http://www25.atwiki.jp/tauesai/pages/1.html
三橋貴明診断士事務所
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Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」連載中
【「新世紀のビッグブラザーへ」をお買い上げ頂いた皆様へのお願い】
「新世紀のビッグブラザーへ」は、内容に政治色が極めて強いため、これまで以上にアンチな方々が沸いてくることが予想されます。
つきましては、今回はあえて掲示板を設けず、感想は以下のamazonのカスタマーレビューにお書き頂きたくお願い申し上げます。
http://www.amazon.co.jp/dp/4569771416/
ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。(三橋)
『台湾統治で偏向報道…8300人、NHKに集団訴訟 「虚偽の事実捏造。極めて悪質」
http://www.zakzak.co.jp/gei/200906/g2009062402_all.html
日本の台湾統治を取り上げた、NHKスペシャル「アジアの“一等国”」(4月5日放送)の偏向・歪曲問題で、8300人を超える視聴者らが25日、放送法や受信契約に違反する番組で精神被害を受けたとして、NHKを相手に計約8300万円の損害賠償を求める集団訴訟を東京地裁に起こすことが分かった。(後略)』
真摯な態度で番組を検証し、偏向報道の有無を第三者に確認させ、結果を受けて責任者を処罰し、訂正報道を放映する。
「公的」な性質を持つ企業としては、当然のことを拒否し、
「わたしたち(注:NHKのバカ共)が偏向報道がないと言っているので、偏向報道はなかった」
と、まるでソ連や中共の政府を思わせる強弁で乗り切ろうとしたNHKが、今、その報いを受けようとしています。自国民8300人に訴えられる、公共放送・・・、前代未聞です。NHKのダメコンのミスは、確実にメディア史に残る、大事件にまで発展してしまいました。
当ブログには、NHKの職員もきっと訪れているでしょうから、一言だけ言っておきます。
「オマイら、何てバカなんだwww m9(^Д^)プギャー」
さて、お気づきの人はお気づきでしょうが、三橋貴明は廣宮孝信氏から様々なサポートを受けています。資料を御提供頂くのはもちろん、主婦向け経済本では監修・執筆協力までお願いしてしまいました。
昨日ご紹介した↓これも、廣宮氏にソースデータを入手してもらったものになります。
【G7各国の政府の借金 (1980年=100)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/G7Saimu8007.JPG
改めて上記の【G7各国の政府の借金】を見て欲しいのですが、仏伊両政府の借金は1980年の14倍にも達しています。しかし、両国政府は財政破綻などしていません。なぜでしょうか。
その答えを説明する前に、もう少し短い期間で、G7諸国の政府の借金の増加ぶりを見てみましょう。
【G7諸国の公的債務(政府の借金)増加ペース 1994年-2008年】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/G7Saimu94-08.JPG
出典:IMF データ提供廣宮孝信氏
最近15年間に限ると、確かに日本政府の借金増加ペースは最も早いです。しかし、別にイギリスだって似たようなもんですよねえ。しかも、ここ数年だけに限れば、どう見てもイギリスの方が日本よりも早いペースで政府の借金を増やしています。
しかし、少なくとも昨年までは日本政府の借金が騒ぎ立てられている割に、イギリス政府の借金はほとんど問題視されていませんでした。なぜでしょうか。
理由は簡単です。
【G7諸国の公的債務対GDP比率の推移 1994年-2008年】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/G7SaimuGDP94-08.JPG
出典:IMF データ提供廣宮孝信氏
政府の借金を名目GDPと比較した公的債務対GDP比率を見ると、ここ15年間は唯一日本だけが激しく悪化させています。
バブル崩壊数年後は、まだ100%を切っていた日本の公的債務対GDP比率は、2008年には200%に接近しているのです。それに対し、イギリスの公的債務対GDP比率は、長年50%前後で推移を続けています(今年はさすがに大きく悪化するでしょうけれども)。
仏伊両国の政府の借金があまり騒がれていないのも、同じ理由です。公的債務対GDP比率が、著しく悪化しているわけではないからです。
要するに、例えば日英両国を比較すると、日本政府の借金が問題視されるのは、名目GDPが成長していないからで、逆にイギリスが問題視されなかったのは、政府の借金増加を上回るペースで名目GDPが成長していたから、ただそれだけなのです。すなわち、政府の借金増加の問題ではなく、経済成長率の問題だったわけです。
フロー(GDP)とストック(政府の借金)でいえば、フローの問題ということになります。
ところが、日本政府は1997年に消費増税を断行すると共に、公共投資に代表される政府支出の絞込みを始めました。すなわち、緊縮財政です。
なぜ1997年に橋本政権が緊縮財政という無謀な施策に乗り出したのか。主に二つ理由があると考えています。
一つ目:1997年に一時的にGDPデフレータがプラスに回復し、名目GDPも実質GDPと同じか、あるいは少し上回る成長率に復帰した。結果、日本のデフレ局面は終了したという誤った判断を下してしまった。
