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『投資のマトリクス①』三橋貴明 AJER2015.8.18(7)
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改めて、レント・シーキングとは、
「新たな付加価値(=需要)を創出するわけではないにも関わらず、既存の需要のパイに【政府を動かし】参入し、既存の所得(=需要)のパイを奪うこと」
という定義になります。
別に、既存の需要のパイに新規参入し、競合に打ち勝ち、他の企業から所得のパイを奪うことは、資本主義としては問題ないというか、当たり前の行為です。とはいえ、そこに【政府を動かし】が加わると、民主主義的に極めて問題になるのです。
なぜなら、アメリカのロビイストにせよ、日本の産業競争力会議や経済財政諮問会議の民間議員と称する民間人にせよ、選挙という民主的プロセスを素っ飛ばしているためです。いや、アメリカのロビイストは、まだしも「選挙で選ばれた政治家」にアプローチするので、日本よりはまだしも民主主義的です。日本の「民間議員と称する民間人」に至っては、国会議員や国会を「無視」し、首相や官邸を動かすことで、「自社の利益」のための政策を実現しようとします。
この手のレント・シーキングを問題視しない人は、頭が相当に悪いか、もしくは民主主義や政治について、真剣に考えていないのでしょう(個人的には前者が多いように思いますが)。
『外国人が家事代行 年内解禁、ダスキンなど参入
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H3S_W5A820C1MM8000/?dg=1
ダスキンやパソナグループなどは外国人を使った家事代行サービスに乗り出す。政府が国家戦略特区の大阪府、神奈川県で同サービスを年内に解禁するのに応じる。特区では給与水準を日本人と同等以上とするなど、外国人が働きやすい条件を整える。家事代行サービスは今後市場が拡大すると見込まれている。各社は人手不足に対応し、成長につなげる。(後略)』
そもそも、「人手不足」ならば、対応策は生産性の向上あるのみです。生産者一人当たりの「付加価値の生産」を増やすことで、インフレギャップを埋めるのです。
生産者一人当たりの付加価値が増えれば、イコール「生産者一人当たりの所得」の拡大です。GDP三面等価の原則により、必ず(マクロ的には)そうなります。すると、国民の実質賃金が上昇し、豊かになっていきます。
豊かになった国民は消費や投資を増やし、さらに「需要」が膨らみます。すると、またまたインフレギャップということで、生産性の向上を目指します。これが「経済成長」です。
産業競争力会議の民間議員と称する民間人である竹中平蔵氏が取締役会長を務めるパソナ・グループが、国家戦略特区という「政治」で大阪や神奈川が外国人の家事代行を可能とすることで、「ビジネス」「利益」を拡大することになります。
我が国は、ここまで露骨なレント・シーキングが可能な国なのです。
しかも、外国人労働者の拡大は国民の実質賃金を引き下げ、生産性向上も抑制するため、経済成長率は高まりません。日本とは今、「こういう国」に落ちぶれているわけです。
『楽天が電力小売り、丸紅から調達 ネット出店者に安く
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ27HZG_X20C15A8MM8000/?dg=1
楽天は丸紅と組み電力の小売りに乗り出す。ネット通販モールに出店する中小事業者に丸紅が用意した割安の電力を販売する。来年4月の電力小売り全面自由化をにらみ、大手電力、新電力、通信などが顧客の争奪に動く中、楽天は出店業者の支援と囲い込みに電力自由化を活用する。別分野の規制緩和を主力ビジネスの競争力強化につなげる先駆けとなりそうだ。(後略)』
産業競争力会議の民間議員と称する民間人である三木谷浩史氏が会長兼社長を務める楽天が、電力小売りに乗り出すとのことです。インターネットにおける医薬品販売解禁という規制緩和に引き続き、電力自由化でも「ビジネス」「利益」を拡大するわけですね。
ところで、国家戦略特区といえば、以前は産業競争力会議、現在は経済財政諮問会議の民間議員と称する民間人である新浪剛史氏が、以前、社長を務めていたローソンが、新潟特区の農業に新規参入しました。
新潟特区の規制緩和を受け、2015年3月17日に特例農業法人「ローソンファーム新潟」が設立されました。大手コンビニ企業ローソンのローソンファームの設立は、新潟特区で23カ所目となります(特例農業生産法人の設立は初めて)。初年度は新潟市港南区の5㌶の土地でコメの生産を開始し、将来的には100㌶規模へと拡大するとのことです。
ローソンファーム新潟の事業が「利益が出なかった」とき、果たして何が起きるのでしょうか? 日本の食料が新潟で安定的に生産されることを、誰が担保してくれるのでしょうか。農協改革成立により、農地転用を許可する農業委員が市長による任命制になります。将来的にローソンファームが農業から撤退し、農地の転用を申し出た際に、それを防ぐことができるのでしょうか。
不明です。
これが、日本の現実なのです。
ならば、どうすればいいのでしょうか。レント・シーキングを防ぐことができるのは、国会議員しかいません。そして、国会議員を動かせるのは、本来は票を持つ多数派の日本国民、すなわち有権者だけです。
レント・シーカーたちの亡国路線を食い止めることができなかったとき、将来世代に「亡国の日本」を引き継ぐことになったとき、その責任は全て「我々、現代の有権者」に帰せられることになります。
さあ、どうしますか? レント・シーカーたちの亡国路線を、見て見ぬふりをしますか?
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