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『2016年の日本経済①』三橋貴明 AJER2016.2.2
https://youtu.be/bqBIntYA3K0
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2月20日(土)の三橋経済塾第五期第二回講義のお申し込み受付が開始となりました。http://members5.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=1412
第二回のゲスト講師は、評論家の中野剛志先生です。
講義出席には、事前に三橋経済塾入塾が必要です。入塾の受付はこちら から。
週明け早々、ショッキングな指標が発表されました。
わたくしは、2015年の実質賃金は、確かに給料はほとんど増えていないとはいえ、物価の方も上がらなくなったため、恐らく14年比で横ばい(±0)くらいではないかと予想していたわけです。講演でも、そのように語っていました。
ところが、現実は・・・。
『実質賃金0.9%減 15年、物価上昇に賃上げ追いつかず
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO97043380Y6A200C1I00000/
厚生労働省が8日発表した2015年の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価変動の影響を除いた15年通年の実質賃金は前年から0.9%減少した。マイナスは4年連続となる。名目賃金にあたる現金給与総額は0.1%増で2年連続のプラスだった。賃金の上昇が物価上昇のペースに追いついていない状況が浮き彫りになった。
15年の現金給与総額は31万3856円。内訳をみると、基本給を示す所定内給与は前年比0.3%増の23万9712円、残業代にあたる所定外給与は0.4%増の1万9586円だった。一方で、ボーナスなど特別に支払われた給与が5万4558円と0.8%減ったため、現金給与総額の全体では0.1%増にとどまった。
消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は前年に比べ1.0%上がったため、実質賃金はマイナス圏から抜け出せなかった。(後略)』
細かい話を書いておきますと、2015年の名目賃金、実質賃金の状況は以下の通りでした。まだ速報値段階とはいえ、かなり衝撃的です。
◆現金給与総額 313,856円(対前年比+0.1%) 実質賃金ベース▲0.9%
◆きまって支給する給与 259,298円(対前年比+0.2%) 実質賃金ベース▲0.7%
というわけで、わたくしが重要視している「恒常所得」たるきまって支給する給与について、2005年以降の数値をグラフ化しました。
【日本の実質賃金の推移(中期)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_52.html#Jchingin
正直、2014年の大幅な実質賃金の落ち込みは予想していました。何しろ、消費税増税により強制的に物価を引き上げてしまったのです。
消費税増税で物価が2%超、上昇し、給料の方は「現金給与総額」で0.5%、「きまって支給する給与」で何と0%成長だったため、消費税増税分を全く吸収できず、実質賃金が大きく下落したのです。
その、2014年と比較してすら、2015年の実質賃金は「現金給与総額」で0.9%、「きまって支給する給与」で0.7%も落ち込んでしまったわけです。これを「深刻」に受け止めないのでは、経済政策を担う資格がありません。
結局、2012年末と比べると、第二次・第三次安倍政権下で日本国民は5.4%「貧困化」したということになります。
ちなみに、実質賃金とデフレーション、インフレーションとの関係は、今後の日本にとって決定的に重要ですが、長くなるので本日はやめておきましょう。今、書いている著作で詳しく解説しています。
いずれにせよ、安倍政権は2015年まで対前年比」で国民を貧しくしてしまったのです。これが、現実です。
救いがあるとすれば、直近(2015年12月)の「きまって支給する給与」が、名目賃金が260,346円(対前年比+0.7%)、実質賃金ベースでも対前年比+0.4%と、明確にプラス化したことです。もしかしたら(あくまで「もしかしたら」)、直近の日本は、人手不足が緊縮財政や構造改革といった「デフレ化効果」を打ち消すほどに深刻化し、恒常所得が上昇する局面に入ったのかも知れません。
いずれにせよ、安倍政権は2015年の日本国民を2014年比で0.7%(きまって支給する給与、以下同)、12年比で5.4%も貧困化させてしまいました。
経済とは、経世済民から造られた「Political Economy」に対する訳語です。すなわち、国民を豊かにすることこそが政府の経済政策の目的なのです。
安倍政権は、少なくとも2015年までは、日本国民を貧困化させてしまいました。これが統計的な事実なのです。安倍政権の経済政策は「失格」なのです。
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