『サラリーマン』の壁(社会制度改革の難しさ) | 日経ほぼ朝コメント

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オリックス・シニア・チェアマン 宮内義彦氏

 

(安倍政権の規制改革について)

改革を進めようとする人は懸命に努力されているが、

残念ながら議論は(小泉政権時の)10年前から

あまり進んでいない印象だ。

 

社会制度に関わる規制が最後の壁、いわば鉄壁だ。

 

例えば医療。

一部で進展がみられるとはいえ、財政負担を考え、

医療行為の一部を全額負担で賄う混合医療を

全面的に導入すべきだと主張しても、

『日本は国民皆保険で世界最高のシステムだ。

それをつぶすつもりか』と反対される。

日本の国を形作っている社会システムには

手を触れるなという空気が強い。

 

 

(同一労働同一賃金の導入は)

結局、正社員と非正規社員の雇用形態の問題だ。

正社員は既得権益、特権になっている。

 

いったん新卒で正規雇用され、

大過なくすごせば65歳まで解雇されない。

一方、新卒で企業に入る機会を逃すと

正社員への道が大きく閉ざされる。

 

こうした雇用形態を変えない限り、

日本の労働は合理的にならない。

だが、そこにメスを入れようとすると反対され、

議論は進まなくなる。

 

 

医療や農業にも鉄壁がある。

高度経済成長時代は成長の果実を分配するのが

政治の仕事だった。

その結果、大きい小さいはあるにせよ、

既得権益は国民に幅広く行き渡った。

 

経済成長が鈍り、

このままでは財政が立ち行かなくなると気付いて

改革が始まったが、あまりにもたくさんの既得権益が

できてしまっているから、真剣に改革をするとなると、

政治が耐えられないわけだ。

 

小泉元首相の日本郵政の改革にしても、

(完全民営化の道筋は示されず)いつの間にか

巻き返されている。

(形骸化は)国柄だとは思いたくないが、

そうした面もあるのだろう。

 

 

最近気づいたのだが、

日本の中枢を占めるのはいわゆる『サラリーマン』、

それが日本の特徴だ。

 

政治家にしても、行政官にしても、

日本を代表する企業の従業員も皆、

いわゆるサラリーマンだ。

 

有名大学を卒業し、有名企業や組織に入り、

そこで粛々と働いて昇進し、65歳で卒業する。

そういう人生設計が標準的であり、

それに乗ることが人生だと思っている人が

日本の中枢を占めている訳だ。

 

しかし、そうした社会からは、

イノベーション(変革)やチェンジ(変化)は

生まれにくい。

社会のあり方を変えないと

(改革の加速は)難しいのではないか。

 

 

起業家、投資家、あるいは若者には世界を見てほしい。

世界を見たら目が覚めるはずだ。

日本にこもっていてはダメだ。

 

世界の総人口73億人のうち

日本語を話すのは1億人余にすぎない。

だから、若者にはコミュニケーションの手段を

しっかり磨いて欲しい。

 

世界を見れば日本の良い面も悪い面もわかるはずだ。

 

(16日 日経QUICKニュース)

 

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事なかれ主義的な国民意識が

社会制度の規制改革を阻む大きな壁、

という指摘は本質を突いていてドキッとします。

 

次世代のために何ができるか考えること、

広く世界に目を向けること、

そういったことを意識していきたいですね。

 

 

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