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『ドイツのユーロ(後編)①』三橋貴明 AJER2013.4.16(1)

http://youtu.be/EfAWKK9ulaE

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 週刊西田Satellite「NISHIDA VISION」に、「西田昌司×三橋貴明 経済対談」vol.1 -バブル検証と構造改革」(H25.5.7)が掲載されました。
http://youtu.be/IdQ0ERv9N4c
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20801683


 明日は、三橋経済塾開講日です。今回の特別ゲストは中野剛志先生になります。


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 単行本のゲラ関連の仕事を四本(四冊分、ということです)同時並行的に抱えており、かつ新たな執筆が目前に1.5冊分あり、ふらふらです。さすがに睡眠時間が短くなって参りました。


 本日は郡山市で講演でございます。一昨日は名古屋だったのですが、名古屋や郡山で昼間に講演をすると、新幹線で、
行った、話した、帰った
 という感じになります。まあ、楽と言えば楽なのですが、忙しないことでございます。


 さて、またまたポール・クルーグマン教授のコラム。(情報提供:三橋経済塾塾生Rei様)


『Exchange Rates and Austerity (Paul Krugman)
http://krugman.blogs.nytimes.com/2013/05/06/exchange-rates-and-austerity/
Brad DeLong saves me the trouble of responding to Alan Reynolds.But I’d like to enlarge on one substantive point.
Quite often, austerians point to some example of a country that engaged in fiscal austerity yet experienced a strong economic recovery,and claim that this is a refutation of Keynesian views. Usually, however — not always, but usually — it turns out that the real story is that these countries experienced large currency depreciations, so that they could have export-led recoveries despite domestic austerity.
Let’s use the BIS data on real effective exchange rates to look at two examples: Korea in the late 1990s, and Iceland more recently.
Two points: First, for euro area countries that must rely on internal devaluation, real depreciations on this scale would be inconceivable, requiring devastating deflation. Second, the whole advanced world is in a liquidity trap these days — and we can’t all massively devalue against each other.
So invoking cases like these as if they have something to do with the fiscal policy debate is either ignorant, disingenuous, or both.』


『(三橋の超訳) ※一行目は良く分からないので省略。
 極めて頻繁に、緊縮財政派は国内で緊縮財政をしているにも関わらず、強力な景気回復を実現した複数の例を上げ、ケインズ主義的な見方(※三橋注:財政出動の必要性)に対して反論する。
 とはいえ、しばしば(いつもではないにせよ、しばしば)これらの国々は国内で緊縮財政を実施しているにも関わらず、大規模な通貨暴落を経験したことで輸出主導型の回復をしたというのが真実なのである。
 例として1990年代の韓国と、より最近のアイスランドの実質実効為替レートのBISデータを見てみよう。
二つのポイント:まず、対ユーロ加盟国内の平価切り下げに頼らざるを得ないユーロの国々にとって、この規模での為替レートの下落は起こりえないため、壊滅的なデフレーションを必要とすることになる。
二つ目。全体的に強硬な流動性の罠に世界が捉われている現状では、我々はどの国も互いに為替レートを大々的に切り下げることはできない
というわけで、これらのケース(韓国やアイスランド)を取り上げ、財政政策の議論をうする人たちは、無知か不誠実か、あるいはその両方である。』


 要するに、
「韓国やアイスランドは緊縮財政を強要された(IMFに)が、きちんと経済成長したじゃないか!」
 と主張する人に対し、
「ちょっと待て! 韓国やアイスランドは為替レートが大暴落し、輸出主導で経済が回復しただけだろ! ユーロの破綻国は(対ユーロ諸国で)為替レートの名目値は下がらないので、実質レートを十分な水準にまで引き下げるとなると、強烈なデフレーションが必要になるぞ。しかも、そもそも世界中の主要国が流動性の罠に陥っている以上、どうやって為替レートを大々的に下げろって言うんだ!」
 と、何となく懐かしい匂いがする内容になっているわけです。


 ついでに書いておくと、日本にせよ、アメリカにせよ、ユーロ圏にせよ、それぞれの経済規模が大きすぎ、三地域が揃って「為替レートを下落させ、輸出主導で回復する」などということはできません。三地域の他に、どこか地球上にGDPが5000兆円くらいの輸入大好き国があれば別ですが。


