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『規制緩和を考える(後編)①』三橋貴明 AJER2013.6.18(1)

http://youtu.be/kpAwByL4wPM

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 NEW! 7月4日(木) 沖縄経済成長セミナー「公共事業が沖縄を救う」

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_42.html#Okinawa

 7月11日(木) 第11回烏山講演会「世界経済とマスコミの嘘」(会場:東京都)

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 右の二冊、すでに発売開始しました! 田母神さんとの対談本は七月上旬発売です。



 本日は長岡から福井に移動し、講演です。北陸を特急列車で動いています。(北陸新幹線は2015年以降、順次が開通予定)
 
 さて、所得が創出されるには、以下の所得創出のプロセスを完成させなければなりません。


① 国民が働き、モノ(財)やサービスを生産する。(付加価値の創出)
② 別の国民(外国もOK)が、生産されたモノやサービスを購入する(消費・投資)
③ 消費、投資として支払われたおカネが、①の生産者の所得となる


 バブル崩壊後に国民が借金返済や銀行預金を減らし、消費や投資を削り、物価や所得が下落し、労働者の賃金水準が下がると、②の消費、投資がますます難しくなっていきます。すると、①で生産されたモノやサービスが売れず、さらに物価が下落し、生産者の所得が下がり、今度はその生産者が②の消費、投資をするときに「カネがないから、払えない。安くして」と言い出し、物価、所得が縮小する悪循環がどこまでも続いていきます。


 これがデフレーションです。

 現在の日本はデフレ深刻化により②が増えず、①の生産は可能であるため、物価が下落し③の所得が下がる(そして、所得の下落が次の消費や投資を減らす)状況にあります。とはいえ、③の所得を減らすには、何もデフレ陥らせる必要はありません。富裕層減税、法人税減税により所得の再分配機能を歪めてしまえばいいのです。


 結果的に、その国では所得格差が開き、一般の国民の賃金水準が上がらなくなります。一般国民の賃金水準が上がらないと、彼らがモノやサービスを買う購買力が減ってしまうため、誰かの所得を減らしてしまうはずです。誰かの所得が減ると、その人の購買力が減少するという話であり、回りまわって富裕層や企業も損をするはずです(国内でモノやサービスが売れなくなるため)。


 ところが、ここに「グローバリズム」とうい要素が加わると、話はまるで変わってきます。


 企業は国内の賃金水準が低い国民など、もはや「顧客」として意識せず、市場は「グローバル」に求めます。グローバルでモノやサービスを販売することで所得を得る。これがメインになると、国内の一般国民は単なる「コスト」になります。コストである以上、賃金水準は安ければ安いほど、
「国際競争力が上がるじゃないか」
 というわけで、しかも資本移動の自由が確立されている以上、企業側は、
「賃金水準を上げろだ? ふざけるな。国内で操業してやっているだけでもありがたいと思え。文句ばかり言っていると、工場を外国に移すぞ
 と言ってくる(実際にはこんな下品な物言いはしないのでしょうが)わけでございます。


コラム:米国が直面する「賃金危機」
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE95R05I20130628
 米国の勤労世帯は現在、「賃金危機」にある。仕事の質は低下し、低賃金労働者層は増加、そして米国の賃金格差は紛れもなく恥ずべきレベルにある。
 皮肉にも、公正労働基準法(FLSA)が制定されてから6月25日で75周年を迎えた。現在では米国での大半の職種や労働者に適用されるこの法律が、制定当初の1938年に定めた最低賃金は時給25セント。2009年以降は時給7.25ドルにまで上昇した。
 しかし、最低賃金の価値はかつてとは異なる。1960年代後半の最低賃金は平均賃金の約半分であり、最低賃金でも正規雇用者1人の年間所得で、3人世帯を養うことができた。だが、今は違う。最低賃金は平均賃金のわずか37%で、それだけでは貧困線を下回る生活を余儀なくされる。
 もし最低賃金が1969年以降の物価上昇を反映していれば、現在約10.70ドルに、生産性上昇を加味していれば約18.72ドルに、最富裕層1%の賃金上昇に一致させるなら28.34ドルになる。
 このように最低賃金の価値が下がる一方で、最富裕層の実質賃金は過去30年で275%増と天井知らずだ
 最低賃金の価値が低下しているだけではない。低賃金労働者の仕事の質も低下している。1979―2007年は、全体として賃金は上昇、労働時間も増加したが、最低所得者に限ってみれば、労働時間は最も増加しているにもかかわらず、賃金上昇率は最低だった。
 また、労働者の平均年齢と教育水準が上がっているにもかかわらず、年間給与が3万7000ドル以上で年金や医療費も給付される「良い仕事」に就いている労働者の割合も減少した。
 2008年の金融危機と最近の不況は米国からまともな中間層の職を奪い、深刻かつ持続的な犠牲を強いている。雇用増加が見られるのは、そして今後10年で増えるだろう仕事の6割は、低賃金職だ。
 米国の所得格差は先進国の中で最も大きいばかりか、多くの発展途上国のそれも上回っている。さらに悪いことに、米議会予算局(CBO)の推計によると、米国の所得格差は少なくとも2034年まで拡大し続けるという。
 要するに、米国政府が基準賃金を軽視しているツケを勤労世帯が支払わされているということだ。米シンクタンクの経済政策研究所によると、過去30年にわたる最低賃金労働者と中間層との所得格差の大半が、最低賃金の実質的な減少で説明できるという。(後略)』


 長いので後ろを略しましたが、アメリカでは富裕層、大企業、投資家を優遇する様々な税制改革や「規制緩和」が実施され、富裕層がますます所得を増やす反対側で、最低賃金の実質的価値が下落を続けています。物価上昇も、生産性の向上も、最低賃金水準に加味されず、最低賃金で働いても、そのまま貧困層というわけです。


 その反対側で、富裕層の実質賃金は過去30年間で四倍近くに跳ね上がりました。これが、アメリカの現実です。

 それにしても、アメリカでは「年金や医療費が給付される」のが「良い仕事」というわけですね。ほとんどの日本国民にとっては当たり前の話で、今一つピンと来ないかも知れませんが、アメリカでは「良い仕事」に就いていない人は年金も無く、医療保険もないというわけです。「良い仕事」に就いていない人は、民間の医療保険サービスに自腹で入る必要がありますが、そもそも「良い仕事」に就いていないわけで、高額なアメリカの民間保険に加入できるはずがありません。というわけで、アメリカは5000万人の無保険者を抱えているわけです。


 結局のところ、現在の「世界の問題」は、各種の歪んだ経済学、経済政策により、社会が「不安定な方向」に進んでしまっており、果たしてこれを是正できるか否か、という話なのです。グローバリズム、構造改革、聖域なき規制緩和、新自由主義、小さな政府、トリクルダウン仮説。全て根っこは同じであり、影響も同じです。社会を不安定な方向に導く影響を与えています。


 明日に続きます。


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