新世紀のビッグブラザーへ blog



三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
SPA1月13日号にインタビュー記事が掲載されています。(P4です。) http://spa.fusosha.co.jp/
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 本日も中国の話です。
 わたしが日本を、と言いますか日本人が好きなのは、誰もが平均的に頭が良いからです。欧州のエリート主義や米国のシンクタンク主義、それに中国の共産的前衛主義は、基本的には一部の超頭が良い人が国をリードするというシステムです。恐らく弱肉強食の世界を生き抜くためには、エリート主義にならざるを得ないのでしょうが、日本人のわたしとしては、やはり政治家、官僚、メディア、一般大衆の知識、知能レベルがほぼ均一なこの国が好きです。(大新聞などのマスメディアで働く人たちにしても、別に知能レベルが劣っているわけではありません。彼らが変に見えるのは、単に権威主義的で前衛主義的だからだと思います。)
 もちろん、エリート的な人々がいないということは、他国と付き合う上で何かと弊害が生じるのは確かです。それでも、やっぱり知識平等主義が貫かれている社会は、守るに値する価値があると思うわけです。
 日本社会の平等性を表すエピソードで、非常に象徴的だと思ったのは、ソフトブレーンの宋文洲社長の話です。
 宋社長が日本で経済的に成功し、お手伝いさんを雇おうと募集をかけたそうです。それに応募してきた日本人の女性が、宋社長と奥さん(わたしの記憶によれば、日本人)があまりにも若いのを見て、「あんたたち、若いうちはお手伝いなんて雇わないで、家のことはきちんと自分でやらなければダメよ」と説教を始めたそうです。宋社長は「日本人の平等意識が高すぎて・・・」とコメントしていました。お手伝いさんの募集に応募しておいて、説教を始める方もどうかと思いますが、良きにせよ悪しきにせよ、それが日本人であり、日本社会なわけです。
 まあこれは社会的な平等性の話ですが、日本の一般人の知能レベルが均質的に(他国と比較して)高いのは、昔(江戸時代以前から)の伝統のような気がします。
 知能レベルとは何だ、と言われるかもしれませんが、個人的には「抽象化能力」の有無のウエイトが大きいのではないかと考えています。
 例えば、韓国のウォンが暴落した(添付図参照)後に、
A. 通貨安=韓国の輸出企業の業績がアップして、ウリナラマンセー!
B. 通貨安⇒①韓国は加工貿易が中心だ。資本財の輸入価格が高くなり、価格競争力の向上のメリットをデメリットが上回りはしないか?
 ⇒②そもそも世界的に需要が縮小している状態で、少々通貨が安くなったところで、輸出額は上昇するのか?
 ⇒③資源や食料について日本以上に海外依存が激しい韓国で、ウォン暴落は国民生活を破壊しないか?
 ⇒④前回のアジア通貨危機の際に、韓国はウォンが暴落して食糧危機に陥った。今回は大丈夫なのか?
 ある人物にとってはAの一行の説明が通貨安を意味するのですが、別の人物Bにとっては①から④を全部ひっくるめた概念について、余計な部分を省いて(抽象化して)「通貨安」と呼んでいたとします。この場合、同じ現象が発生した場合に、それに対する理解や代替案の作成などにおいて、まさに天と地の開きが出てしまうでしょう。
 
 漢字を使っているせいかも知れませんが、中国人の抽象化能力は高いと感じます。但し、一般人ではなくエリートの話ですが。
 対談本を出す石平氏から、最新作の「中国経済崩壊の現場 http://www.amazon.co.jp/dp/4759310517/  」をご進呈頂き、読み進めているうちに面白い「抽象化された新語」が沢山登場したので、本日のエントリーとなったわけです。

断供潮:住宅ローンを使って住宅を購入した人が、支払に困って銀行への返済を一方的に断つ現象のこと
倒産潮:中国の都市でアパレル企業が倒産するケースが続出した現象のこと
産業昇格:中国の現在の製造業のビジネスモデルの主力である、労働密集型の産業から、高い付加価値を生み出す技術密集型企業へ脱皮を果たすこと
減給潮:経営不振に陥った中国で、容赦なき減給が蔓延している現象
産能過剰:これは以前も出てきました。産業能力過剰の略で、中国の企業が過剰な設備投資を繰り返した結果、地球上の全ての需要を軽く賄えるような供給能力を身につけてしまったこと
 
 抽象化が得意と言えば、アメリカ人と言うか、金融関係者も好きですよね。以前も書きましたが、CDSにしてもCDOにしても、説明を始めると数時間掛かりそうな概念を、わずかに数文字で表現しているわけです。
 社会が文化的に抽象化が苦手な場合、思考が単純化し、「A⇒よってB」という非常に端的な考えに陥りがちになります。
 漢字を廃止した結果、抽象化能力が激減した韓国人が、もしも「通貨安=輸出企業第復活!サムスン現代マンセー!」とか思っているのだとしたら、以下のようなニュースに接しても「???」となってしまうのではないかと思います。真実はどうなのでしょうか。

昨年の輸入物価上昇率36%、28年来の最悪水準
http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2009/01/15/0500000000AJP20090115002900882.HTML
 韓国銀行が15日に発表した2008年輸出入物価動向によると、昨年の輸入物価上昇率は36.2%で、前年の4.5%に比べ大幅に拡大した。年間ベースでは1980年の58.9%に次ぐ高水準となった。分野別物価上昇率は、原材料が54.6%、中間財が28.5%、資本財は23.1%、消費財は22.3%など。
 韓国銀行経済統計チームのイ・ビョンドゥ課長は、昨年は国際原材料価格の急騰やウォン安・ドル高などで輸入物価が大きく上昇したと説明。ことしは景気悪化で需要が振るわず、外国為替相場も相対的に安定している状況のため、輸入物価は下方安定の傾向を示すだろうと見通した。(後略)』

 中国の話と言いつつ、結局、韓国の話になってしまいました。

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