がんこちゃんの主題歌は予想できない人選ばかり | 高木圭介のマニア道

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~浮世のひまつぶし~

 初代が谷啓、2代目が瀬川瑛子、そして八代目ではなく3代目が松平健とくれば、なんのこっちゃとなるだろうが、これはNHK(Eテレ)の幼児向け道徳番組「ざわざわ森のがんこちゃん」主題歌の歴代歌手なのだ。


 1996年にスタートしたこの番組。ピンク色した恐竜の女の子・がんこちゃんを主人公とした人形劇だ。幼き頃のわが娘が夢中になって視聴しているのを横目で眺めていたら、谷啓があのハイトーンボイスで主題歌を歌っていることに驚き「これは見逃せない番組だ」と注目してしまった次第。谷啓歌唱による子ども番組の主題歌は数少なく、他にアニメ番組の「おらぁグズラだど」(昭和42年)があるが、どちらも恐竜モノ(グズラは怪獣だったっけ?)なのが面白い。


 だから現在の25歳ぐらいまでの若者にとって、谷啓とはハナ肇とクレージーキャッツでも、チャーリー・ブラウンでも、「釣りバカ日誌」のハマちゃんの上司でもなく、圧倒的に「がんこちゃん」の主題歌の人だったりする。


 しかも、作曲というか番組全体の音楽を担当しているのが植木等の長男である比呂公一(歌手としては「ミラーマン」の主題歌を歌唱していることで有名)なのだから、がんこちゃんは植木家二代にわたるクレージー共演ということにもなる。


 2010年に谷啓が死去した後も、しばらく谷版主題歌が流れ続けていたが、2011年からは、レコードの回転数を落としたかのようなスローな感じで瀬川瑛子が主題歌を担当。この10月2日に、新聞のテレビ欄に突如「終」のマークがついていたから「ついにがんこちゃんも終わってしまうのか…」と悲しんでいたら、翌週から何事もなかったかのように「新・ざわざわ森のがんこちゃん」として、それまでの15分番組から10分番組に変身して再スタート。同時に主題歌も松平健が歌うことになったのだった。


「マツケンサンバⅡ」を挙げるまでもないが、松平健って、こういう感じの…なんというか、どこに正解や着地点があるんだか到底分からない歌を歌った場合、なんともいい味を発揮する人だ。オトナな人たちも、ぜひ一聴して!