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『三橋貴明の台湾報告①』三橋貴明 AJER2015.12.15
https://youtu.be/-sSCuFZnEfU
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 経済力とは「カネ」の話ではなく、国民の需要を満たすためにモノやサービスを生産する力、つまりは供給能力であると何度も書いてきました。


 上記は、「需要」を「防衛」と設定すると、理解がしやすくなります。防衛という安全保障を強化するためには、例えば兵器の生産について「資源」から「兵器生産」「配備」「運用」までの防衛サービスのバリューチェーンを、可能な限り「自国で生産」する必要があるわけです。


 中央銀行が返済不要な「負債」を計上することで、いくらでも発行できる「おカネ」が膨大にあったところで、弾薬すら生産できない国は防衛面の安全保障を成立させることはできません。


 自国で生産しない以上、防衛という需要を満たすためには、外国の供給能力に依存せざるを得ません。ということは、兵器を供給してくれている国の機嫌を損ねるだけで、安全保障が成り立たなくなってしまいます。


 防衛面の安全保障が崩れると、最終的には「国家」という共同体が維持不可能になります。兵器の生産を全面的に外国に頼っている国が、他国から軍事侵略された際に、「カネ」を積んだところでどうにもなりません


 最近の世界情勢を見ていると、上記の「経済力」の本質を最も理解している「度合いが強い」政府は、中国共産党のように思えてきます。


 以前、習近平がアメリカで「構造改革」をやります、と宣言した際に、
「ぜひ、やってくれ!」
 と、やったのは、日本の例からも分かる通り、バブル崩壊後に「構造改革」をやると、経済がデフレ化して国力が衰えていくためです。


 というわけで、安倍総理や日本のマスコミにも、是非とも「中国の構造改革推進を煽ってほしい」と書いたのですが、現実は甘くないようです


中国が財政出動拡大で景気支援、金融政策より柔軟に

http://jp.reuters.com/article/chiha-economic-conference-idJPKBN0U415J20151221?sp=true
- 中国は、景気支援に向け、金融政策に柔軟性を持たせる一方、財政出動を拡大する。2016年の経済政策の優先課題を話し合う中央経済工作会議の決定事項を国営メディアが報じた。
 発表された声明は「積極的な財政政策を強化し、穏健な金融政策を一段と柔軟にすることが必要」と表明。
 財政赤字の比率を緩やかに引き上げるとともに、企業の負担軽減に向けた減税を行なうとした。
 来年の成長率を「妥当な範囲」に維持するとしたが、詳細には言及しなかった。
 政府はまた、インフラ向け支出を拡大するほか、低迷する不動産市場を下支えるため、住宅購入に伴う規制を緩和する。(後略)』


 驚くべきことは、緊縮財政の「闇」が世界を覆っている状況で、「財政赤字の比率を引き上げる」と明言できることです。無論、中国の経済力強化という点では、正しい政策になります。


 後略部では、
「「サプライサイドの改革」を推進し、過剰生産能力の削減や不動産の在庫の調整に取り組む」
 とあり、これは構造改革です。が、同時に、
「政府はサプライサイドの改革を推進する一方、需要の押し上げに向けた措置を講じる
 と、単に構造改革で供給能力を削減するのではなく、需要も拡大すると報じられています。


 「関係筋」によると、中国政府は、
構造改革の断行には、一定の成長率の維持が必要
 と、恐らく日本の「失敗」を念頭に入れたレトリックを使っていますので、「経済力」の本質について理解している可能性が高いと考えるわけです。


 これは、恐るべき事態です。


 このまま日本が緊縮財政や構造改革に邁進し、経済力を弱体化していく反対側で、中国が財政赤字拡大や需要創出に乗り出す。両国の経済規模は、ますます開いていき、将来的に我が国が中国の属国と化す可能性が高まっていきます


 経済力とは「カネ」ではなく、モノやサービスを生産する力であるという「本質」と国民や政治家が理解しない限り、我が国の将来は暗澹たるものにならざるを得ません。


「日本政府は緊縮財政・構造改革路線を中止せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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