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『視聴者からの質問に答えて(プライマリーバランスについて)①』三橋貴明 AJER2015.6.9(11)

https://youtu.be/JRE39dg0-eA

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  もはや「愚劣」を通り越して、「狂気の領域」に到達した気がいたします、この方。


20年度にPB黒字化しないと、金利急騰で破産も=自民政調会長
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OX0ZE20150617
 自民党の稲田朋美政調会長は17日に開催されたロイター・ニュースメーカーで、2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化をしておかなければ、金利の急上昇によって日本の財政が破綻状態になりうるとの見解を示した。
会場での質疑応答の中で、稲田政調会長は「いつか急に金利が上昇して、破産状態になることがありうる」と指摘。政府・与党内で20年度の「PB黒字化には争いがない状況」だが、そこに至る改革が「どれくらい必要か、議論している」と、政府・与党内における調整作業の現状を説明した。(後略)』


 何というレベルの低さ


 わたくしは以前、この方に二度ほど、マクロ経済(特に国債や財政)についてレクチャーさせて頂いたのですが、何にも分かっていなかった、という事実が判明いたしました。あるいは、付け焼刃の知識だけは身に着けておいたのが、財務省の洗脳にあっさりとひっくり返されたしまったのか。


 プライマリーバランスのみで、金利が変動するなど、一体、どこのファンタジーワールドの住民なのですか、稲田政調会長は。個人的に妄想を想起するのは勝手ですが、発言するのは止めて欲しいものです


 そもそも、「国家の破産状態」って何ですか? デフォルト(債務不履行)のことですか。

 しかも、PBが黒字化しなければ、金利が急騰して「破産状態」になるって・・・・。ここまで何も理解していないとは・・・・。


 突っ込みどころが多すぎて、正直「読むに堪えない」記事なのですが、一応、突っ込んでおきます。


【日本のプライマリーバランスと長期金利】


http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#PB


 上記の通り、日本のPBは延々と赤字状態が続いていますが、金利は急騰するどころか低迷を続けています。理由は、そもそもPBの赤字が続くとは、税収が不足している「不景気」であり、民間企業や家計が銀行からおカネを借りようとしないデフレ状態が継続しているためです。


 デフレである以上、民間は借り入れを増やさず、むしろ銀行預金を増やします。結果、銀行はおカネの「貸出先」に困り、国債を買うため、金利が下がるのです。この辺の話は、マントゥーマンでデータやグラフを使って説明したのですが、何も頭に残っていないようですね。


 2006年に注目してください。PBの赤字が解消寸前まで行き、同時に「金利が少し上がっている」のが確認できるはずです。

 当たり前です。

 当時はアメリカのバブルの影響で、日本はそこそこ景気が良く、税収が増え、PBが改善したのです。さらに、民間企業がようやく借り入れを増やし始めた(今は元に戻ってしまいましたが)ため、金利が少し上昇したわけでございます。


 そもそも、金利が急騰するということは、銀行が国債を手放し「日本円」に交換するという話です。日本円を手に入れた銀行は、それを何で運用するのでしょうか。つまりは「誰に貸し出す?」という話ですが、誰にも貸し出さなければ、銀行は逆ザヤで倒産してしまいます。


 貸出先に困った銀行は、デフレが継続している限り、結局は「国債」を買い、運用しようとせざるを得ません。逆に、金利が上がるほど民間の借り入れが増えているならば、それは単にデフレ脱却という話なので、むしろ慶事でございます。


 それ以前に、日本銀行が国債を買い取れば、金利の抑制など容易にできる我が国で、
「金利が上昇して破産状態に陥るからPBの黒字化を!」
 って、何年前の議論をしているのでしょう。周回遅れどころか、5周くらい遅れていますよ、稲田政調会長


 この手の出鱈目を平気で口にする「無知な政治家」たちが跋扈しているからこそ、我が国はデフレが継続し、国民の貧困化が終わらないのです。


 何度か書いていますが、わたくしは自らが作成したグラフ等について著作権は主張しません(そもそも、ソースが公開データ)。上記のグラフなどを活用し、稲田政調会長がどれほど何も理解せずに発言しているか、拡散して差し上げて下さいませ。

 

「稲田政調会長は出鱈目で国民を煽るのをやめろ!」に、ご賛同下さる方は、

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