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『ドイツのユーロ(前編)①』三橋貴明 AJER2013.4.9(4)

http://youtu.be/pDU-0grAUgE

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 中経出版から「目覚めよ! 日本経済と国防の教科書 」が発売になりました。


 「別冊正論Extra. 19 (NIKKO MOOK) 」に「私がアベノミクスを支持する理由 今こそ経済の自虐主義を排せ」を寄稿しました。


 さて、昨日の続きです。


 アメリカにせよ、ニュージーランドにせよ、日本とのTPP交渉事前協議では、「自国の国益」、より具体的に書けば「自国のビジネス」あるいは「自国民の所得拡大」を目的に臨んできます。国際収支の統計的に言えば、
「より、日本から貿易の黒字を稼ぐにはどうしたらいいだろうか。農産物や自動車などをできるだけ日本に売り込み、我が国は買わなければいいのだ」
「より、日本からサービス収支の黒字を稼ぐには、どうしたらいいだろうか。我が国のサービス(保険など)の販売拡大の邪魔になっている非関税障壁を撤廃させればいい。特に目障りなのが、簡保だ」
「より、日本から所得収支の黒字を稼ぐには、どうしたらいいだろうか。投資を自由化させ、我が国の投資家を日本に内国民待遇させればいい」
 上記を目的に交渉すればいいわけです。


 結果的に、アメリカやニュージーランドは貿易収支、サービス収支、所得収支、そして「経常収支」の黒字を稼ぐことができます。すなわち、米国民やニュージーランド国民の「外国から獲得する所得」が増えます。何というか、実に「重商主義」的でございますなあ。


 もちろん、
「本当に『国民』の所得が増やせるのか? 特に、アメリカは一部の資本家や企業の所得が増えるだけではないのか?」
 という疑問が浮かんできますし、それは確かにそういう面が強いのでしょうが、少なくとも「国家全体」としては、「国民が外国から得る所得を増やす」となっているわけです。(所得の配分がおかしくて、格差が拡大傾向にあるのは、あくまでアメリカの国内問題です)


 それに対し、現在の我が国は、
TPP交渉に参加する
 ことが目的になってしまっており、完全に非対称な交渉と化しています。


TPP交渉、NZ・豪・カナダが条件 「例外なし」要求
http://www.asahi.com/business/update/0417/TKY201304170577.html
 「環太平洋経済連携協定」(TPP)の交渉に参加表明した日本に対し、米国以外の国々も交渉条件を示していることがわかった。農業国のニュージーランドやオーストラリア、カナダが「すべての品目を交渉の対象にする」「高い自由化を実現する」などと求め、カナダは米国のように日本車にかける税金(関税)を残すことも主張している
 複数の交渉関係者が明らかにした。日本はTPP交渉で農産物にかける関税を守りたいと訴える方針だが、日本に農産物を売りたい農業国の理解を得るのは難しくなるおそれがある。
 日本は交渉参加のために、すでに参加している11カ国から承認を受ける必要があり、米国のほか、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ペルーの手続きが終わっていない。 』


 そりゃまあ、先方は日本のTPP交渉参加を認める以外には、別に譲歩をする必要はないので、こうなるに決まっています。この非対称な交渉をくぐり抜け、日本の「国益」を守れるのか。具体的には、自民党の6つの判断基準を貫き通すことができるのか


 無理に決まっています。現在の日本が置かれた状況は、「交渉力」などと言った抽象論では突破できないのです。というか、この種の抽象論を言い出さなければならない時点で、負けなのだと思います。


 注意しなければならないのは、アメリカにせよ、他の国々にせよ、「国益」とはあくまで(TPPの場合は)自国のビジネス、もしくは自国民の所得拡大であるという点です。そこに、「中国包囲網」だとか「日米安全保障強化」といった「ビジネス」「所得」と無関係なことを持ち出さなければならない時点で説得力がないのです。


 くどいですが、TPPはアメリカの「陰謀」とやらでも「中国包囲網」とやらでもありません。単なる(アメリカにとっては)ビジネス、所得拡大政策の一環です。確かに、「企業」が政治家と結びつき(ロビーイングにより)、この種の内政干渉的な対外交渉をやらせるという点で奇妙なのですが、それが世界の、あるいはアメリカの現実です。


参考:TPPのための米国企業連合
http://www.hatatomoko.org/tpp-americakigyorengo.html


 そもそも論をしておくと、日本市場の「非関税障壁」とやらを撤廃させなければビジネスが拡大できないというならば、企業側が市場に合わせたサービス・製品を開発すればいいのです。
 また、国家には各国ごとの完全自由化してはならない分野」「非効率でも自国の供給能力を維持しなければならない分野」というものがあります(これが今書いている本のテーマ)。
 さらに、「市場原理主義」を標榜する企業や投資家が「政治家」と結びつくことは、民主主義を歪めてしまいます


 日本国民は、特に日本の政治家は、上記のTPP,あるいはグローバリズムの「本質」を今こそ理解しなければなりません。そして、明らかに日本の国益を害する「非対称な交渉」を続けている日本政府、官僚をコントロールしなければならないのです。


 ちなみに、先日の日米の「非対称な交渉」合意を受け、アメリカの農業団体は以下の通りの状況になっています。


舞い上がるような気持ち」米農業団体は大歓迎
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130417-OYT1T00330.htm
 米国のコメや豚肉、乳製品などの農業団体は15日、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加をめぐって共同記者会見を開いた。
 団体の代表者からは、「舞い上がるような気持ちだ」などと、日本市場への輸出拡大を期待し、歓迎の声が相次いだ。
 会見には、全米豚肉生産者協議会(NPPC)、穀物商社大手のカーギル、全米農業連盟、USAライス連合会などが参加した。
 関税撤廃には長い移行期間を置いたとしても最終的には撤廃し、関税を残す例外は認めるべきではないとの主張も相次いだ。』


 さて、「アメリカの農家の所得増大(=日本の農家の所得縮小)」な交渉をやってしまったようにしか見えない安倍政権ですが、自民党側はどうするのでしょうか。一度動きだしてしまい、なかなか方向転換できない「政府」をコントロールすることも、与党の役割の一つだと思うわけでございます。


昨日同様にTPP関連交渉の「危機」をご理解頂けた方は、↓このリンクをクリックを!
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