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チャンネルAJER更新しました!

『国の借金シンドロームの治療(後編)①』三橋貴明 AJER2015.2.24(3)

http://youtu.be/_OAuQJWGWCc

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一般参加可能な講演会

3月28日(土) 12時より『シンポジウム「台湾映画『KANO』にみる、忘れられた台湾史と今の日本人に求められるもの」』 文京区シビックセンターにて。

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中国との貿易をやめても、まったく日本は困らない!──中国経済の真実 (WAC BUNKO 213) 」が増刷になりました。ありがとうございます。


 チャンネル桜「日本よ、今...「闘論!倒論!討論!」 」に出演しました。


1/3【キャスター討論】田母神事務所横領疑惑と日本の行方[桜H27/2/28]

http://youtu.be/wastF8lujKI

2/3【キャスター討論】田母神事務所横領疑惑と日本の行方[桜H27/2/28]

http://youtu.be/OLo2E6qtgNM

3/3【キャスター討論】田母神事務所横領疑惑と日本の行方[桜H27/2/28]

http://youtu.be/o_6LZvmgdKk


 さて、昨日の続きです。


 我が国が長期的に経済成長するためには、「総需要(名目GDP)>供給能力(潜在GDP)」のインフレギャップ状況となり、その上で外国移民(=外国人労働者)に頼るのではなく、
働く日本国民の生産性を向上させる
 形で潜在GDPを引き上げる必要があります。というわけで、まずは「デフレギャップ」を政府が財政出動で解消しなければなりません。


 インフレギャップの環境下になれば、国民の生産性が上がると「豊かになった」という話になり、消費を中心とする民間需要が拡大していきます。民間需要が拡大すれば、インフレギャップは埋まらず、更なる生産性向上が求められる「素晴らしい環境」が実現するわけです。


「いや、国民が豊かになっても、我々はすでに欲しいものを手に入れているので、消費は増えない」
「人口が減少している以上、消費は増えない」

 などと、思考停止的に「消費拡大」を否定する人たちは、現実の「若い世代」を全く知りません。若い世代がスマートフォンに夢中で、車を買おうともしないのは、別に「草食化」のためでも、「満たされている」ためでもありません。所得が不足しているためです


 実質賃金が1997年以降、減り続け、第二次安倍政権が発足して以降すら、5%も減りました(事実です)。現在の日本は貧困化の過程にあり、もし、
「いや、自分はそんなことはない」
 と思ったとしたら、他の誰かがより厳しい貧困化に見舞われています。全体の所得のパイが増えていない以上、自分の所得が増えた人は、必ず誰か別の人の所得を奪っています(それが悪いという話ではありません。事実としてそうだというだけの話です)。


 この状況で、消費、特に「量」で見た実質消費が増えるはずがありません。


実質消費支出、10カ月連続で減少 消費の戻り鈍い

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0W106V20150227
 総務省が27日発表した1月の家計調査によると、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の消費支出は1世帯当たり28万9847円で、実質前年比で5.1%減となった。減少は10カ月連続。前月比でも0.3%減と5カ月ぶりに減少するなど、個人消費は戻りの鈍い状況が続いている。
実質消費支出は、事前の市場予想で前年比4.1%減(予測中央値)が見込まれていたが、結果はこれを下回った。(中略)
一方、前月比でも5カ月ぶりの減少となったが、被服や食料などが減少しており、総務省では、天候不順が影響した可能性があるとしている。昨年4月の消費増税の駆け込み需要の反動減自体は、高額品を除けば収束に向かっているとみており、基調判断は「このところ持ち直している」に据え置いた。
1月の勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり44万0226円で、実質前年比2.3%減と16カ月連続で減少。名目は同0.4%の増加となった。』


 というわけで、日本の実質消費(二人以上の世帯)支出をグラフ化してみました。


【日本の実質消費支出(二人以上の世帯 対前年比%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#Jcon


 実質賃金の下落は、2013年初めから始まっていましたが、それでも2014年1-3月期までは、実質消費はプラスになることもありました。ところが、2014年4月以降、我が国は実質消費が常に対前年比マイナスという状況が続いています。消費税増税が、いかに「失政」であったかが、改めて分かります。


 消費税増税以降は、均すと4%程度の対前年比下落です。日本の民間最終消費支出は300兆円弱なので、現在の状況が続くと、年間に12兆円規模の「実質的な消費需要の縮小」が発生することになります。


 実質的な消費の縮小とは、国内を市場とする中小企業にとって、
目の前で仕事が消えていく
 ことを意味します。この状況で、企業が物価上昇率を上回る賃金の引き上げに乗り出せるはずがなく、実質賃金の下落が続き、それがさらに実質消費を引き下げる悪循環に突入するでしょう(というか、突入しています)。


 とはいえ、実質消費の縮小は、
「モノやサービスが売れなくなってきた」
 ことを意味します。モノやサービスが売れなければ、当然ながら消費者物価は落ちます。コアCPIとコアコアCPIは、間もなくマイナスの領域に逆戻りすることになるでしょう。


 そうなると、皮肉な話ですが実質賃金の下落幅は縮小します。

 もっとも、実質消費の減少、消費者物価の下落が続いていけば、いずれは賃金が名目でも落ちていくことになります(現在は記事にもある通り、0.4%の増加)。最終的に、物価の下落を上回るペースで名目賃金が落ちていけば、2012年までの日本に逆戻りです。すなわち、完全なる「再デフレ化」という話になります


 政府がプライマリーバランス黒字化路線を堅持しているため、我が国では「実質的に仕事を増やす」財政出動が十分にできません。今の路線が続けば、2015年の日本が「再デフレ化」する可能性は極めて濃厚だと思います。


 日本が再デフレ化した時、
なぜ、こんなことになったのか
 を、国民が正しく理解する必要があります。さもなければ、我が国は永遠にデフレと緊縮財政の悪循環から抜けられないでしょう。


 日本国は、国民が「正しく経済を知る」ことなしでは、国民経済が浮上できないという厳しい時代を迎えたのです。


「正しく経済を知ろう」という三橋の活動に賛意を示して下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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