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『単位労働コストと生産性①』三橋貴明 AJER2015.12.8
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12月20日 第二回チャンネルAJER講演会「2015年を総括する~徹底検証この一年~」に出演します。
https://www.facebook.com/events/1519342045059642/
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一般参加可能な講演会のお知らせです。
12月20日(日) 第2回 チャンネルAJER定期講演会「2015年を総括する-徹底検証 この一年-
」に出演します。
上記、チャンネルAJERの講演会でも同席する渡邊哲也氏との対談本「これからヤバイ世界経済-2016年を読み解く5つのポイント-
」がビジネス社から刊行になりました。
小学館「中国崩壊後の世界 (小学館新書)
」が大増刷になりました! ありがとうございます!
ついに、オーストリアがスロベニアとの国境に位置する南部シュピールフェルトに、越境防止柵の設置し始めました。現地のメディアによると、柵は高さ約2.5メートルで、総延長は3.7キロ。建設にはオーストリア軍の兵士も参加し、今月25日までの完成を目指すとのことでございます。
スロベニアは歴とした欧州連合加盟国です。欧州連合加盟国同士の「国境」が高くなり始めたわけで、シェンゲン協定の理念は崩壊し始めたことになります。
ドイツの内務省は、15年11月末までに中東から入国した難民が、96万5千人に達したことを明らかにしました。年間100万人規模の民族、人種、言語、文化、伝統、そして「宗教」が異なる人々が流入したわけです。
ちなみに、ドイツはボスニア紛争の影響を受け、92年に約40万人の難民を受け入れた経験を持ちます。
とはいえ、さすがに現在の膨大な難民申請をドイツの担当官庁(内務省の移民難民庁)が捌くことは不可能に近く、未処理の難民申請が35万5000件に達しています。
というわけで、普通に考えてドイツ内務省は職員を「増強」するべきだと思うわけです。実際、野党である左派党のイエルペケ議員は、
「専門知識を持つ職員の不足から機能不全に陥っている移民難民庁に責任がある」
と指摘し、移民難民庁が14年に900人の職員増を要請したにも関わらず、内務大臣が300人のみしか許可しなかったことについて、
「誤った政治判断の報い」
と批判しています。
ドイツの状況は我が国と似ており、いかなる事情があろうとも、公務員を簡単には増やせない状況になっています。(増やしても、不十分)
現在、ドイツ移民難民庁の職員は、超が十個くらいつきそうな人手不足の中、懸命に難民申請を処理していっているわけですが、あろうことか与党であるはずの社会民主党から、
「職員は週末も働け」
という声が上がる始末です。上記に対し、内務省は「昨年の2倍のスピードで申請を処理している」 と反論しています。
さて、最近、我が国でも同じようは話を読んだことを思い出しました。
『常総市、水害で残業代増 9月給料100万円超も十数人
http://www.asahi.com/articles/ASHD44Q79HD4UJHB014.html
鬼怒川が決壊した9月10日から9月30日までの茨城県常総市職員の残業代は約1億3千万円だった。市が4日に開かれた市議会の一般質問で明らかにした。
市によると、職員512人のうち、残業した職員は管理職を含めて492人。災害後21日間の平均残業時間は139・2時間で、最も多い人は342時間だった。管理職には、管理職特別勤務手当として平均11万8866円が残業代として支給された。
一般職員の中には、9月の給料が残業代を含めて100万円を超えた職員が主査クラスを中心に十数人いたという。』
そもそも、朝日新聞が上記の記事を書いた目的が分からないのですが、まだしも「事実」のみを書いています。
そして、問題の毎日新聞は、上記の「事実」について、以下の通りねつ造記事を書きました。
『市職員、9月分給与100万円超も 水害対応で、残業最高342時間 /茨城
http://mainichi.jp/articles/20151205/ddl/k08/010/130000c
常総市は4日、関東・東北豪雨への対応で残業し、9月分の給与が100万円を超えた職員が十数人いたことを明らかにした。水害が発生した9月10~30日までの残業時間は最高で342時間だった。市議会で遠藤章江氏の一般質問に答え、傍聴席の市民から大きなため息が出た。
市側の答弁によると、勤務可能な全492人の同期間の平均残業時間は139時間だった。給与100万円以上は主に係長で、部長らには管理職特別勤務手当を平均で11万9000円支給。残業代と手当を合計すると1億3000万円に達するという。
遠藤氏は「もらう権利はあるが、全国から来たボランティアが無償で働いている中、市職員が多額の給与をもらうことに市民から疑問の声が上がっている」と指摘。給与が高額にならないよう、災害時の特別給与体系の創設を求めた。岡田健二・市総務部長は「全国の自治体の例を調べ、国とも協議したい」と検討する考えを明からにした。【去石信一】 』
遠藤章江議員は、上記、毎日新聞の記事に対し、抗議文を送付しています。
『12月10日 抗議文を送付しました
http://blog.goo.ne.jp/fumie-endo
(前略)貴社は、平成27年12月5日、同月4日に開かれた常総市市議会における当職の一般質問につき、「『もらう権利はあるが、全国から来たボランティアが無償で働いている中、市職員が多額の給与をもらうことに市民から疑問の声が上がっている』と指摘。給与が高額にならないよう、災害時の特別給与体系の創設を求めた。」などとする記事(以下「本件記事」といいます。)を新聞及びウェブ上に掲載し、当職が専ら職員の給与の高さを問題視して特別給与体系創設を求めたかの如き報道をしております。
しかし、実際には、当職は、長時間残業を行うこととなった職員らの健康管理が大切であることに言及し、その上で、災害の時期によっては残業代が増大する結果、市職員の社会保険料が著しく高額になり、市職員の負担が極めて重いものになることが想定されるために、災害時の特別給与体系創設を求めたものです。
以上のように、当職は、本件記事のように、「市職員が多額の給与をもらうこと」に対する疑問があるとの意図での質問など行っておりませんし、「給与が高額とならないよう」特別給与体系創設を求めたものでは全くありません。(後略)』
要するに、毎日新聞の去石信一記者が、遠藤議員が「(公務員の)給与が高額にならないよう、災害時の特別給与体系の創設を求めた」という内容の記事をでっちあげたというのが真相のようです。実際には、遠藤議員は災害発生時の市職員の社会保険料負担軽減を求めたに過ぎません。
そもそも、災害発生時に現場で懸命に救援活動に当たる公務員が、超過労働になるのは当たり前です。超過労働になった以上、適切な残業代を支払うのも、これまた当たり前です。
とはいえ、現在の日本には公務員に対し情けない「ルサンチマン」を抱き、公務員の足を引っ張れば、自分も幸せになれると勘違いしている頭の悪い人たちが大勢います。去石信一記者は、この手の公務員ルサンチマンを抱く「愚民」たち向けに、上記の記事をねつ造したと考えて間違いないでしょう。
非常事態発生時に、公務員が懸命に対処したのであれば、その対価を支払う。それでも、人手が不足しているのであれば、公務員を適正な対価を支払い、増やす。
この種の当たり前のことを国民の多数派が理解しない限り、このままではドイツも日本も、「公務員が非常事態に対応できない発展途上国」まっしぐらだと思い、本日は両国の極めて類似した事例について取り上げました。
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