 クルーグマン教授のコラムと似た内容の記事を、FTが書いています。


『[FT]緊縮政策に傷む欧州に独モデルは輸出できない
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0806W_Y3A500C1000000/
 ドイツは自国のイメージに合わせて欧州経済を作り変えている。欧州最大の経済大国、支配的な債権国としての立場を利用し、ユーロ圏諸国を自国の小さなレプリカに変え、ユーロ圏全体を大きなレプリカに変えようとしている。この戦略は失敗する。
■内需を助けた経常黒字 
 「ベルリンコンセンサス」は安定志向の政策を支持している。金融政策は中期的な物価の安定を目指すべきであり、財政政策は均衡予算と低い公的債務水準を目指すべきであるケインズ的なマクロ経済安定化政策を思わせるものは一切容認してはならない。これは破滅への道だ。
 このアプローチをうまく機能させるために、ドイツは対外収支の変化を利用して経済を安定させた。内需が弱い時には対外黒字を拡大させ、強い時には反対にするわけだ。ドイツ経済は、小規模で開かれた経済国に特徴的なメカニズムに依存するには大きすぎるように見えるが、輸出志向の卓越した製造業と実質賃金を抑える力を頼りにそれをやってのけた。
 この組み合わせのおかげで、ドイツは2000年代に、1990年代の統一後の好況期に失われた経常黒字をよみがえらせることができた。そして経常黒字が助けになり、弱い内需にもかかわらず、緩やかな成長がもたらされた
 安定化に向けたこのアプローチがうまく機能するためには、輸出志向の経済大国は活気のある外部市場も必要とする。2000年代の金融バブルは、これを生み出す一助となった。2000年から2007年にかけて、ドイツの経常収支は国内総生産(GDP)比1.7%の赤字から同7.5%の黒字に転換した。
■金融危機で消えた個人消費
 一方、ドイツの経常黒字に対応する赤字が他のユーロ圏諸国で生じた。2007年には、ギリシャの経常赤字がGDP比15%に達し、ポルトガルとスペインでは10%、アイルランドでは5%に上った。
 これらの国が出していた巨額の対外赤字に対応する各国の内需は、主に借り入れを原動力とした個人消費だった。そこへ世界金融危機が勃発した。資本流入が止まり、個人消費が激減すると、巨額の財政赤字が生まれた。ハーバード大学のカーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ両氏は、これが予測可能だったことを立証した。2007年から2009年にかけて、各国の財政収支は大きく変化し、スペインではGDP比1.9%の黒字から11.2%の赤字へ、アイルランドではGDP比0.1%の黒字から13.9%の赤字へ転換。ポルトガルではGDP比3.2%の赤字が10.2%の赤字へ、ギリシャでは6.8%の赤字が15.6%の赤字へと拡大した。
 これは財政危機だという間違ったコンセンサスがすぐに生まれた。特にベルリンでは、その傾向が著しかった。だが、ギリシャの場合を除くと、この見方は症状と原因を混同していた。それなのに、危機に見舞われた国々は債券市場へのアクセスを断たれたか、それに近い窮状に陥り、国内の深刻な景気後退にもかかわらず、財政を引き締めなければならなかった。(中略)
 欧州は大きなドイツにならない。なれると考えるのはばかげている。ユーロ圏はよりバランスの取れた方法で問題を解決するか、バラバラになるか、どちらかだ。結末はどちらになるだろうか?
 これが依然、答えの出ていない大問題だ。』


 財政均衡路線を走りつつ、輸出主導で経済成長を実現したと言えば、実は代表国は韓国でもアイスランドでもなく、ドイツでございました。ドイツは均衡財政をドグマのように(ドグマそのものとして)貫きつつ、ケインズ的なマクロ経済安定化政策(要は財政出動)を否定し続けています。


 財政均衡を貫きながら、いかに成長するべきか。ドイツが選んだ道は、
対ユーロ諸国で貿易黒字を拡大し、輸出主導型の経済成長を実現する
 というものでした。何しろ、ドイツの対ユーロ諸国の為替レートは「不変」でございますので、01年から08年にかけ、ドイツはまさに「勝ち組」として、負け組の南欧諸国やアイルランドに対し輸出攻勢を続けたわけです。


 反対側の南欧諸国、アイルランドは、ご存じ不動産バブルや「借入による個人消費」という内需中心の経済成長を実現していました。すなわち、まるでアメリカの如く家計の負債頼みの経済成長を続け、ドイツからの輸入を受け入れていたのです。


 バブル崩壊により、上記のモデルは崩壊してしまいましたが、ドイツは、
自分たちもできたんだ! お前たちもできるはずだ!
 と、南欧諸国などに緊縮財政を強要し、事態を悪化させていっています。

 FTはドイツが「ユーロ全体」に対し、ドイツモデルを強要しようとしているのでは、と書いていますが、現実には無理でしょう。各国の生産性の違いが大きすぎ、ギリシャなどが「輸出大国」に成長するには相当の時間(十年以上)が必要で、事態はそれまで待ってくれません


 結局のところ、ユーロは近い将来「バラバラになる」という結末を迎えざるを得ないと考えています。


 それにしても、本ブログのユーザーの皆様にとって、最近のアメリカやユーロ圏の「緊縮財政」を巡る議論は、何となく馴染み深くて面白くないですか? 変な話ですが、世界の時代がようやく日本に追いついたという感じでございます。
 ところで、財務省に代表される日本の緊縮財政至上主義者の皆様は、無知か不誠実か、あるいはその両方なのか、どれに該当するのでしょうか

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