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『ギリシャと地方創生①』三橋貴明 AJER2015.6.16

https://youtu.be/kDM_C2YUqHU

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経済界 2015年 7/21 号 [雑誌] 」に連載「深読み経済ニュース解説 愚劣なPB目標」が掲載されました。


 本日はチャンネル桜「報道ワイド日本ウィークエンド」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1521


 昨日のギリシャに関するレトリックは、実に「理不尽」でございますが、その上、問題解決を不可能とします。ギリシャが財政破綻したのは、生産性が低い状況で関税自主権や通貨発行権を手放し、さらに国債発行に際し、共通通貨で国際金融市場から政府が資金調達しなければならなくなったためです。ギリシャ政府は、国債を発行する際にドイツ政府やフランス政府と「競争」を強いられたわけでございます。


 結果、ギリシャの金利は高止まりし(現在の長期金利は18.9%)、しかも関税と為替レートという「盾」を失っている状況で、生産性向上のための投資が困難な構造に置かれました。ギリシャの問題こそが、構造問題なのです


 ギリシャの構造というよりは、ユーロの構造ですが、ユーロという構造問題を解決するためには、結局は「ユーロという構造」を壊すしかありません。正しい解決策である「ユーロの構造を壊す」ことを防ぐためにも、全てを「ステレオタイプなギリシャ国民の印象」に押し付け、
「ギリシャ人は怠け者で、公務員だらけで、財政赤字を膨らませたから破綻した!」
 などと、嘘つきたちが蔓延する結果になったのだと思います。


 似たような理不尽なレトリックは、もちろん無数にあるのですが、例えば全国農業協同組合連合会、通称「全農」は、なぜか、
「全農が農家や農協に肥料や農薬といった生産資材を高く売り付けている! けしからん! 農協改革だ!」
 と、理不尽なレトリックが蔓延しています。


 あのですね、全農は確かに生産資材について高いシェアを持っていますが、別に農協も農家も全農から肥料や農薬を買う「義務」は無いのですよ。全農の製品が高いと判断したならば、他の業者から買えば済む話で、実際にそうされています


 全農の生産資材には、重要な農協サービスの一つである営農指導のコストが載っていますので、それは高くなるケースもあるでしょう。とはいえ、農は農協や農家に対し「独占販売権」を持っているわけでも何でもありません


 むしろ、全農が大きなシェアを持つことを利用し、
「ダンピングして生産資材を販売し、他の業者を駆逐していっている! けしからん!」
 というならば話は分かりますよ。とはいえ、話は逆なのです

 「安く売り過ぎている!」ならまだしも、なぜ「高く売っている!」と批判されなければならないのか、さっぱり分かりません。分かりませんが、頭の悪い政治家や評論家たちが、この手の意味不明なレトリックを繰り返し、国民の脳内に「全農許すべからず」という「印象」が刷り込まれ、国民の食料安全保障を弱体化させる農協改革が進んでいます。


 そして、電力。


 電力会社の方々の奮闘により、日本は原発を再稼働しないにも関わらず、何とか電力サービスを大停電や輪番停電なしで維持しています。結果的に、
「原発を動かさなくても大停電等が発生していない。だから、原発を動かす必要はない!」
 と、電力会社の努力により、却って日本のエネルギー安全保障を揺るがす「考え方」が広まってしまっています


 今年の夏、九州電力は「他の電力会社からの応援融通」を受電することで、ようやく「最低限、必要な供給予備率」である3%を確保する有様です。予備率3%とは、電力サービスの専門家に言わせれば、
ジャンボジェット機が、海面すれすれを飛んでいる
 状況なのです。どこかで一つ、大規模な発電機のトラブルが発生したら、もうアウトです。


川内再稼働、8月10日にも…国内原発2年ぶり
http://www.yomiuri.co.jp/science/20150710-OYT1T50000.html
 九州電力は9日、川内せんだい原子力発電所1号機(鹿児島県、出力89万キロ・ワット)の原子炉を8月10日にも起動し、再稼働させる方針を固めた。
 実際に発電を始めるのは同13日前後になる見通しだ。
 九電は今月7日から、燃料棒を束ねた157体の燃料集合体(縦横約20センチ、長さ約4メートル)を原子炉に入れ始め、10日未明にその作業を完了した。

 原子力規制委員会は今後、燃料の配置や配管の状態などを検査する。九電は、重大事故を想定した大規模訓練を月内にも実施する計画で、8月10日頃までに一連の準備が全て終わり、再稼働できると判断した。(後略)』


 8月10日、ようやく九州電力の川内原発が再稼働します。綱渡り状況を回避し、九州ので電力サービスを安定化させるためにも、川内を何としても早期に再稼働する必要があったのですが、結局、当初の予定より一年遅れました。


 またぞろ、「理不尽なレトリック」が産み出され、電力会社への攻撃が始まるのでしょう。以前の日本国民は、大手メディア以外の情報源を持たず、理不尽なレトリックが「理不尽である」ことに気が付く機会すらありませんでした。


 現在は、インターネットがあります。

 ところが、ギリシャ、農協、電力関係の言論を見ていると、インターネットで理不尽なレトリックが拡散されているケースが見受けられます。理不尽なレトリックに基づき、問題を解決できないという現実を、いい加減に日本国民は理解するべきなのです。


「理不尽なレトリックを打破しよう!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
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