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 予想通りというか、何というか・・・。


ガスプロム、ウクライナ向けの割引廃止へ
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304085204579419400726478102.html
【モスクワ】ロシア国営の天然ガス大手ガスプロムは、ウクライナに輸出するガスについて、4月上旬から割引の適用を廃止する。インタファクス通信が4日、アレクセイ・ミレル最高経営責任者(CEO)の話として伝えた。
 報道によると、ミレルCEOはウクライナの契約上の義務不履行を割引停止の理由に挙げた。
 ロシアのメドベージェフ首相は、ガスプロムの判断について「正当化される」と述べた。また財務省に対し、ウクライナに20億~30億ドルの融資を提供し、ガスプロムへの支払いに充当させることのリスクを検討するよう指示した。 
 インタファクスによれば、メドベージェフ首相は2月にウクライナに出荷したガスの代金が一部未払いだとも語った。』


 ウクライナは約15億3千万ドル(約1560億円)のガス代金を払っておらず、昨年、ロシアと結んだ合意に反している状況にあります。昨年の合意とは、プーチン大統領がヤヌコビッチ大統領と取り交わした「ウクライナに割引料金でガスを提供する」という合意になります。


 ソ連時代からオレンジ革命まで、ウクライナはロシアから「お仲間価格」で天然ガスを提供してもらっていました。


 オレンジ革命後の05年、ガスプロムがウクライナにガス提供価格の引き上げ(1000㎥ あたり50ドルから160ドル(最終的には230ドルまで上昇))を要請し、交渉が紛糾します。結局、両社ともに折り合わず、06年1月1日にガスプロムはウクライナ向けガスの供給を停止します。


 ところが、ガスの提供停止とは
「ウクライナを通りヨーロッパに向かうガスパイプラインに、ウクライナ分を差し引いてガスを送る」
 という意味だったので、ウクライナのパイプラインでは欧州向けのガスが送られ続けました。そして、ウクライナは自国を通るパイプラインからガスを「盗んだ」わけです。結果的に、欧州諸国にガスが届かなくなり、各国は大混乱になります。


 続いて08年、リーマンショックや世界的な金融危機の余波を受け、ウクライナ経済は悪化し、IMFに緊急融資を要請する状況に陥ります。08年末、ウクライナはロシア産ガスの料金を支払えなくなり、またもやガスプロム社が、
「滞納料金と罰金を支払わなければ、09年1月1日にガスの供給を停止する」
 と警告。ウクライナは08年年末までに、何とか滞納料金を返済したのですが、罰金分は金額につい折り合いがつかず、支払いは行われませんでした。結果、ガスプロムの警告通り、またまた1月1日にガスの供給が止まります


 1月18日に、ようやくロシアのプーチン首相(当時)とウクライナのティモシェンコ首相(同)が合意に至り、ガスの供給が再開されました。とはいえ、ウクライナ側は09年のガス価格については20%の割引、10年以降は欧州諸国と同じ価格を支払うことを飲まされたのです。


 しかも、ウクライナは09年の合意で、ロシアのガスを「一定量購入する」ことを義務付けられてしまったため、国内のガス産業が停滞します。結果、ウクライナが使用するガスに占める外国産(もちろんロシア産)の割合は、09年以降に却って高まっていくのです。すなわち、ロシア依存によりエネルギー安全保障が揺らぎ、ガス紛争が発生し、ますますロシア依存を深めていったというのがウクライナの最近の歴史というわけです。


 ウクライナはチェルノブイリがある国であるも関わらず、原発を推進していますが、上記の状況である以上、当然です。とはいえ、またもや間に合いませんでした。


 ウクライナ人は結構、リアリストで、選挙をすると親ロシア派が勝ちます。ロシア依存に怒り心頭に発していても、現実に依存している以上、反ロシア派の政権を誕生させたところで、更なる混乱が発生するだけ(発生するでしょう)ということを、多くの国民が理解しているのです。


 というわけで、民主的な選挙をやるとロシア派が勝ってしまい、ヤヌコビッチ大統領も一応、民主主義により選ばれた大統領というわけです。ちなみに、2010年に就任したヤヌコビッチ大統領は、ロシア語の第2公用語化を訴えていました。


 それでは収まらなかったのが、西部の親EU、カトリックのウクライナ人たちです。EUに加盟し、NATOに安全保障を委ねることを目指す彼らは、反ヤヌコビッチ運動を開始し、今回のクーデターに結び付いたわけです。


 ちなみに、クリミア半島は元々ロシア語が(事実上の)第1公用語となっており、住んでいるのも6割がロシア系です。クリミア半島は、オスマントルコ領だった地域ですが、露土戦争でロシアが勝利し、1783年にロシア帝国に併合されました。その後、ソ連のフルシチョフ時代にウクライナに移管されたため、住んでいるのはほとんどロシア人です。


 クリミア半島にはロシア海軍の黒海艦隊の基地があり、ロシア人も「ロシア領」と認識している地域なのです。というわけで、プーチン大統領は今回の紛争にかこつけ、事実上、クリミアを実効支配に持ち込み
「武力行使の可能性消えた」
 と、ことを収めたように見せて、反対側でガスプロムを使い、ウクライナにプレッシャーをかけ続けているわけです。


 エネルギー安全保障を他国に依存するとは、どういうことなのか。実にわかりやすいケーススタディになっているのでございます。


 さて、我が国はエネルギー自給率が4%台の国です。しかも、中東依存度が再び高くなっており、90%に最接近しています。


【日本のエネルギー供給の中東依存度(単位:%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_45.html#tyuto


 日本のエネルギー安全保障を考えたとき、中東の原油ガスに依存している問題よりも、購入した原油やLNGを「日本までタンカーで運ばなければならない」現実の方がリスクが大きくなります。何しろ、航路の北には仮想敵国(中国)がデンッと存在しているのです。


 さらに言えば、ホルムズ海峡とマラッカ海峡と、極めて不安定な航路を通らなければ、日本に原油やLNGを運び込むことはできません。(マラッカ海峡をが通れないと、オーストラリアの南を回ることになりかねないのです)


 エネルギー安全保障が脆弱ということは、ウクライナの例からもわかる通り、国家として「他国に主権を奪われる」状態を呼び込みかねないのです。ならば、どうすればいいのか。
 今回のウクライナ紛争を切っ掛けに、多くの日本国民の皆様に「日本のエネルギー安全保障」について考えて欲しいのです。


「真剣にエネルギー安全保障を考えよう!」にご賛同下さる方は、このリンクをクリックを!
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