本日、予定通りサンデープロジェクト8月3日放送分「李明博政権の異変(仮)」の撮影に行ってきました。(コメンテータとして出演するわけではなく、インタビューです、もちろん)撮影した分がどう編集され、どう放映されるかは分からない、撮影したけど全く使われないケースもあるとのことなので、好き放題に喋って来ました。
 皆様、ご協力本当にありがとうございました。
 どれだけ使われるか分からない(全く使われない可能性もある)ので、先に主に何を喋ったかご報告しておきます。韓国で現在進行する経済の危機のまとめにもなると思いますので。

(1) 国際収支関連
データは↓これです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_01.html#BOPQ307-Q208
■ 経常収支が昨年12月以来、延々と赤字。今年の赤字はすでに71億ドル(5月)
■ CIFベースの貿易赤字も昨年12月以来、延々と赤字
■ 今年に入り六月まで、六ヶ月連続で外貨準備高を取り崩し、韓銀はウォンが暴落しないように為替防衛をしている

(2) 対外債務問題
■ 2006年以降、毎年対外債務が倍増するような有様にも関わらず、経常収支減少、赤字化で対外債権が増えないため、来月くらいには対外純債務国に転落する。
■ 韓国の対外債務約41兆円の内、半分程度が一年以内に返済しなければならない借金、つまり短期対外債務。短期対外債務対外貨準備高の割合がすでに80%を突破し、IMFが定義する安全ライン60%を軽く上回っている。
■ 最近、短期の債務が激増しているのは、長期債務を短期で借り替えているものと思われる。
■ サブプライムローン問題の影響も受け、今や債務の七割程度しかロールオーバーできていない。

(3) スタグフレーション
■ 原資材価格上昇率92.5%と、ここ28年間で最高。ちなみに、韓国の食糧自給率は25%なので、本当に通貨危機が起きれば食糧が輸入できなくなり、下手をすると餓死者が出る。
■ 物価上昇率(CPI上昇率)何と5.5%!1998年11月以来の高水準。98年と言えば、アジア通貨危機のさなかである。
■ 失業率は韓国当局の発表では3%そこそこだが、日本や他の先進諸国のようにILO(国際労働機構)の定義に従い計算すると、6%近くに数値が跳ね上がる。韓国式計算では、四週間に少しでも就業した人は失業者にカウントされない、働いていなくても「就職準備中」の人は失業者にカウントされないなど、失業者の定義が無茶苦茶である。
■ 今月初めに報道されたOECDの調査によると、韓国の賃金格差は(上位10%と下位10%の差)は4.5倍と、第三位(ハンガリー、アメリカに次ぐ格差社会)。ちなみに日本は3.1 倍で、真ん中よりも下(格差が無い)
■ 財閥系企業の労働賃金は、今や日本を上回る状況(でもコンビにの自給は300円程度)。原材料高と相まって、競争力が日々落ち続けている状態。
■ 企業の設備投資(5月)前年同期比2.5%減少、4月に続いて二ヶ月連続マイナス。

(4) 通貨安
■ ウォンは昨年秋に1ドル900ウォンを切るピークをつけ、それ以来延々と下がり続けている。一時は1050ウォンまで下落、つまり15%以上も下落。対ドルで15%以上の下落というのは、アジア最低レベルのパフォーマンス。同じ期間、日本円は対ドルで上昇を続けていたので、ウォンは対円で30%以上も下落した。
■ 昨年までのウォン高対策で韓国銀行が通貨安定証券という債権を二十兆円程度発行し、その利払いで中央銀行が赤字化している。
■ 対外債務が膨れ上がっている中でウォン安が進行しているため、ウォン建で見た対外債務の額面が膨れ上がり、返済のためにウォンをドルに変える為、益々ウォン安になる悪循環に陥っている。
■ 韓銀はドルの現物(キャッシュ)が足りないのか知らないが、何とNDF取引、つまり為替の証拠金取引、要するにFXで為替防衛の介入をしている。これはリスク面で問題があるのに加え、歴とした中央銀行、つまり金融政策を左右できる機関がFXをやっているという、異常な状況なのである。
■ 韓国の外貨準備は25兆円くらいあるが、現物は2兆円程度しかなく、為替防衛をしている国としては余裕があるという状態ではない

(5) 構造問題
■ 韓国の産業は、日本や中東から資本財と資源を輸入し、加工して輸出するモデル。そのため、対日や対中東ではどうしても巨額の赤字になる。
■ 李明博大統領は、最近の韓国の大統領としては最も、いや唯一まともな人。上記韓国の構造問題を認識し、日米との友好関係を築き、技術や投資を受け入れることで裾野となる資本財企業を育成しようとしていた。来日したときも技術移転や投資の要請をしていたが、日本が受け入れるかどうかは別にして、李明博政権のこの施策自体は別に間違っていない。
■ 政治的に既に力を失ってしまった李明博政権では、このまともな施策を遂行することはできないだろう。
■ 李明博政権初期、韓国はウォン安を「輸出企業への恩恵」と言って放置したが、これは恐らく韓国銀行の判断だったのではないだろうか。特に李明博政権の問題だったとも思えない。
■ 韓国経済が復活するには資源安、通貨高、外需の拡大が必要だ。資源安と通貨高でインフレーションを抑え、外需拡大で失業率低下と設備投資拡大が望める。が、現在のところ全ての要素について、極めて望み薄である。

 今回、正真正銘のメディアの本丸の人たちと話をしたわけですが、以前からの考えに確信を抱きました。
 メディアの人たちは我々の想像以上に、情報に疎いです。上に書いた情報は、別に何らかの特別な情報源に基づくものではないのですが、それすら全く知らない。恐らく、前にも書いたように情報を仕入れる、あるいは情報の正確性を検討する時間がないので、声の大きな一部評論家の意見が常識のようにまかり通ってしまうのだと思います。
 これは日本人にとってもそうですが、特にメディアで働く人々にとって不幸なことだと思います。自分たちが販売している商品が品質が劣化しているにも関わらず、その事実すら認識できていないわけです。このままでは、下手をすると産業丸ごと、不要なものと認識されかねない状況だと思います。

 もちろん、毎日「変態」新聞のように明らかに故意に日本を貶めようとするメディアもあるのでしょうけど。(既に七月中旬は過ぎようとしているのですが、調査結果の公表はどうしたのでしょう、毎日変態新聞は。結果発表の遅れが、真面目に調査をして、問題の深刻さや対応の難しさを改めて理解し、真剣に日本人のための対応策を検討しているためであればいいのですが、望み薄だろうなあ・・・)

人気ブログランキングに参加してみました。
 韓国経済wktk!な方は、↓このリンクをクリックを。
http://blog.with2.net/in.php?636493  

 新世紀のビッグブラザーへ ホームページは↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm
 新世紀のビッグブラザーへ blog一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/blog.html