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『ウクライナ危機①』三橋貴明 AJER2014.8.19(3)

http://youtu.be/cyaQKYmCqLo

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2014年9月6日(土)三重県商工会議所青年部連合会 講演会

 テーマ「中小企業が日本経済を牽引する」

http://www.yokkaichi-cci.or.jp/web/12/post_993.html

2014年9月13日(土) 大念寺本堂 三橋貴明講演会

 テーマ「増税による「国民経済の崖」を乗り越えるには、どうしたらいいのか?」

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Koen

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週刊朝日 2014年 8/29号 [雑誌] 」の「実感なき好景気を"目指す"人たち 安倍財界人脈密着度ランキング」にインタビュー出演しています。


 さて、実質賃金です。


7月実質賃金は前年比‐1.4%、所定内は2カ月連続増=毎月勤労統計
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0GX03I20140902
 厚生労働省が2日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、7月の現金給与総額(事業所規模5人以上)は前年比2.6%増の36万9846円となり、5カ月連続で増加した。
物価の変動を考慮した実質賃金は前年比1.4%減と13カ月連続のマイナスとなったが、マイナス幅は4月の消費増税以降に続いていた3%台から1%台に縮小した。所定内給与の増加に加え、7月はボーナスの伸びも大きく、実質賃金の低下を抑制した。
所定内給与は前年比0.7%増と2カ月連続で増加した。このうち、正社員などフルタイムで働く一般労働者は前年比0.7%増で、4カ月連続増となった。パートタイム労働者は同0.5%増だった。(後略)』


【図 日本の実質賃金(決まって支給する給与)の推移(対前年比%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Chingin


 当たり前と言えば、当たり前ですが、7月の実質賃金も速報値段階でマイナスとなりました。(現金給与総額は対前年比でマイナス1.4%、きまって支給する給与が-2.4%)


 記事では「マイナス幅は4月の消費増税以降に続いていた3%台から1%台に縮小した」とありますが、7月はボーナス支給分があるため現金給与総額が増えたわけです。

 実態の把握のためには「現金給与総額」ではなく「きまって支給する給与」で見るべきだと思います。国民の継続的な支出拡大のためには、一時金ではなく恒常所得の増加が必要なためです。


 フリードマンではないですが、デフレマインドに冒された国民が継続的に消費や投資を拡大するためには、所得総額ではなく恒常所得の安定的な拡大が必要です。というわけで、わたくしは「実質賃金」と言い出した時点から、常に「きまって支給する給与」で状況を見ています。


 「きまって支給する給与」で見ると、国民の実質賃金はマイナス2.4%ですから、未だに貧困化が続いていることになります。


 ところで、
三橋は実質賃金、実質賃金言うけど、ならばどうしろというんだ
 という疑問を持たれている方が少なくないでしょうから、以下に整理しておきます。(パラパラと提言はしていますが、まとめたことがなかったため)


(1) 実質賃金を切り下げる政策を採らない
 まずはとにもかくにも、労働規制の緩和(非正規社員・派遣社員の拡大)、労働時間規制の緩和(残業代ゼロ制度)、配偶者控除廃止、そして外国移民(外国人労働者)の受入拡大という、労働市場の競争を無闇に激化させ、賃金切り下げ競争を引き起こす政策を「やらない」ことが肝要です。安倍政権は、配偶者控除廃止以外は全て推進しています。すなわち、国民の貧困化を推進する政権ということになります


(2) 政府支出拡大による実質賃金の引き上げ
 公共事業(土木・建設)、医療、介護、教育など、政府の投資(公的固定資本形成)や消費(政府最終消費支出)により、生産者の所得を左右できる分野において、労務単価を引き上げるのです。注意しなければならないのは、公共事業なら公共事業で、
「事業数を増やすのではなく、事業単価を引き上げる」
 ことが必要になります。すなわち、政府が建設サービス、介護サービス、医療サービスなどを「高く買う」ことで、所得の拡大を伴うサービス価格の上昇を実現することができます。
 もちろん、政府が「単価」を引き上げる際には、それが「労務単価」として反映されるように、規制を強化する必要があります。

 いまさらですが、我が国が長期金利世界最低水準、かつ独自通貨国である以上、「財政問題」はボトルネック(制約条件)になり得ません。


(3) 独占禁止法の運用方針変更

 日本の独占禁止法は、第一条が、
「私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする」
 となっていますが、現実には、
一般消費者の利益を確保する
 に、やたら重点が置かれています。すなわち、「価格を引き下げることが善」というコンセプトになっているのです。


 現在、大手流通業(イオン等)の事業支配力が強くなりすぎ、納入業者や運送業者はコストが上がっている(円安、人手不足などにより)にも関わらず、サービス価格、卸売価格に転嫁できてません。結果的に、大手流通の「上流の企業」が、コスト増と価格据え置きに挟まれ、悲惨な状況に陥っています。


 デフレの国にとって、独占禁止法は「一般消費者の利益を確保」よりも、「雇傭及び国民実所得の水準を高め」に重点を置くべきだと思うのです。例えば、大手流通業が事業支配力を活用し、納入業者、運送業者の価格引き上げを認めない場合、「独占禁止法違反」とする必要があります。


 実質賃金を引き上げる方法は他にも複数ありますが、とりあえず「最低限、これだけは必要」と確信している政策について書いてみました。


 ご意見等がございましたら、コメントに書き込んで下さい。


「政府は実質賃金切り上げに政策を転換せよ!」にご賛同下さる方は、

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