高齢者の財産を守る家族信託 | エスクローおじさんのブログ

高齢者の財産を守る家族信託

正月に実家へ帰りましたが、私の父親は今年86歳というのに自分で経営する工務店の仕事を、今も最前線でこなしています。元気がなにより。ありがたいことです。


が、仮に突然認知症になってしまったりすると会社の経営ができなくなる危険性もあります。


本人は「ころっと行ったら、あとは社員がやってくれるので、それまで頑張る。」と申していますが、ころっと行かないで認知症になったり寝たきりになると大変困ります。


社長に意思能力がないと法的・社会的な契約行為などができなくなります。


そういうリスクを考えていない。(昔の人なのでころっと行くことしか頭にないのです)


そのようなリスクをヘッジすることができるのは、若手に代表権を移譲するか、そうでなければ家族信託をして認知症になった際の決定権者を決めておくしかありません。


家族信託は個人信託などとも言われ、最近少しづつ注目されるようになってきた仕組みです。


例えば親が長男に自分の財産を信託して、認知症になった後は長男が受託者として契約行為に当たり、それによって得られる利益・結果は受益者である親に帰属する仕組みです。


これなら親が認知症になっても会社は維持できそうです。また親の意思能力がなくても財産の処分・利用ができます。(もちろん親が希望していた方向に従っておこなうもので、長男の好き勝手にできるというものではありません)


似た制度に成年後見人がありますが、後見人には財産の処分・利用権限はありません。家庭裁判所の許可が必要になります。


また認定には多少の時間と費用がかかります。


家族信託は費用も安価で済みますし、家族間で話し合って信託契約をすれば、誰でもできます。


ちなみに私は数年前に1件家族信託を成立させていますが、(当時は個人信託と言っていました)これが東海地区第一号だったようです。


なかなか良い制度ですが告知が不足しているせいか、利用件数は意外に少ない。是非利用を検討してみてはいかがでしょうか?