまでソ連邦及びロシア連邦による北方四島の占拠が続いている問題である。



質問5

そもそもウクライナでおきていることと、北方領土問題を同一視するのは歴史的経過からしても間違っていると考えるが、岸田大臣の見解如何。

答弁

政府としては、岸田外務大臣は、平成27年1月20日、御指摘の講演において質疑に答えた際に、ロシア連邦との対話を重視している旨を強調しつつ、歴史的事実に基づいた認識を述べたものと認識しており、「ウクライナでおきていることと、北方領土問題を同一視」しているとの御指摘は当たらないと考える。


質問6

日ロ間で、今月中旬に平和条約交渉を進展させるための外務次官級の協議が予定されていると承知するが、「岸田発言」が今後の日ロの交渉にどのような影響を及ぼすと考えるか。岸田外務大臣の見解如何。

答弁

御指摘の岸田外務大臣の発言は、北方領土問題については、ロシア連邦との対話を重視している旨を強調しつつ、歴史的事実に基づいた認識を述べたものであり、平和条約締結交渉に特段の影響を与えるとは考えていない。いずれにせよ、政府としては、北方四島の帰属の問題を解決してロシア連邦との間で平和条約を締結するという基本的方針の下、引き続き強い意思をもってロシア連邦政府との交渉に取り組んでいく考えである。