賃貸マンションオーナーが認知症になってしまったら | エスクローおじさんのブログ

賃貸マンションオーナーが認知症になってしまったら

あるハウスメーカー主催の家族信託のセミナーに行ってきました。


賃貸マンションのオーナーが万一認知症になってしまったら、どうなるのか?


入居者との賃貸借契約書に署名捺印ができないばかりか、敷金の入出金やマンション修繕の費用も出金できません。


成年後見人制度を利用して後見人を立てるにも時間と費用がかかります。


後見人が用意できたとしても、マンションの修繕や建て替え・売却などは裁判所の許可が必要で、財産保全行為と認められない限り許可されません。


この欠陥を補完するために成立したのが家族信託ですが、これが意外に知られていない。昨日の受講者は20名ほどでしたが、知っていたのは2名だけでした。


家族信託では、オーナーである親が後継者である子に賃貸マンションを信託契約に基づいて信託することで、そのマンションの管理・運営・処分を子の意思でできるようになり、その収益は受益者となる親が得ることができます。


委託者と受益者が親で受託者が子ということになります。


こうしておけば、仮に親が認知症になったとしても管理・運営・処分は意思能力がある子が行えるので、何ら問題は発生しません。


さらにこの信託のためには、専門家に契約書を作成してもらう費用程度はかかりますが、いわゆる遺言信託や成年後見人制度を利用するほどの費用はかかりません。


今後認知症患者の急増が予想される中、大変良い制度だと思いますが、ハウスメーカーや不動産業者には、直接収益を生まない制度ですので、積極的にPRする企業が少ないのが現状です。


こういう制度を取り上げてセミナーを開催したハウスメーカーに敬意を表したいと思います。