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【三橋貴明】参院選を終えて思う国の行方[桜H22/7/14]
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 昨日の予告通り、日本経済の真の問題、すなわち「民間の資金需要がない」状況を一目で確認できる、「国内銀行の貸出金、実質預金、預金超過額の推移」をグラフ化しました。


【国内銀行の貸出金、実質預金、預金超過額の推移(単位:十億円) 1989年-2010年5月】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_29.html#Ginko


 ご覧頂いた通り、銀行の貸出金残高(青色)が増えないどころか、むしろ減り始めている中実質預金(注:赤色。銀行にとっては負債)が容赦なく増え続けております。結果、両者の差額である「預金超過額」すなわち過剰貯蓄が拡大を続けています。


 ご存知の通り、わたくし達にとって「資産」である銀行の預金は、銀行にとっては負債です。分かりやすく書けば、借金です。と言うよりも、「強制借金」です。
 わたくし達が銀行にお金を預けると、銀行はそのお金についてわたくし達に「利子」を支払わなければなりません。また、わたくし達がお金を「引き出そうと」したとき、銀行は素直に「返済」しなければならないわけです。さらに、銀行は基本的に、わたくし達がお金を預けようとしたときに断ることができません。(それで「強制借金」)


 預金が銀行にとって負債である以上、当然ながら銀行はそのお金を何らかの手段で運用しなければなりません。そうしなければ、逆ザヤで倒産してしまいます。
 通常の経済環境下では、銀行は企業(や家計)などの民間にお金を貸し出し、貸出金利と預金金利の金利差で食っていくわけです。ところが、現在の日本ではゼロ金利環境下にも関わらず、民間がお金を借りようとしません。仕方なく、銀行は貸し出しきれない預金、すなわち過剰貯蓄を国債で運用するしかなく、日本の長期金利は低迷を続けているわけです。


(以下、資料提供NO様)
『2010年7月8日 日本経済新聞 「銀行の国債買い続く 預金超過150兆円に肉薄」
 債券市場で銀行の国債買いが相場を支える構図が続いている。個人や家計が安全第一で銀行への預金を増やし、貸し先を見つけられない銀行が消去法的に国債を買い続けているためだ。ギリシャ財政問題に端を発した金融市場の動揺で各行が株式や外貨建て資産への投資に踏み出しにくくなったことも、長期金利が下落(債券価格は上昇)してきた背景にある。
▼…7日の長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは1.125%。1.1%を割り込んだ直近の最低水準からはやや戻している。市場では「前日の10年債入札で現在の金利水準では需要がやや弱いことが確認された」(モルガン・スタンレーMUFG証券の伊藤篤債券ストラテジスト)との声が聞かれた。
 ただ、7日も夕刻にかけては欧州株式市場が下げて始まったと伝わると長期金利がじわじわ低下。結局、長期金利は前日終値を下回って終わり、足元の相場がなお堅調だと印象づけた。
▼…足元の需給を支えているのは継続的な銀行の国債買い。全国銀行協会が7日発表した預金貸出金速報によると、全国銀行の貸出金残高に対する預金の超過は6月末時点で149兆9千億円余りに増え150兆円の大台に肉薄した。時を追うように預金超過が拡大し、連動して国債買いが膨らんでいる。
 貸出業務の低迷が長引くなか、メガバンクがそれぞれ年3000億~4000億円前後を稼ぐ市場部門の収益は、銀行全体の業績を左右する。ただ、株式などリスク投資の比重を増やす攻めの運用計画を描いていた銀行も、今年度に入ってギリシャ財政問題が注目を集めて以降は「様子見の国債偏重」(大手行の担当者)を迫られている。(後略) 』


 家計がお金を使わず、預金を増やす。家計がお金を使わないと、フロー(GDP)上の個人消費が伸びず、企業の売上も伸びない。企業の売上が伸びないと、企業も投資(フロー上の民間企業設備)を控え、内部留保(預金)を増やす。家計も企業も預金ばかり増やし、銀行の実質預金残高は増えていくが、貸し出しは増えない。結果、預金超過額(過剰貯蓄)が膨らみ、国債金利は低迷を続ける


 参考までに、2010年第1四半期の国内設備投資は、何と1988年第1四半期並みの低水準でした。
 要するに国内に「需要がない」「仕事がない」のが問題で、「誰もがお金を借りない。誰もが支出をしない」悪循環に入っているわけでございます。この状況で法人税を引き下げたところで、企業の内部留保(預金残高)が増えるだけでしょう。


 お隣中国は、日本に類似した状況から民間銀行に企業への貸し出しを増やすように「指示」をしましたが、結果は企業の株式投資や不動産投資を活発化させ、バブルを再燃させただけに終わりました。
 最終需要がない状況で、企業にキャッシュフロー的な余裕が出たところで、設備投資に向かうとは限らないのです。と言うか、向かわないでしょう。日本企業は中国のように株式や不動産に熱中することはないでしょうから、法人税減税で浮いたお金は銀行預金として眠りにつくことになる可能性が極めて高いです。
 
 以上のように、日本経済の真の問題を理解した上で、
政府が国内に貯まりに貯まった過剰貯蓄を『世界最低のコスト』で借り受け、公共投資を中心に国内に需要を呼び起こし、企業の設備投資を促進する
 以外の解決策を思いつく方がいらっしゃいましたら、是非、コメントくださいませ m(_ _)m


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