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『財政均衡主義の払拭を①』三橋貴明 AJER2014.10.21(2)

http://youtu.be/xKv1OE-9LaY

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2014/11/14 東京都トラック協会 ロジスティクス研究会 三橋貴明氏 講演会 テーマ「生産性向上のためのインフラ整備-運送サービスで考える-」

http://ws.formzu.net/fgen/S54394876/

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 次世代の党の中山成彬先生が、
「安倍首相は来週解散するという。審議中の鳴り物入りの地方創生、女性活躍推進法案は何だったのか。消費税を上げたくないなら凍結法案を出せばいいのだ。これから支持率が下がって行くので、野党の選挙態勢が整わない今なら勝てると踏んでのことだろう。自民党にも慎重論がある。国民不在の永田町選挙。」
 と、ツイートされていましたが、やはり、
「消費税増税延期の是非を問う」
 というお題目の解散総選挙には、納得がいきません。消費税の再増税を延期したいならば、総理が「延期します」と記者会見で表明し、凍結法案なり延期法案なりを国会で可決すれば済む話です。


 しかも、昨年の10月1日、今年4月の増税を表明した際の記者会見で、総理は、来年10月の再増税について、
「税制抜本改革法において、2015年10月に10%へ消費税率を引き上げていくことが規定されておりますが、その引上げについては、改めて附則第18条にのっとって経済状況等を総合的に勘案して、判断時期も含めて、適切に判断していきたい、決断していきたいと考えています。」
 と発言しています。


「適切に判断しました。増税延期」
 これで済む話が、なぜ解散総選挙なのでしょうか。(もっとも、現時点で総理が正式に解散を表明したわけではないことは書き添えておきます)


 さて、本日は産経新聞の社説。厳密には、根本的な問題を全く理解していない産経新聞の社説を取り上げます。


消費増税と総選挙 先送りなら時期の明示を アベノミクスの審判を仰げ
http://www.sankei.com/column/news/141113/clm1411130002-n1.html
 安倍晋三政権が来秋に予定していた消費税率10%への引き上げを先送りし、これに伴って衆院解散に踏み切るという。
 4月の消費税8%への増税以来、個人消費の伸び悩みなどから景気は確かな回復に至っていない。予定通りの再増税を決めれば景気の腰折れを招き、デフレ脱却が果たせない恐れがある。
 景気動向により増税を停止することは法律も規定している。これらを総合的にとらえれば、延期はやむを得ない判断といえよう。
 ≪景気鑑み延期やむなし≫
 産経新聞は税と社会保障の一体改革に伴う消費増税は必要だとの立場をとってきた。少子高齢化が進む中で安定した社会保障財源を確保し、財政健全化につなげる上で不可欠なものだからだ。
 それは変わらない。今後は時期を明示し、円滑かつ確実に実施できる経済環境を実現することが、最も重要となる。
 首相はこれに全力で取り組まなければならない。必要な施策を怠り、再延期を余儀なくされるような対応は許されない。(後略)』


 まず、突っ込んでおきたいのは、「少子高齢化が進む中で安定した社会保障財源を確保し、財政健全化につなげる」ために必要なのは、政府の「増収」であり、増税そのものではありません。97年に消費税を増税した結果、所得税と法人税が減少し、政府は減収になってしまいました。

 14年4月の増税強行も、同じ結果を引き起こす可能性が極めて高いです。何しろ、図の通り日本の実質賃金と実質消費は、14年4月にまさに「崖」から突き落とされた状況にあります。


【日本の実質消費と実質賃金の推移(対前年比%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_48.html#Gake


 要するに、産経新聞の社説を書いた記者は、税収は名目GDPに(ほぼ)比例するという、基本中の基本すら理解していない可能性があるのです(税収弾性値の話は省略します)。日本の税収が増えないのは、デフレで名目GDPが低成長に甘んじていたためです。税金の「原資」が増えなかったからこそ、日本は税収が伸び悩んだのです。

 消費増税は「デフレ促進策」であるため、日本の税収増には結びつきません。むしろ、税収を減らすことになります


 さらにいえば、消費税は繰り返し書いてきた通り、逆累進性がある税制です。消費税が所得に占める割合は、高所得者層ほど低くなり、低所得者層ほど高くなります。消費税の引き上げは、普通に格差拡大効果があるのです。 


 加えて、そもそも消費税増税の「お題目」に掲げられている「社会保障」とは、基本的には「弱者救済」を目的にしているはずです。「消費税で社会保障を」とは、弱者に厳しい税金(=消費税)を強化し、弱者救済に使うという「矛盾」を抱えた考え方なのです。


 しかも、産経新聞の社説は、
「時期を明示し」
 と、頭が痛くなることを堂々と書いています。あれですか。産経新聞はGDPが10%も減少しているカタストロフィーの最中であっても、「明示された時期」が来たなら増税するべき、と言いたいのでしょうか。産経の社説を書いた記者が、経世済民の「け」の字も理解していないのが分かります。


 非常事態は、常に起こり得るのです。時期を明示したところで、災害や災難がその時期に我が国を避けてくれるはずがないでしょう?


 今後の政局がどう動くかは不明ですが、「根本的な問題」を理解しない国会議員が数多く生まれるような(現在でも多いですが)状況になってしまうと、日本の将来は暗澹たるものにならざるを得ません。そうはさせないためにも、わたくしは主権者としてできる限りのことをやりたいと思っています。


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