三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
2月28日発売予定の正論 2009年 04月号に「中国、韓国経済の惨憺たる実態」を掲載しています。
http://www.amazon.co.jp/dp/B001T2D6HC/
※お読み頂いた方は本寄稿に対する感想を、是非とも seiron@sankei.co.jp までお送り頂きたく m(_ _)m
予告! 日本の3月15日 田植え祭 続報をお待ちあれ!

 また懐かしいフレーズを、と思われた方が多いかも知れませんが、これ以上にピタリと嵌まるタイトルが思いつかなかったので。
 実は中国の失業率について、上記正論の寄稿の中で触れ、先日の経済産業省の講演でも使い、大いにうけたネタがあるのです。

中国失業率、09年4.6%内に 政府目標、雇用不安回避に全力
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090305AT2M0501E05032009.html
 中国政府は政府活動報告で、2009年の都市部の登録失業率の目標を08年より0.1ポイント高い4.6%に設定した。欧米輸出に依存していた沿海部のメーカーを中心に工場の稼働率は低下しており、政府は国有企業などに解雇禁止を指導するなど雇用不安回避に全力を挙げる。
 08年の都市部の登録失業者数は886万人で、失業率の実績は4.2%。広東省などで工場閉鎖が相次いだため、03年以降、低下または横ばいが続いていた失業率は5年ぶりに上昇した。多くの企業が大量の余剰人員を抱えているため、潜在的な失業率も高い。
 政府発表によると、旧正月までに失業した農村からの都市への出稼ぎ労働者は約2000万人。今夏に卒業する大学生ら約700万人も職を探しており、雇用悪化を食い止められなければ、社会不安を生みかねない情勢だ。 』
 
 この記事、本日の日経の夕刊に載っていたものですが、中国の08年の失業者数886万人、失業率4.2%という数字は以前から公表されていました。(失業者数は速報値より若干増えました。)この中国が「輸出した数字」について、筆者は正論で以下のように突っ込みを入れています。

『(正論2009年4月号 P192より)一つだけ確実なのは、中国人力資源・社会保障部(中国の厚生労働省に相当)が公式に発表した「失業率4.2%、失業者総数835万人」が、全く正しくないということだ。何しろ、輸出産業の中心都市の一つに過ぎない東莞市だけで、解雇労働者の増大が原因で、人口が 1000万人から800万人にまで減少してしまったのである。
 また、それ以前に「失業率4.2%」「失業者総数835万人」では、中国の労働人口は、わずかに1億9880万人しか存在しないということになってしまう。人口が13億人を超える中国で、労働人口が2億人に満たないわけだ。悪い冗談である。』

 ポイントがお分かりですね。速報値(835万人)でも日経の記事にある確定値(886万人)でもどちらでもいいですが、この数値を失業者総数とし定義し、失業率4.2%を適用すると、中国の労働人口が2億人に程度になってしまうのです。もちろん、中国の労働人口が2億人っぽちなどと、そんな莫迦な話はありません。
 この数字のからくりは、日経の記事にもあるように、農村から都市への出稼ぎ労働者、いわゆる民工が「労働者」としても「登録失業者」としてもカウントされていないためです。中国社会科学院が発行した「社会青書」によると、民工を含めた中国の(08年下半期の)失業率は、9.4%という水準に達しているそうです。一部の現地の報道によると、すでに11%を突破したという情報もあります。
 結局、何が言いたいかというと、民工を含めない都市部の「登録失業者数」による失業率を報道したところで、中国経済の情勢を推し量るには何の役にも立たないということです。日経は一応、都市部の「登録失業者数」と記載しているので、まだマシですが、日本の他の報道機関の中で、この都市部の「登録失業者数」を用いた失業率のみを垂れ流すところが出そうな気配がプンプンしませんか。(あそことか、あそことか)
中国の08年の失業率は、4.6%!
 と、
中国の08年の失業率は、9.4%!
 では、読み手が受ける印象が極端に違いますよね。先ほど日経は「まだマシ」と書きましたが、この記事の見出し「中国失業率、09年4.6%内に」は、さすがにミスリードと認定されても仕方がない気がします。
 実際のところ、中国の失業者総数や失業率はどのくらいなのでしょう。わたしは失業率はすでに二桁、失業者総数は軽く6,000万人を上回っているのではないかと推測していますが、恐らく正しい数値は、中国共産党さえ把握できていないと思います。
 いずれにしても、中国から流れてくる「最悪の輸出品(注:数字)」は、きちんと読み込まねば真の姿が見えないので、面倒この上ないです。

 本当はこの後、アメリカ自動車市場について書こうと思ったのですが、自動車だけではなく金融、GEなどの問題が差し迫ってきていますので、明日のエントリーを丸々割くことに致します。
 代わりにJ-Castから配信された、大変気になるニュースを。

株価が上がる? 公的資金で救済する企業はどこだ
http://www.j-cast.com/2009/03/04036962.html
 景気の急激な冷え込みで業績悪化が著しい大手企業が、公的資金による支援を求めている。(中略)
 適用の具体的条件は決まっていないが、経営破綻が心配される企業が対象になる。過去に「産業再生法」の適用事例があるホテル・旅館や百貨店・小売り、繊維、運輸、家電製品関連、鉄鋼や石油製品、不動産といった業界だけでなく、東芝やソニー、パナソニック、日産自動車といった「世界企業」も名前が取沙汰され、印刷や出版、テレビ局も浮上するという見方もある。(後略)』

 とりあえず書いておきますと、朝日新聞や毎日変態新聞こと毎日新聞などは上場しておりませんので、公的資金が注入されても株価とは無関係です。いずれにしても、テレビ局や新聞社に万が一公的資金を注入するとなると、日本のネット史上最大級の政治的な活動を実施する必要が出てきますので、注意深く推移を見守りたいと思います。
 ところで唐突に話が変わりますが、2月から3月に掛けて麻生政権は外交面で驚くほどの成果を達成しつつあります。いや厳密には、目覚しい成果を達成してたのがようやく報道され始めたと書くほうが、適切ですかね。

麻生首相、露大統領に強硬姿勢 「具体的進展なければ関係つくれぬ」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090304/plc0903040130001-n1.htm
 麻生太郎首相が2月18日のロシアのメドベージェフ大統領との会談で、「(北方領土問題を最終的に解決する)平和条約交渉に具体的な進展がみられなければ、大統領が提唱する日露のアジア太平洋地域でのパートナーシップ関係の構築はできない」と指摘し、強くクギを刺していたことが3日、分かった。これに対し、大統領はうなずき「検討する」と答えたという。(後略)』

『「尖閣諸島に安保条約適用」米国務省が公式見解
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090305-OYT1T00621.htm?from=top

ミサイル発射なら北資産を凍結 日本政府
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090306/plc0903060120000-n1.htm

 なぜか全てのニュースが、2009年3月3日以降に報道されています。麻生-メドベージェフ会談など、先月18日の話です(苦笑)
 恐らく明らかにされることはないでしょうが、2009年3月3日前に、メディア(特に産経と読売)が論調を翻す「何か」があったと思えます。まあ、普通に考えれば、ヒラリー来日と日米首脳会談なんですけどね。

【追加】日米印の連携強化=麻生首相
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200903/2009030200899

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