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「日本の食糧安全保障を強化する自助・共助・公助(前半)」三橋貴明 AJER2024.7.2

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

「税金が公共サービスに使われるのは嘘だった!?」東大卒の財務官僚が説明できない3つの税金の役割[三橋TV第885回]三橋貴明・菅沢こゆき


https://youtu.be/qgOqF-wrZyg

 

 第二次安部政権発足以降、「悪い指標」が続くと、指標の定義を変更することで「よく見せる」ことを図る手法が流行していました。


 代表的な例を挙げておきますね。


◆ GDP基準改定
 2016年、日本政府はGDP基準について2008SNAに改訂しました。もちろん、それ自体を批判しているわけではない。


 問題は、当時の日本政府が「GDP600兆円」という目標を掲げており、基準改定によりGDPが20兆円かさ上げされることになり、それを受けて、石原伸晃経済再生担当大臣(当時)が、
「これでGDP目標の早期達成の可能性が高まった」
 と、発言したことです。


 いや、基準改定で20兆円、GDPがかさ上げされるなら、目標を620兆円にしなければならないんじゃないの? 


◆ 物価上昇率の指標追加
 2017年、総務省がいきなり「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の発表を始め、これがコアコアCPIだと言い出しました。


 輸入物価の影響を排除したいならば、生鮮食品を除く、ではなく「食料(酒類を除く)を除く総合」でなければなりません。「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」では、外国から輸入される穀物価格上昇の影響が入ってしまいます


 つまりは「コアコアCPI」ベースで見ても「物価は上昇している」と見せかけるための指標変更としか思えないのです。グローバルには、コアコアCPIとは「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」です。


◆ 雇用統計のサンプル変更
 2018年 雇用統計のサンプルを変更し、「給料が低い企業群」を排除し、代わりに「給料が高い企業群」に入れ替えた。その事実を無視したまま、
「給料が上がっている」
 指標を発表したわけですから、わたくしは猛烈に批判したわけです。サンプル変更で「指標が改善した」とやるなど、「詐欺」そのものです。


 すると、なぜか「サンプル変更は普通に行われる。批判している三橋は頭がおかしい」と批判されてしまいました。


 いや、わたくしが批判しているのは「給料が低い企業群」と「給料が高い企業群」を比較し「給料が上がっている」と発表する詐欺手法であって、サンプル変更そのものではありません。


 世の中には、頭がおかしい人が多いんだなあ・・・・、と、つくづく思いましたよ、マジで。


 GDP基準改定も、物価上昇率の指標追加も、雇用統計のサンプル変更も、別にやっていいんですよ。とはいえ、
「指標が悪化している状況で、指標をよく見せる統計変更を行い、指標が改善しているかのように見せかける」
 これは、ダメでしょ。まさに、大本営発表ですよ。

 

 嘘の情報で政府が国民を騙す国は、普通に亡びるよ。
 

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特別コンテンツ「三橋貴明×宇山卓栄:日本人はどこから来たのか(前編)」がリリースになりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

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実質賃金とは 過去最長の26カ月連続マイナス きょうのことば
▼実質賃金 会社で働く人が受け取る名目賃金から、物価変動による影響を除外した賃金の動きをみる指標。持ち家にも家賃負担があるとみなす「帰属家賃」を除いた消費者物価指数を使って算出する。厚生労働省が毎月、前年同月比の増減率を公表している。
 従業員が5人以上いる事業所の5月の実質賃金(速報)は前年同月から1.4%減った。マイナスは26カ月連続で過去最長となった。ロシアのウクライナ侵略を受けて、輸入物価の上昇が加速したことがきっかけだ。2年連続での高い賃上げ率を追い風にマイナス幅は縮小傾向にあるが、インフレ率に賃金の伸びが届かぬ状況が続く。
 数値の動きが乏しい持ち家の帰属家賃を外すと、インフレ率が大きくなり実質賃金は低くなりやすい。このため経団連は帰属家賃も含めた全品目の物価を反映して実質賃金を算出するよう提起している。内閣府は1月の月例経済報告から、全ての品目を含む総合指数を使った試算値の掲載を始めた。』

 現在の日本は、実質賃金が対前年比で26カ月連続で減少中。となれば、
「国民の実質賃金を引き上げる政策を推進する」
 ではなく、
「指標を良く見せかける統計マジックを考える」
 のが、日本政府というわけです。


 いや、実質賃金は「生活感覚」の話なのだから、持ち家の帰属家賃を除くのは当然です。持ち家の帰属家賃とは、実際には支払われていない消費支出なのだから。


 米英独などは、確かに実質賃金計算時に総合消費者物価指数を使っていますが、それはあいつらが「バカ」だからですよ。何で、実質賃金を計算する際の物価上昇率に、実際には支払われていない家賃を含めるんだよ。


 しかも、問題は、現在は「実質賃金が下がっている」時期であることです。実質賃金が下がり続け、政治的に批判されている時期に、
「実質賃金の上昇を見せかける指標変更」
 をするなよ。


 まあ、国民はどうせ実質賃金や指標の中身など分からないから、指標変更で「実質賃金が改善した」とやれば、しのげる、とか思っているんでしょうけれども。


 統計の基準変更を政治利用するな。もはや、中共や韓国以下だわ、現在の日本政府は。
 

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