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『いわゆる国の借金①』三橋貴明 AJER2014.9.23(3)

http://youtu.be/Kh8vo8Zjc2I

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2014/11/04 『Voice』特別シンポジウム「2015年の安倍政権を占う」

小浜逸郎氏、藤井聡氏、三橋貴明氏、柴山桂太氏が安倍政権の経済政策を斬る! http://voice.peatix.com/

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 究極的かつ典型的なレント・シーキングであるFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)が、いよいよ「終焉のとき」を迎えようとしています。


 なぜ、FITがレント・シーキングなのか。今更書くまでもないのですが、まずは電力サービス(発電部門)の「付加価値」には、二種類あることを理解してください。すなわち、
安定的な発電源
 と、
不安定な発電源
 です。再生可能エネルギーは、言うまでもなく「不安定な発電源」です。逆に、「安定的な発電源」の代表が、もちろん原子力発電になります。


 現在の日本で「供給能力<需要」が発生している電力サービスは、「安定的な発電源」の分野です。再生可能エネルギーが、もし「安定的な発電源」であったならば、
「国民が必要であるにも関わらず、電力会社が供給できない安定的な発電という付加価値を追加的に創出した」
 事になるわけですが、現実は違います。電力会社は別に「不安定な発電源」が不足して困っているわけではないため、FITに基づき太陽光や風力で発電した電気を送電網に流し込んでも、それは単に、
電力会社の付加価値の一部を奪っている
 だけの話に過ぎません。


 しかも、わざわざ市場価格よりも「高い金額」で電力会社がFITの電気を買い取り、負担を「再エネ賦課金」として我々一般国民に押し付けるという、とんでもない仕組みが再生可能エネルギー固定価格買取制度なのです。FITの根拠法である再生可能エネルギー特措法は、2011年7月に福島第一原発事故後の混乱に乗じて成立させられてしまいました。


 新たな付加価値を生むわけでもないにも関わらず、法律を変えることで市場に新規参入を果たし、既存の所得のパイ(電力会社、国民)の一部を奪っていく。まさに、「これぞ、レント・シーキング」と評したくなるほど、見事な「一本!」を決められてしまったのです。


 とにかく、FITを批判すると、自然エネルギーLoveな脱原発・反原発派から攻撃され、FIT事業でチャリーン、チャリーンと我々の所得の一部(再エネ賦課金)を懐に入れている事業者側からも攻撃され、挟まれて本当に悲惨でございました。ちなみに、FITの事業者側には、皆さんが愛する韓国や中国、ウォール街などの投資家も含まれております。何しろ、FITには「外資規制」がございませんので。


 我々は「法律」により所得の一部を再エネ賦課金として支払わされ、本来は不要なFITの電気を買い取らされ、代金がFIT事業者経由で中国や韓国、ウォール街の投資家の元に送られる構図というわけでございますね。


 さて、このFIT。意外なことに、電力会社の送電網のキャパシティがボトルネックになり、早々と終焉のときを迎えることになりそうです。


東北など5電力、再生エネの契約中断 送電線の能力不足
http://www.asahi.com/articles/ASG9Z5F5QG9ZULFA02L.html
 太陽光など再生可能エネルギーの普及が壁にぶつかっている。北海道、東北、四国、九州、沖縄の5電力は30日までに、再生エネを固定価格で買い取る契約を中断することを決めた。送電線の能力が足りず、買い取りをこれ以上増やすと停電などのトラブルを起こす心配があるためで、経済産業省も対策に乗り出した。
 政府は、水力を含む再生エネの割合を、今の約1割から少なくとも2割を超える水準まで増やす目標を掲げる。固定価格買い取り制度(FIT)に基づき、事業者が利益を得やすい価格で電気を買っており、太陽光の申請が急増していた。

 北海道、東北、四国の3社は30日の経産省の新エネルギー小委員会で、10月1日から新たな契約を当面中断すると発表。沖縄は8月上旬から、九州は9月25日から中断している。沖縄を除く4社は、一般家庭が余った電気を売る分については、引き続き買い取る。(後略)』


 そもそも、政府が再エネの割合を「2割に増やす」という目標を掲げている時点で問題だと思います。何しろ、再エネの多くは現在の日本にとって必要な「安定的な発電源」ではありません。


 それはともかく、FIT市場の主戦場であった(比較的土地に余裕があるため)北電、東北電、四電、九電、沖電の五社が、再エネの買取を中断することを決定しました。理由は、送電網の能力が足りず、これ以上買取を続けると、電力サービス全体にトラブルが発生する可能性があるためです。不要な電気を大量に送電網に受け入れてしまうと、周波数が乱れ、送電設備が故障したり、最悪、ブラックアウト(大停電)が引き起こされる可能性もあります


 まさかとは思いますが、「典型的なレント・シーキング」であるFITの拡大を目的とした、電力会社の送電網の強化コストを、我々日本国民が負担させられるなどということにはならないでしょうね。万が一、「税金」でやるとなると、日本国民は再エネ賦課金に加え、本来は不要な送電網強化コストまでをも負担させられ、所得の一部がFIT事業者や外国人を含む投資家に渡るという話になってしまいます。


 無論、原発を動かさず、収益が青息吐息になっている電力会社に、送電網のキャパシティを拡大する投資はできません。何しろ、既存送電網のメンテナンスコストすら削られている有様なのです。


 当然ながら、受益者負担ということで、送電網の強化(数兆円単位のお金が必要です)のコストは、FIT事業者が負担するべきです。


 というわけで、FIT発電税(例えば利益の90%に課税する)を成立させ、お金を送電網強化のために使うというのはいかがでございましょうか。経産省にとっても、新たな権益が生まれることになり、有りがたい話ではないでしょうか。すでに複数の政治家さんに提言していますが、議員立法でも何でも構いませんので、FIT発電税を是非とも実現して欲しいと思います。


FIT発電税に賛同する!と、思って下さった方は、

↓このリンクをクリックを!

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