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http://www.maruzen.co.jp/Blog/Blog/maruzen02/P/8889.aspx


※先日、出演した「桜プロジェクト 【民主党政権で日本経済が危ない!本当の理由】 」合計視聴数49,000突破!
チャンネル桜 三橋貴明 民主党政権で日本経済が危ない!本当の理由
http://www.nicovideo.jp/watch/1259867029

Youtube版 http://www.youtube.com/watch?v=QmRz77q6tXY

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 先日、代表戸締役様こと渡邉哲也と、月刊宝島のお仕事で対談したことは触れました。
 その対談の中で、渡邉氏が、
「成長戦略の一環として、農業という『製造業』にリソースを投入し、食糧自給率を高めることを考えるべきだ」
 という主旨の発言をされたところ、ライターさんが、
「食糧自給率を高めるのが、何で『成長戦略』なんですか?
 と、なかなか鋭い突込みをされました。それに対し、わたくしが、
「食糧自給率を高めると、日本の食糧の『輸入』が減ります。輸入が減ると、その金額分だけGDPは増加する、すなわち経済成長します。例えば、1兆円の食糧輸入が減れば、日本の名目GDPは0.2%成長するのです」
 と説明したところ、ライターさんは大変ご納得がいったご様子でした。「イメージ」ではなく、「定義と数字」で解説した方が、最終的には説得力が出るという一例です。
 この手の話を取り上げる予定の三橋貴明出演「SPA!生 http://ch.nicovideo.jp/channel/ch380  」は、本日21:00からです!(ニコ動に生出演して、視聴者やコメント数が伸びないと、マジでテンション下がりますので、何卒よろしくお願い致します m(_ _)m )

2009年7~9月期の実質GDP改定値、年率1.3%増に大幅下方修正
http://www.nikkei.co.jp/keiki/gdp/
 内閣府が9日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.3%増(速報値1.2%増)、年率換算で1.3%増(同4.8%増)となり、11月公表の速報値に比べ、年率で3.5ポイントの下方修正となった。速報段階で前期比1.6%増だった設備投資が改定値で2.8%減と大きく下方修正したことが響いた。 (後略)』

 さて、09年第3四半期の日本のGDP改訂値は、速報値から大きく下方修正されました。この理由について詳しく考察し、「実際に何が起きているのか」について考えてみたいと思います。
 日経の記事にもありますが、GDPが速報値から下方修正されたのは、設備投資(民間企業設備)がプラスからマイナスに修正されてしまったためです。

◇GDP=民間最終消費支出(※個人消費)+民間住宅+民間企業設備+政府最終消費支出+公的固定資本形成(※公共投資)+在庫変動+純輸出(=輸出-輸入)

 GDPを細かくブレイクダウンすると、上記の通りになります(今さらですが)。ご覧頂くと分かりますが、「輸入」とは控除項目(増えると、GDPにマイナス)ですので、冒頭に書いた「食糧自給率が高まると、GDPが成長する」が成立するわけです。
 さて、今回問題になった企業の設備投資ですが、速報値と改定値では以下の通り、参照データが異なります。

◇速報値:鉱工業指数(鉱工業生産・出荷・在庫指数、稼働率・生産能力指数、製造工業生産予測指数)
◇改定値:法人企業統計

 大雑把に書くと、鉱工業指数が「生産者サイド」の統計で、法人企業統計は「投資者サイド」の統計になります。生産者やら投資者やらは、何のことかと思われるかも知れませんが、ここで改めて例の法則を思い返してください。
「誰かの支出は、誰かの所得」
 すなわち、企業の設備投資とは、「生産者サイド⇒資材⇒投資者サイド」と、「投資者サイド⇒代金⇒生産者サイド」の、「資材と代金」という二つのフローが存在しているわけです。(当たり前です。)
 上の法則に当てはめれば、「投資者の支出は、生産者の所得」というわけですね。
 今回のGDP集計が大きく変動したのは、「鉱工業生産=生産者サイド」はプラス成長だったにも関わらず、「法人企業統計=投資者サイド」はマイナス成長だったためです。すなわち、
生産者側は投資者からの発注に基づき、資材を生産したが、投資者は結局、投資を取り止めてしまった
 というロジックが成り立つのです。具体的に例を挙げると、「投資者側は工場建設のための資材などは調達したものの、実際の建設を先送りしてしまった」ケースなどが、頻発した可能性が高いわけです。
 実際、法人企業統計に含まれる「施設建設における人件費」は、鉱工業指数の方には含まれていません。
「生産者サイドにおける投資関連の生産は伸びたものの、投資者サイドが建設を先送りし、人件費が使われなかった。結果、両者の成長率に極端な乖離が発生してしまった」
 普通に考えて、上記の推測が成り立ちます。

 ここで改めて考えてみたいのは、なぜ「投資者サイド」が09年7月-9月期に、突如(と言って構わないと思います。最初から投資を先送りするつもりなら、そもそも生産者サイドに発注はかけないでしょう)投資を先送りしてしまったのか、についてです。
 別に、今さら説明が必要とも思えませんが、8月末に総選挙があり、9月に民主党政権が誕生しました。このタイミングで「投資先送り」が発生した以上、企業(投資者サイド)が成長戦略なき民主党政権に不安を抱き、投資を手控えたと考えるのが自然でしょう。

 今さらですが、GDPとはその国の支出の合計であると同時に「所得の合計」でもあります(誰かの支出は、誰かの所得です)。企業の投資先送りによりGDPが減ると、めぐりめぐって「わたくしたちの所得」も減ってしまうわけです。
 というわけで、魔法の言葉その2。

民主党政権が成立したために、我々の所得が減っている

 鳩山不況が来る? とんでもない。鳩山不況は09年9月時点から、いやもしかしたらそれ以前の選挙戦の頃から、とっくに始まっていたのです。

「鳩山不況は09年9月時点から、とっくに始まっていた」にご納得頂けた方は、
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