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昨日、一日執筆枚数(原稿用紙換算)60枚(注:ブログ除く)という記録を打ち立ててしまい、脳が現在も回復しない状況に陥っております。(というわけで、本日は短めでご勘弁を)
民主党政権が、いよいよ緊縮財政主義としての顔を前面に出し始めたので、先日来、日本国債(と言うか、政府の負債)に関する話題が続いています。そんな中で、
「結局、政府の負債(マスメディアの言う日本の借金)はどうすればいいのですか!」
などと、単純な疑問を抱く人が多いと思うので、今後は、
「適切に発散すればいいのです」
と答えることに致しました。
(参考エントリー「発散 http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/31067576.html
」)
発散とは具体的に何かと言えば、名目GDPを「経済成長」及び「適切なインフレ」で成長させていき、政府の負債残高を目立たなくさせてしまうということです。
より具体的な理解をして頂く為に、例をお見せしましょう。廣宮氏のブログでも頻繁に登場する、イタリアと日本を比較しました。
【イタリア政府の政府支出・政府負債残高・政府負債対GDP比率推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#Italy
【日本政府の政府支出・政府負債残高・政府負債対GDP比率推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#Japan
できればイタリアと日本を比較しながら見て欲しいのですが、この二つのグラフから以下が読み取れるでしょう。
■イタリアの政府の負債残高は、1980年比で14倍にもなっているにも関わらず、日本は8倍。
■イタリアの政府の支出は、1980年比で9倍にも達しているのに、日本は2倍前後のまま。
■イタリアの政府負債対GDP比率は、1980年比で2倍前後で推移しているのに、日本は4倍に悪化。
財務大臣の藤井がG7の会合で「日本の財政状態が(G7諸国の中で)一番悪い」と言ってきたらしいので、それは「政府負債対GDP比率」について、日本が一番悪いという意味なのでしょう。これは別に間違っていませんし、そもそも「ジパング再来!」を書いた頃から、
「政府はプライマリーバランス黒字化ではなく、政府負債対GDP比率の改善を目標にしろ!」
と言ってきたので、批判をする気など全くありません。
問題は、「政府負債対GDP比率」を改善する手法です。
イタリアは、政府支出を増やすことで名目GDPを成長させ、政府負債対GDP比率を横ばい、もしくは改善させてきたわけです。政府の負債残高自体は、三十年前の「14倍!」にも達していますが、ほぼ同じペースで名目GDPも成長しているので、政府負債対GDP比率は悪化していません。(それどころか、90年代中盤以降は改善しています。)
すなわち、イタリアは名目GDPの成長(インフレのせいもありますが)で、政府の負債を「発散」させてきているわけです。
それに対し、日本は昨日書いた武村蔵相(当時)の「財政危機宣言」以降、政府の支出を「減らした」結果、名目GDPの低迷を招き、政府負債対GDP比率は、逆に悪化していきました。政府の支出を多少減らそうとも、累積の政府の負債残高は増えていってしまうのです。(政府の負債をゼロにすると、GDPが一気に二割超も減りますので、できっこありません。)
これは偶然ですが、日本のグラフの方で「政府支出」と「政府負債対GDP比率」の曲線が交差したのが、まさしく緊縮財政がスタートした橋本政権期(1997年)になっています。実に象徴的だと思います。
緊縮財政(政府の支出を増やさない)をやり続けた結果、日本は政府負債対GDP比率が悪化している。イタリアは逆に政府の支出を増やし続けた結果、政府負債対GDP比率が改善している。
これが、まごうことなき現実なのです。
この二つのグラフを正しく理解するだけで、日本が「どうすれば」いいのかが、かなり明確にプレゼンテーションできると思うのですが、いかがでしょうか。
ちなみに、この手の話をベースに「日本の課題と進むべき道」について書いたのが、アスコム社から11月(予定)に出版される『民主党政権で日本経済が危ない本当の理由~赤字国債亡国論者たちの「嘘」』になります(この執筆で、脳が疲弊してしまったわけです。)。
ご期待ください。
二枚の図を見て「財政危機宣言」以降の日本の緊縮財政の威力にゾッとした方は、↓このリンクをクリックを。
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