11月25日(火) 20:55~21:20 J-WAVE(FMラジオ・81.3・首都圏ネット)「JAM THE WORLD」に生放送出演します
「SPA 11月25日号」P4に、インタビュー記事が載っています。内容はIMFと日本の1000億ドル資金供給についてです。 http://spa.fusosha.co.jp/
「夕刊フジ 11月14日版 韓国経済“崩壊”危機…止まらぬウォン安、年末要注意」にインタビュー記事が載りました。 http://www.zakzak.co.jp/top/200811/t2008111445_all.html

http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/20385968.html
三日前の「欧州連合の黄昏」の続編としてお読みください。

ロンドン株式市場=5年半ぶり安値、商品株の下げ目立つ
http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPnJT832004920081120
 ロンドン株式市場は大幅続落し、FT100種総合株価指数.FTSE指数は5年半ぶりの低水準で引けた。商品(コモディティ)株の下落が目立った。金融株はまちまち。小売株は上昇した。
 米株式市場が予想を上回る新規失業保険申請件数を受けて軟調となり、ロンドン市場を圧迫した。(後略)』

 http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_14.html#FTSE

 ある意味、今回の世界同時好況に最も好影響を受けていた(そして、サブプライム危機の悪影響をまともに受けた)英国の株価が、五年半ぶりの安値にまで下落しました。2007年以降の英国株(FTSE)の推移は、各危機に素直に反応して株価を下げ、ついに2003年水準にまで落ち込みました。(NYダウの方は、最後の30分、一時間でそれまでの趨勢を無視して急上昇したり、或いは急下降するケースが多いので、今一分析する気になりません。)
 2007年以降のFTSEは、07年2月の世界同時株安、8月のBNPパリバのファンド凍結、翌08年3月末のベアー・スターンズ破綻、7月のGSE(ファニーメイ、フレディマック)の危機、そして9月のリーマンショックの直後に、それぞれきちんと底値を更新しています。
 さて、ロンドン、と言うかシティと言えば、ご存知の通りファンドの本拠地です。
 10月末、シティを本拠とした並み居るファンドたちが、ドイツの自動車大手フォルクス・ワーゲン株の空売り解消で、歴史的な損失を被るという「事件」がありました。ファンドの損失は、この一件だけで数十億ドルに達すると言われています。
 空売りとは何か。「ドル崩壊!」でも説明しましたが、簡単におさらいいたしましょう。
① ファンドなどが株価(通貨などのケースもあり)下落が予想される銘柄を借り受け、市場で売却する。この際、株式の貸し手(保険会社など)に対しファンドは手数料を支払う。
 例:1株5円の手数料で100株借り受け、株価100円で市場で売却
② 株価が下落した後、時価で株式を買い戻し、貸し手に返却する。
 例:株価が80円に下落したところで100株買い戻し、貸し手に返却。100円*100株-80円*100株-5円*100株=10,000-8,000-500=1500円の収益
 空売りの面白いところは、株価や通貨の下落局面でも儲けることができるという点です。
 そして空売りの恐ろしいところは、想定と異なり株価が上昇した場合、損失が論理的に「無限大」になってしまうという点です。上記の例で、株価が予想と異なり、200円に上昇してしまったケースを見てみましょう。
 例:株価が200円に上昇したところで100株買い戻し、貸し手に返却。100円*100株-200円*100株-5円*100株=10,000-20,000-500=10,500円の損失
 10月末のフォルクス・ワーゲン(VW)株事件とは、自動車産業株の下落を想定し、ファンドがVW株を空売りしていたところ、10月26日、VWの最大株主のポルシェがとんでもない発表を行うことで勃発しました。ポルシェは、自社が保有するオプションを行使することで、事実上VWの持ち株比率が75%である事を明らかにしたのです。VW株はドイツのニーダーザークセン州が20%強を保有していますので、ポルシェの発表は、市場に流通するVW株式がわずかに5%に過ぎないことを意味していました。
 VW株の空売りを行っていたファンドは文字通りパニックになり、一斉にVW株の確保に掛かりました。当然、買いが殺到したVW株は史上最大級の暴騰を見せ、一日で82%、二日で348%も株価が上昇したのです。空売りポジションをとっていたファンドは大損覚悟で株を買い戻すか、或いは無限大目掛けて膨らむ損失に耐えながらポジションを維持するしかなくなってしまいました。
 十月末のパニックにより、VWの時価総額は3500億ドル近くにまで達し、なんと世界最大の時価総額を誇るエクソンモービルに迫る水準となったのでした。
 このポルシェのやり方に、多くのファンドが非難の声を上げましたが、逆に大陸欧州諸国、特にドイツの市民からは賞賛の声が上がったとの事です。(日経新聞より)更に、実はポルシェの背後には大陸欧州系の銀行が潜んでいるという説もあり、大陸欧州に広がるアングロ・サクソン式のファンド資本主義への嫌悪感を明確に感じさせてくれました。
 大陸欧州諸国はスペイン、フランスのように不動産バブルに沸いていた国もありますが、ドイツのように無関係だった国もあります。日本とは異なり、確かにドイツの金融機関は今回のサブプライム危機で大きなダメージを被りましたが、付加価値の源泉たる製造業は温存されているわけです。
 例えばポルシェは前述のVW株事件でVWの支配権を獲得し、両社の世界販売台数のシェアでフォードを抜き去り、世界第三位に浮上しました。ポルシェは今後十年を費やし、トヨタ自動車を追い抜くという明確な目的を掲げて動き出しました。(こんな製造業が、果たして米国や欧州諸国(ドイツ除く)に一社でもあるでしょうか!)
 イギリスを含む欧州の中で、ドイツだけが明らかに異彩を放っていると思うのですが、いかがでしょうか。
 今後、金融中心の資本主義が大きく崩れ落ちる過程で、付加価値の高い製造業を維持しているドイツの発言力は否応無しに上がっていくと予想しています。そのとき、周囲の国々がことごとく不動産バブル崩壊に端を発する大不況に苦しんでいる中、果たしてドイツはマーストリヒト条約傘下に残り続ける道を選択するでしょうか。
 そして「ファンド資本主義」の中心地として栄え、没落する英国経済は、今後どのように自国の成長モデル、国家のモデルを描くのでしょうか。

 さて、大西洋の向こう側では、二つの巨大企業が運命の刻を迎えようとしています。

米ゴールドマン、政府支援あってもシティ買収せず=関係筋
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-35055320081122
 米ゴールドマン・サックスの関係筋は21日、経営難に陥っている大手銀シティグループについて、政府の支援を受けても買収を検討する考えはないことを明らかにした。
 21日時点で、ゴールドマンの時価総額はシティとほぼ並んだ。しかし、同筋は買収には今後も抵抗していくと述べ、ゴールドマンの社風が損なわれる可能性や、シティーの資産に絡み大規模な損失が発生する可能性を理由に挙げた。』

米GMの取締役、あらゆる選択肢を検討する意向=WSJ
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35054520081122
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は関係筋の話として、米ゼネラル・モーターズ(GM)の取締役メンバーは、破産法適用申請も含む「あらゆる選択肢」を検討する意向で、こうしたスタンスはワゴナー最高経営責任者(CEO)とは意見が異なる、と報じた。
 ワゴナーCEOは今週議会で、GM取締役会は破産法申請は実行可能な選択肢とはみていないと述べていた。』

 両社の運命は恐らく二週間以内に決まり、次の世界の秩序にも大きく影響を与えることになります。

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