現在(本日まで)、わたくしは殆ど外界の情報と隔離(時間的にも、場所的にも)されている状態にあるため、今日はニュース関連ではなく、中小企業診断士的な話を。

 どんな企業で働いていても、あるいはどんな仕事をしていても、文書化というのは極めて重要です。中小企業診断士の仕事の一つに、企業がISO9001を取るお手伝いをするというものがありますが、皆さんはISO9001の定義をご存知でしょうか。(正直、知らなくても全然構いません)

 【ISO 9001:組織が品質マネジメントシステムを確立し、文書化し、実施し、かつ、維持すること】

 これが定義になります。定義だけを読むとものすごく難しく感じますが、実際にはそうでもありません。
 ISO9001の重要な要素(最も重要と言ってよい)に「文書化」あるいは「マニュアル化」があります。マニュアル化と書くとマクドナルドのマニュアル、つまり業務手順やステップを細かく記述したものを思い起こしがちですが、この場合のマニュアル化とは若干、意味が違います。
 例えば、企業で働いている方は、コピー機やプリンターのそばに「故障のときは○○に電話してください」だとか「用紙は右上の棚にあります」などの注意書きを目にしたことがあるのではないでしょうか。実は、あれも立派なマニュアル、ISO9001で言う「文書化」の一つです。

 な~んだ、あれか~、と思われた方も多いかもしれませんが、あの手の注意書きがあるのと無いのとでは「大違い」です。
 最近は環境意識の高まりを受け、ゴミの分別に注意する企業や家庭が増えていますが、ゴミを捨てる場所に「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「ビン・カン」などの張り紙がしてあります。何だそのレベルか、と思われるかも知れませんが、繰り返しますが、あの手の張り紙があるのと無いのとでは「大違い」です。

 例えば皆さんがオフィスで働いていたとき、コピーをとっていたとしましょう。コピー機が故障したとき、あの手の文書が無ければ、あなたはどうすればいいか全く分からないでしょう。周囲の人に聞いても分かるとは限りませんし、相手の時間を無駄にすることで、相手に迷惑をかけることにもなりかねません。
 しかも時間的な猶予があればいいですが、本日お伺いする顧客への、大事なプレゼンの資料をコピーしていたなどというシチュエーションではどうでしょうか。
 恐らくあなたはパニックに陥るのではないでしょうか。
 無論、社内のどこかにはコピー機を担当している部署があり、修理できる人もいるかもしれませんが、コピー機の周りにその手の情報がなければ何の役にも立ちません。あるいは、いつもなら自分の部署のAさんに頼めば何とかしてくれることを思い出したとしても、Aさんはその日たまたまお休みかも知れません。
 顧客のプレゼンに出かける時間が迫っています。さあ、どうしましょう。

 要するに、文書化することで必要な情報を必要なシーンで受け取ることを可能とし、属人的な要素(その人でしかできない)を可能な限り排してビジネスの品質を高めましょう。というのがISO9001の狙いなわけです。
 文書化は重要です。別に企業の品質管理の問題に限らず、重要です。
 そもそも人類の歴史上、なぜ「文字」が生み出されたかと言えば、「その人」ではない、他の多くの人々が情報に接することができるようにするためです。文字、文書の影響力というのは、普段我々が思っている以上に大きなものなのです。
 だからこそ、報道機関は文書化された情報を大切に扱うべきだし、その巨大な影響力を用いて世界中に捏造情報を撒き散らし、日本女性や日本人を危険にさらしている毎日変態新聞は潰れるべきだと思うわけです。(土曜日から毎日新聞の調査報告の検証と、財務諸表の分析、今後の倒産までの道のりの予想をやります。もちろん、何回かの続き物になりますが)

 ところで、文書化で思い出しましたが、今回の新作「ドル崩壊!」を書いているときに、わたしは「情報」を文章にすることの威力に感じ入りました。
 昨年来のサブプライムローン問題も、個別の問題ごとに情報を受け取ってみると、それぞれが「ああ、大変だなぁ」で終わってしまいます。ところが、これを一冊の書籍にするべく、分析して関連付けしていくと、ある事実、これまでのわたしが全く気がつかなかった事実が明瞭に浮かび上がってきたのです。
 それは、今回のサブプライムローン問題に端を発した経済危機のステイクホルダーたち、彼らを結びつけることで危機を拡大させた「ある組織」の存在です。
 ある組織とか書くと、何か陰謀論っぽく聞こえるので、「ある企業たち」に言い換えましょう。その「ある企業たち」の存在がなければ、今回の危機がここまで世界的に拡大することはありませんでした。
 その存在が何だったのかは「ドル崩壊!」の中でずばり書いていますので、ネタバレは差し控えますが、いずれにしても「書籍化」という作業がなければ、わたしはこの存在がここまで重要だったとは認識しませんでした。(認識できませんでした)
 
 執筆作業をしていると、ISO9001的な意味でも「文書化」の大切さについて再認識します。
 例えばわたしは自分が書いたものについて、大抵は十回以上、確認と修正を繰り返します。修正作業をしているとき、「あ!こ、こんなアホな間違いを!」と、思わず唖然とするようなミスを見つけたとします。ところが、その場で大きく赤を入れておかなければ、五分後には一体どこがミスをしていたのか忘れてしまいます。「大きなミスをした」ということだけは辛うじて覚えているのですが、それが何ページの何行か、何に関連したことだったのかはまるで思い出せなくなります。
 先ほどの話と同じですね。無論、ミスを発見した瞬間の自分に聞けば、どこを修正するべきか教えてくれるはずですが、時間を遡るわけにもいきません。そこでわたしは、コピー機脇の張り紙のように、他の人(正確には未来の自分)に問題点を教えるためにデカデカと「ここ!間違っている!」と書いておくわけです。

 もう一つ、今回の書籍化で改めて認識したことを。
 それは、結果には必ず原因というものがある、ということです。当たり前のことを言うな!と怒られそうですが、現在の危機が「なぜ起きたのか」を考えると、そこには必ず原因となる事象が存在します。次にその原因となった事象は「なぜ起きたのか」を考え、その更に原因へと遡っていくことで、「今はなぜこうなのか」がくっきりと浮かび上がってきます。
 次のチャレンジとしては、きっと「だから、次はこうなる」という予想をすることになると思います。もちろん、その予想は外れる可能性もありますが、外れたならば外れたなりに「なぜ外れたのだろうか」と検証を行うことで、少しずつ「世界」を理解していくことができるのではないかな~と、考えた次第です。
 今回の「ドル崩壊!」が、皆様が様々なことを考える一つの切っ掛けになってくれれば、著者としてこれに勝る喜びはございません。

 ああ・・・・・・偉そうに「著者として」云々を書いたところで、採図社の方からゲラ最終版が送られてきました。外界から隔離されていても、ゲラチェックからは全く逃れられないのです。インターネットは集合知というベネフィットを産み出しましたが、仕事からの逃亡を益々難しくするという、あまりよろしくない効果も我々に与えてくれたようです。

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