人気ブログランキングに参加してみました。
 日本が大好き!な方は、↓このリンクをクリックを。
http://blog.with2.net/in.php?636493  

 それでは、予告通り日本経済とスタグフレーションについて。
 現在、世界で進行しているスタグフレーションは、景気減速(失業率悪化)とインフレーション、具体的にはCPI(消費者物価指数)の上昇が同時に起こっている点が最大の問題です。
 各主要国の物価上昇の状況を見てみましょう。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_06.html#CPI2008Mar

 ベトナムの20%超は極端ですが、他にも中国が8%超、米国が4%、ユーロ圏が3.3%、そして昨日書いたとおり韓国が5%弱になっています。翻って日本の消費者物価指数を見てみますと、こんな感じです。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_06.html#JapanCPI-20Apr

 今年の1月が(数字は全て前年同月比)0.7%、2月が1.0%、3月が1.2%、4月が0.8%。とてもではないですが、インフレーションに陥っているなどとは、逆立ちしても言えないでしょう。
 だがガソリン価格が上昇しているじゃないか!と言われるかも知れませんが、そりゃそうです。世界的に資源高なんですから。
 問題は、日本以外の各国ではガソリン価格のみならず、他の商品も大きく値上がりし、全体的な消費者物価指数を押し上げているという点です。
 さて、日本の物価の焦点である原油高、ガソリン価格高騰ですが、個人的には全く影響を感じていません。なぜならばわたしは車を持っておらず、ガソリンを購入しないからです。
 そんなのお前個人の話だと言われるかも知れませんが、これは結構重要なポイントです。なぜならば、日本には世界で最も生産性が高い上に、陸上旅客輸送における鉄道依存度が六割超の都市圏があり、人口の二割以上がこの都市圏に居住しているからです。要は、東京圏のことですが。
 以前にも書きましたが、GDP1000ドルを生み出すのに必要な最終エネルギー消費量は、日本が世界最低です。2004年の数字ですが、もう一度書いておきましょう。
 GDP1000ドルを生み出すのに必要な最終エネルギー消費量
 日本 72kg
 アメリカ 149kg
 中国 478kg
 韓国 235kg
 ロシア 1286kg
 世界平均 187kg
 この圧倒的な日本の対資源消費の生産性は、確かに企業の省エネ技術が秀でていることにもよります。が、3000万人以上が居住する世界最大の都市圏であるメガロポリス東京の、鉄道依存度が無闇に高いというもの重要なポイントです。
 要は、東京圏に住んでいる限り、自動車に乗りガソリンを消費することなく、生産性の高い経済活動が可能なのです。東京に住んでいると当たり前のように感じられますが、似たような(資源の消費量が小さい)高生産性の巨大都市は、世界に例がありません。
 ちなみに京阪神圏の鉄道依存度は55%位、中京圏は三割弱です。確かに名古屋近辺の方々は、ガソリン高騰のネガティブな影響を、確実にわたしよりも感じていらっしゃるとは思います。
 一旦まとめますと、まず日本の消費者物価指数はせいぜい1%程度の上昇率でしかない。最も価格高騰が目立つガソリンについては、高い対資源消費の生産性を持つ日本が、他国よりも悪影響を受けない可能性が高い。日本の資源消費に対する生産性の高さは、高水準の省エネ技術と、鉄道依存度の高いメガロポリス東京を持つことにより実現されている。
 
 スタグフレーションの第二のポイントである失業率ですが、日本の総務省によると今年4月の完全失業率は4.1%でした。男女別に見ると男性が4%で、0.1%の改善、女性が4.2%で0.3%の悪化でした。それは完全雇用とは言えないでしょうが、未だ目に見えて悪化しているレベルとは言えないと思います。(横這いといったところですかね)
 つまり、今のところ日本経済には失業率悪化+インフレーションというスタグフレーションの二つの特徴(わたしの言う、双頭の蛇)は、見受けられないということになります。

 ところで、日経新聞はよく「円高と原油高により、日本経済は沈没する」という論調の記事を書きます。
 日本の外需依存(=円安依存)については、今まで散々データで論評し、否定してきたので省略しますが、それにしてもこの日経の論調は最低です。なぜならば、日経の言い方だと、「円安と原油高」の方が「円高と原油高」よりも望ましいと言っているようにしか聞こえないからです。
 さすがにこの資源高の中で「円安」が続いていたら、日本経済、特にGDPの最大シェアを占める個人消費が大打撃を受けたと思いますよ。昨年夏までの1ドル120円超の状態が続いていたら、今頃ガソリン価格は200円を超えていたでしょう。
 日経新聞にとっては、円安+原油高で日本国民の生活がダメージを受ける方が、円高で原油高が緩和されるより望ましいということなのでしょうか?
 
 今後の日本経済ですが、前々からのわたしの持論である個人消費、つまり内需拡大による経済成長路線へのシフトが強く望まれるところです。そのためには、まず円高、できれば1ドル95円程度。更に世界各国とは逆に、消費者物価指数の適度な上昇(できれば2%超)が必要だと思います。
 物が継続的に安くなっていくデフレ社会では、個人消費はなかなか伸びません。世界の他の国々とは逆に、適度なインフレと円高こそが日本の個人消費に火を付け、劇的に縮小している世界の需要を、ある程度緩和する力を持てるでしょう。
 勿論、内需主導の経済成長路線に入ると、輸出がこれまでのように伸びることはあり得ませんが、どうせ世界的な需要縮小で、外需は減退していきます。おそらく、日本の外需依存度(輸出対GDP比率)のピークは2007年の16%で、08年からは緩やかに低下していくでしょう。(第一四半期の状況を見ていると、08年の数値は06年さえも下回る比率にまで落ちる気がします)
 最後に、昨日の日経新聞が極めて象徴的な記事を載せていましたので、そちらをご紹介させて頂きます。本投稿のタイトル「日本経済のティッピングポイント」は、この記事から拝借しました。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_06.html#NikkeiJun2_08

 結論ですが、世界的に経済がやばくなっている中、日本だけが好調というのは、極論というものでしょう。
 世界各国を苦しめている経済的要因、例えば原油高、インフレーションなどが、日本には他国に比して小さい影響しか与えていない。これが適切な認識なのではないでしょうか。
 お答えになったでしょうか。
 
 人気ブログランキングに参加してみました。
 日本が大好き!な方は、↓このリンクをクリックを。
http://blog.with2.net/in.php?636493  

 新世紀のビッグブラザーへ ホームページは↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm
 新世紀のビッグブラザーへ blog一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/blog.html