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三橋貴明診断士事務所
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5月10日発売の「Voice 6月号」に『国債バブル後にドル暴落 -超金融緩和に踏み出したFRBに勝算はあるのか』を寄稿しています。(念のため書いておきますが、先日の『1ドル70円台の日本経済』にしても今回のにしても、寄稿記事のタイトルを決めているのは出版社側であり、筆者ではありません。)
最近のVoiceは凄いと先日も書きましたが、実際、本当に素晴らしいです。
「あの」上杉隆の記事でさえ、読む価値はあると思います。基本的に「民主党政権実現」を目的にストーリーを書いているため、内容には全く賛同できませんが、それを言ったら、わたしだって「民主党政権なんてオゾマシイ事態は勘弁」という前提でストーリーを組み立てているわけです。
もう一つ、最近のVoiceに書かれている方々は、数字感覚をきちんと持ち、「マクロ面」からブレイクダウンしてストーリーを組み立てるようになっています。(以前は全くそんなことはありませんでした。)
数字感覚とは何か。その数字が「全体の規模」に対してどの程度の割合を占め、影響度はどの程度かを把握する能力ですね。この感覚があれば、突拍子もない間違いを防ぐことができます。
以前、内閣府の担当が「経済白書」において、
「日本の輸出は対GDP比で40%!」
とやってしまいましたが、日本のGDPが500兆円以上、中国の輸出が年間100兆円という数字を(曖昧でも)覚えていれば、この瞬間に、
「あれ?」
となるはずなのです。500兆円の40%では、日本の輸出が200兆円(実際は80兆円)にも達し、中国さえ上回ることになってしまいます。
経済白書を書く担当がこの程度の数字感覚では、頭が悪いと言われても反論はできないでしょう。
また、今回の麻生政権の15兆円の真水(財政支出)を中心とした景気対策が発表され、
「今回の対策を実施したところで、精々GDPを1%押し上げるに過ぎない」
という論調で批判をしたとしたら、この時点で論理的に明らかにおかしいわけです。
何しろ、財政支出15兆円は「政府支出15兆円増加」を意味していますので、これだけで少なくともGDPは3%弱は増えるわけですから。
「国内総生産(GDP)=民間最終消費支出+政府支出(=政府最終消費支出+公共投資)+民間企業設備投資+民間住宅投資+在庫変動+純輸出」
である以上、政府支出を15兆円増やせば、その分だけGDPは増えます。あまりにも当たり前なのですが、この程度の「数字感覚」さえ無しに、政府の景気対策を叩くマスメディアが少なくないのです。
今回の景気対策のポイントは、政府支出による3%弱のGDP成長という基盤があって、その上で乗数効果により何%GDPが伸びますか、という問題なわけです。この乗数効果が、1.2倍なのか、1.3倍なのか、あるいはそれ以上なのかは、当然様々な意見があるわけですが、少なくとも0.x倍というのは、論理的にあり得ないわけです。
この手の意味不明な批判を展開する人がよく使用する論調に、
「どうせ、公共投資や公務員への無駄な給与に費やされて、景気回復効果なんざねえよ」
というものがありますが、公共投資だろうが公務員への給与だろうが、政府支出が増えればGDPはその分だけ増えます。そして、政府支出分のお金を受け取った人は、企業であれば設備投資に、公務員であれば消費に使うわけです。この瞬間に、企業設備投資もしくは民間最終消費支出のGDPが+α分だけ増えます。
つまり、政府支出増加額+αの、+αがどの程度の規模になるのかが問題なわけですが、この前提を無視して、
「政府支出を増やしても、景気対策にはならない」
などという、論理無視の暴論を頻繁に目にします。この手の主張をする人たちは、↑このレベルの論理さえ理解できないのですから、内閣府の経済白書担当と同レベルの数字感覚しかないということですね。
この手の理屈が分かっている人でさえ、
「政府支出拡大は、民間の事業機会を奪い、国債増発が長期金利を上昇させ、景気を却って冷やす効果しかない(いわゆるクラウディングアウト効果)」
などと、必死に政府の景気対策叩きに精を出します。
しかしこの手の主張では、民間の事業機会を奪うも何も、民間企業が設備投資を減らしていることが最大の問題で、長期金利が高かろうが安かろうが誰も金を借りないため、国債金利が世界最低になっているという日本の現況は無視されています。
まあこの手の人たちは別に頭が悪いわけではなく、分かっていながら自らの政治的意図を達成するために、政府の景気対策叩きを続けているのでしょうけれども。
Voiceを読んでいると、さすがにこの手の数字感覚について「分かっていない」人はあまりいないですね。分かった上で、やっている人はいるようですが。
しかしVoive6月号において、唯一、この「数字感覚」が完璧に欠落しており、自らの無知を大々的に曝け出しているアホがいるのです。アホと言いますか、あまりにも情けなくて、わたしにしては珍しく同情心さえ沸き起こってきました。
『金融危機以前を振り返ってみれば、長いあいだ日本経済の低成長が続いたのは、純輸出は増えたが、ほかの三つ、とりわけ個人消費がなかなか増えないことに原因があった。たとえば2008年段階で純輸出はGDP全体の16%なので、仮にそれが一割増えてもGDPは1.6%しか成長しない。しかし、個人消費は全体の60%だから、一割増えれば6%成長になる。(PHP研究所「Voice6月号」P116-)』
ちなみに、日本の「純輸出」が対GDP比で史上最高に達したのは、1986年の「4%」です。最近では2007年の1.7%が最大で、08年は0.14%でした。(参考 日本の名目GDP百分比 2008年版↓)
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_17.html#JPGDP2008
お分かりですね。この人は「輸出」と「純輸出」を混同しているわけですね。
そもそも純輸出が対GDP比で16%もあったら、中国(07年に9.4%)やドイツ(07年に7.1%)さえをも軽々と上回ってしまいます。
しかも、どうやらこの人は貿易統計上の「輸出(※製品のみ)」と、「GDP上の輸出(※財・サービスの輸出)」の区別さえついていないようです。この人が言っている16%(正確には15.6%)というのは、製品(財)の輸出対GDP比であり、GDP上の「財・サービスの輸出」対GDP比ではないのです。
日本のGDP上の「輸出」対GDP比は、18%台ともう少し高いです。観光などのサービスの輸出が加わるので、製品の輸出対GDP比率よりも当然ながら高くなります。
この、涙が出るほどGDP統計について無知で、数字感覚が全くない人物。
名前を「大塚耕平」と言いまして、現在は民主党の参議院議員です。
彼は現在、民主党の政調副会長の座にあり、「次の内閣」の財務副大臣、という肩書きも持っているそうでございます。
さすがにこの民主党は無理!
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