【日本のGDPデフレーター 1995-2008 】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/GDP-D95-08.GIF
【日本の名目GDP成長率、実質GDP成長率 1995-2008 】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/GDP95-08.GIF
グラフを見て頂ければ分かりますが、1997年とそれ以降では、経済成長率もGDPデフレータも、まるで違う国のようになってしまっています。
1997年緊縮財政開始により、再びマイナスに叩き落されたGDPデフレータは、それ以降、十年以上もマイナスで推移しました。ちなみに、2008年最終四半期のみ、GDPデフレータがプラス復帰していますが、これは資源バブル崩壊による原油価格下落と円高のせいです。GDPデフレータは輸入価格が下落すると上昇するという、面白い性質を持った統計なのです。別に、08年第4四半期にデフレ局面が終わったわけではありませんので、ご注意下さい。
二つ目:改めて上記「G7諸国の公的債務対GDP比率の推移」を見て頂くと分かります。この頃(1997年前後)、日本の公的債務対GDP比率はG7諸国で最悪の水準にまで悪化しました。
結果、日本は本来はフロー(GDP)の問題であるにも関わらず、ストック(政府の借金)増加を食い止めを優先するという、政策上のミスを犯したわけです。すなわち、緊縮財政です。
21世紀に入って以降は、「プライマリーバランスの黒字化」なる、何をやりたいのか今ひとつ理解できない指標まで登場し、日本はストック(政府の借金)増加を食い止めることに優先順位を置くことを続けました。経済成長に必要な政府支出が減少し、特に目の敵にされた公共投資が半減させられ、日本の名目GDP成長率は低迷を続け、当然ながら税収も落ち込んでしまいます。結果、日本の公的債務対GDP比率は、益々悪化する羽目に陥ったのでした。
そもそも、公的債務対GDP比率の悪化を問題視しているくせに、プライマリーバランス黒字化というストック面だけの目標を設定した時点で、おかしな話だったのです。今回の政府の骨太方針2009大転換は、この優先順位の間違いを正すと言う意味で、歴史的な価値を持つものになります。
デフレが続き、名目GDP成長率が低迷している状況で、政府が「節約」をして、経済成長などできるはずがありません。経済成長ができなければ、公的債務対GDP比率は、益々悪化していくことになるのです。
ちなみに、日本破綻原理主義者の皆様の期待を裏切るようですが、今回の国債大増発にも関わらず、別に日本は財政破綻などしません。そもそも国家財政の健全性を見るのであれば、ストック(政府の借金)とフロー(GDP)を比較しても意味がないからです。
国家財政の健全性は、金利とインフレ率により測れます。国債金利とは、すなわち「国債を買いたがるマネーが、市場に存在しているかどうか」の指標です。
【主要国長期金利推移 1998年-2008年 】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/Kinri090513.JPG
日本国債の金利が長年世界最低を続けているのは、金融市場にそれだけ日本国債を求めるマネーが存在しているからです。その「マネー」とは何ぞや、という話になると思いますが、簡単に言えば↓これの青い部分になります。
【2008年12月末時点 日本・アメリカ 家計金融資産】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_17.html#KinyuShisan
日本の家計が「世界最大」の青い部分を保有しているからこそ、日本の機関投資家(銀行や年金など)の手元に「運用先を求める」マネーが溢れ、機関投資家が国債を買い続けているために、日本国債の金利は世界最低なのです。これこそが、日本の将来を担保する「Pure Money(純粋なるマネー)」なのです。(同時に、諸外国から狙われているマネーでもあります。)
また、ご存知の通り、たとえ国債増発により長期金利が上昇していったとしても、日本銀行が国債買取額を増やせば、それで済む話です。(実際、やっています)
え、日銀が国債買取額を増やすと、インフレになるって? 素晴らしいことじゃないですか。日本がインフレになる、すなわちデフレ解消を果たせば、問題は全て解決します。(ハイパーインフレがどうのこうのとかいう、くだらない日本のマスメディアの「破綻願望論」は、これまでに何度も解説してきましたので、省略します。)
日本がデフレから脱却し、再び好景気になれば、政府支出が不要になり、税収も増えるので、公的債務残高は増加ペースが緩むか、あるいはもしかしたら減少するかも知れません(つまり、プライマリーバランス黒字化の達成です)
[緊縮財政]⇒[デフレ悪化]⇒[名目GDP成長率低迷]⇒[税収減]⇒[政府債務増加]⇒[さらなる緊縮財政]
この、あまりにもバカバカしい悪循環を断ち切り、
[政府支出拡大]⇒[デフレ脱却]⇒[名目GDP成長率上昇]⇒[税収増&政府支出不要に]⇒[政府債務減少]
このフローに持っていかなければ、プライマリーバランスの黒字化など達成できるはずがないのです。プライマリーバランス黒字化とは、「節約」ではなく、「成長」に因らねば達成されません。
なぜ↑このように断言するかといえば、単純に日本や各国のプライマリーバランス黒字化した過去事例が、全てそうなっているからなのです。
それでは過去にプライマリーバランス黒字化を達成した国々の事例を見てみましょう。
つづく
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