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 拙著「本当にヤバイ!中国経済」のポイントは幾つもありましたが(スタグフレーションとか、バブル崩壊とか)、中国が2005年以降、貿易黒字対GDP比率を高めている、つまりGDPに占める純輸出の割合が高まっている。そしてアメリカの需要減退により、この構造が成立しなくなる、というものがありました。どうやらその予想は、少なくとも方向性だけは間違っていないようです。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_08.html#ChinaGDP07

 JETROに2007年における中国の最新データが掲載されていましたので、中国の外需依存度と貿易黒字対GDP比率を改めて計算してみました。また、参考値として、日本の2007年のデータも載せてみましたので、比較してご覧ください。
 
中国の外需依存度、すなわち輸出対GDP比率は36%強と高止まりしており、2007年の貿易黒字対GDP比率は8%近くまで上昇しました。2005年からの推移を見ると、この三年間で中国が外需依存をいかに高めたかがよく分かります。
 お隣の日本のデータを見てみると、
外需依存度は15.46%。貿易黒字対GDP比率はわずか2.4%。何度も書きましたが、日本の外需依存度は世界の主要国の中でアメリカに次いで小さく、すでに工業が衰退したイギリスをも下回るのです。この日本の、どこが外需依存国なんだ~、お~い、日経新聞さ~ん?
 アジアで外需依存度が日本を下回る内需依存国は、北朝鮮ただ一国でしょう。ちなみに、筆者はデータも碌に揃っていない北朝鮮の経済を分析するほど暇ではありませんので、この断定は間違っているかも知れません。間違っていたら、別の意味で怖いと思いますが。
 さて、中国の話に戻りますが、サブプライムローン問題に端を発するアメリカの需要縮小や、資源高の影響で
ついに貿易黒字が減少を始めました。

中国の貿易黒字11.8%減 08年上半期、輸出が減速
http://www.asahi.com/international/update/0710/TKY200807100294.html
 中国税関総署が10日発表した08年上半期(1~6月)の貿易収支(速報)によると、貿易黒字は990億ドルと前年同期と比べて11.8%減少した。米経済の減速や人民元の対ドル相場上昇などの影響で輸出が減速しているうえ、原油などエネルギー資源の高騰で輸入も大幅に伸び、黒字幅が縮小した。
 08年上半期は、輸出が前年同期比21.9%増の6666億ドルと20%を超える伸びを維持したものの、輸入が同30.6%増の5676億ドルと大幅に増加した。
 中国の貿易黒字は04年以降増加が続き、高い経済成長を引っ張ってきた。07年は上半期だけで1千億ドルを超え、年間では過去最高の2622億ドルを記録した。だが、08年は5年ぶりに減少に転じる公算が大きくなっている。 』

 中国のGDPの中で純輸出(≒貿易黒字)は7.76%を占めていますので、これが例えば08年通年で15%減るとなると、GDPが約1%減ってしまう計算になります。この減少分は他の要素(消費、投資、政府支出)で補わなければならないのですが、中国のGDPで最も大きなシェアを占める投資、その中心となる建設投資に赤信号が灯りました。

「不動産バブル」崩壊? 救済策求める中国業界
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200807090032a.nwc
【北京=福島香織】北京五輪開幕まで1カ月を切ったが、中国の不動産バブルがいよいよ弾けるのではないか、との懸念が国内でも強まり始めた。マクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会の報告で、中国の不動産需要が急減していることがわかった。広東省深セン市など一部地域でバブルが弾けたところへ、四川大地震の衝撃が住宅購買意欲をくじいたほか、投機資金も遠ざけたようだ。不動産価格が下落するとマクロ経済にも影響するとして、関係業界では政府に救済を求める声も上がっている。
 発展改革委員会の最新報告では、「中国の住宅価格はいったん下落がはじまると市場需要の萎縮(いしゅく)が起きやすく、不動産業界および経済の持続的健康的発展に影響を与える」と指摘。バブル崩壊の気配を認めた。
 統計によれば、1~4月の全国不動産竣工(しゅんこう)面積は前年同期比19・5%増で、同住宅竣工面積は同20・2%増。一方、不動産販売面積は同4・9%減、商品住宅販売面積も0・4%減で明らかに売れ行きが落ちている。全国70都市の不動産の価格上昇率も1月が前年同月比12・2%増なのに対し5月は同10・2%と減速していた。四川省の成都はマイナス0・4%、同省に近接する重慶市ではマイナス0・1%だったという。(後略)』

 中国のGDP内の投資が(不健全ながらも)成長していたのは、不動産バブルの恩恵で、実際には誰も住まないマンションであっても、投機目的で建設できたことが大きいのです。誰も住まなかろうが、将来的に産み出すキャッシュフローがゼロだろうが、建設してしまえばGDP上の「投資」は増えます。
 しかし、ここに来てついに不動産バブル崩壊の影響があちこちに出てきました。
 特に竣工面積が前年同期比19.5%増で、販売面積が同4.9%減と言うのは危険信号です。
 ちょうど昨年の韓国不動産バブル崩壊開始時期と同じく、作っても売れない状況になりつつあります。
韓国同様、不動産投資に用いられたプロジェクト資金の回収がままならなくなり、建設会社の連鎖的倒産が近いうちに始まる可能性が高いと思います。そうなると、GDPにおける最大シェアを占める投資も影響を受けないわけにはいきません。
 貿易黒字減少と不動産バブル崩壊が重なるとは、実に象徴的です。2007年は後に、中国経済の(数字的な)絶頂期として語られることになるのではないでしょうか。
 でもまあ、何しろ中国のことだから、共産党が08年の数値を政治的にでっち上げる可能性も高いですが。


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